【セミナーレポート】AI時代のLTV最大化とカスタマーサクセスの実現

ギグワークスクロスアイティ株式会社とギグワークスアドバリュー株式会社は、2024年11月21日、22日に池袋サンシャインシティ文化会館にて開催されたコンタクトセンター業界の一大イベント「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2024 in 東京(第25回)」にて「AI時代のLTV最大化とカスタマーサクセスの実現」と題したセミナーを開催し、AIを活用した自己解決支援と自動化で、顧客体験と生産性の向上を実現するソリューションをご紹介しました。

コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2024 in 東京(第25回)

セミナーの概要

カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスを通じて望む成果を得るために不可欠です。特にサブスクリプションモデルでは、顧客の継続的な価値創出と満足度向上が重要となり、これにより長期的な関係構築と顧客のライフタイムバリュー向上につながります。
カスタマーサクセスが進まない主な原因は、顧客データの不足と不十分な分析にあります。適切なツールの導入と効果的な運用が、成功確率を高める鍵となります。

スピーカー

須田 克美
ギグワークスクロスアイティ株式会社
ICTソリューション営業統括 CRMコンサルタント

ギグワークスクロスアイティに入社後、25年にわたりコールセンター業界での経験を積んできたCRMコンサルタント。大手損保系コールセンターでプロジェクトマネジメントや業務サポートを担当し、オペレーターの苦労や顧客対応の難しさを身をもって理解しています。現在は、AI搭載型CRMシステム「デコールCC.CRM」を中心に、音声認識AIや自動要約などの最新技術も駆使して、様々な業務課題・経営課題に対する解決策をご提案しています。

夜久 健徳
ギグワークスアドバリュー株式会社
営業推進室 グループマネージャー

総合通販会社のコンタクトセンター管理者を経て、ギグワークスアドバリューへ入社。当社内でもセンター管理者を経験し、現在はコンタクトセンターを活用したBPOサービス全般の営業を担当。運用・営業の両面を経験し、お客様のニーズを掴む『未来のコールセンター』とはどういったものか?を考えながら、ソリューション提案をしています。

ファシリテーター

内堀 絵莉奈
ギグワークスクロスアイティ株式会社
ICTソリューション営業統括 インサイドセールス

2020年にギグワークスクロスアイティ株式会社に入社。
自社のCRMソリューション「デコールCC.CRM」のパッケージ開発やお客様サポートの経験を積み、お客様とのよりよい関係構築を志し、営業部へ異動。
現在では自社ソリューションについてのブログやメールマガジンなどを担当するとともに、セミナーの司会進行を行い様々なスキル向上に努めています。

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LTV最大化の重要性とAI搭載CRMの役割

顧客生涯価値(LTV)の最大化は、企業の長期的な成功と持続可能な成長にとって不可欠です。AI搭載CRMシステムは、顧客データの分析、パーソナライズされた対応、効率的な顧客サポートを通じて、LTV最大化に重要な役割を果たします。これらのツールを活用することで、企業は顧客ロイヤルティを高め、収益性を向上させ、競争力を強化することができます。

AI搭載CRMによるカスタマーサクセスの重要性

カスタマーサクセスとLTV最大化は、現代のビジネス環境において非常に重要な概念となっています。特にコンタクトセンターにおいては、AIやデータ分析を活用して顧客の成功を支援しながら、長期的な顧客価値を最大化することが求められています。

LTV最大化の重要性は主に3つのポイントに集約されます。

1. コスト効率の向上

新規顧客獲得には大きなコストがかかるため、既存顧客との関係強化が重要です。

2. 安定的収益の基盤構築

LTVの高い顧客は長期にわたって安定した収益をもたらします。

3. ブランド価値とロイヤルティの強化

長期的な関係構築は信頼関係を生み出し、ブランドロイヤルティにつながります。

これらの重要性は、新規顧客獲得コストが既存顧客維持コストの5倍かかるというデータや、収益の8割が2割の顧客からもたらされるというパレートの法則によっても裏付けられています。

AI搭載CRMによるCX向上と生産性向上

LTV最大化のための重要な基盤として、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上と生産性向上があります。これらはAI搭載CRMを活用することで実現可能です。

CXの向上は顧客満足度の上昇につながり、結果的に顧客ロイヤルティを高めます。一方、生産性向上は効率的な顧客対応を可能にし、コスト削減と顧客一人当たりの収益性向上につながります。

AI搭載CRMの具体的な活用方法として、以下が挙げられます。

  1. マルチチャンネル対応:AIボイスボット、FAQなどの自己解決支援ソリューション、対話型支援など。
  2. オペレーター支援:リアルタイム音声認識、FAQ自動レコメンド、対応内容自動要約など。
  3. スーパーバイザー支援:FAQ自動生成、対応品質管理など。

これらの機能を統合したAI搭載CRMを活用することで、自動化を促進し、応対時間の削減、オペレータースキルの平準化、一次回答率の向上、後処理時間の短縮、教育コストの削減などが実現できます。

AI搭載CRMの具体的活用と効果

AI搭載CRMの具体的な活用例として、以下のようなシナリオが考えられます。

  1. ボイスボットによる自動電話受付
  2. オペレーターへのリアルタイム音声認識とFAQ自動表示
  3. AI による対応内容の自動要約
  4. スーパーバイザーによる対応品質の数値化と管理
  5. AIによるFAQの自動生成

これらの機能を統合的に活用することで、CRM内での自動化が促進され、結果としてCX向上と生産性向上が実現します。

重要なのは、AIを単独のソリューションとしてではなく、CRMと密接に連携させることです。これにより、オペレーターはリアルタイムの支援を受けられ、スーパーバイザーは効率的な管理が可能になります。

AI搭載CRMの活用は、LTV最大化のための強力なツールとなり、カスタマーサクセスの実現に大きく貢献します。企業はこれらのテクノロジーを積極的に導入し、顧客との長期的な関係構築と価値創造に取り組むことが重要です。

データ分析とAIによるLTV向上戦略

顧客生涯価値(LTV)の最大化は、企業の持続的成長にとって不可欠です。しかし、膨大なデータ量と複雑な分析プロセスが、多くの企業にとって大きな課題となっています。AIを活用したデータ分析とCRMの統合は、この課題を解決し、効果的なLTV向上戦略を実現する強力なツールとなります。

データ分析の課題

データ分析には以下のような課題があります。

1. 膨大なデータ量の処理

企業には様々な顧客データが蓄積されていますが、その全てを効果的に分析することは困難です。

2. 適切なタイミングでの分析

リアルタイムでのデータ分析と、そのタイミングに合わせたアクション実行が求められます。

3. 個々の顧客に合わせたパーソナライズ

顧客一人ひとりに最適化されたアプローチが必要です。

4. 専門知識の不足

多くの企業では、データサイエンティストなどの専門家を雇用する余裕がありません。

これらの課題により、企業は豊富なデータを持ちながらも、それを効果的に活用できていないケースが多々あります。

AI分析サービスの導入:データ集約

AI分析サービスの導入により、上記の課題を解決し、効率的なデータ分析が可能になります。このサービスは以下のステップで実施されます。

1. 目的の設定

LTV向上のための具体的な目標を定めます。

2. データの集約

CRMシステムに必要なデータを集約します。

3. AI分析とインサイト提供

AIがデータを分析し、有用なインサイトを提供します。

4. アクションプランの作成

分析結果に基づき、AIが具体的なアクションプランを提案します。

このプロセスにより、専門知識がなくても効果的なデータ分析とLTV向上施策の実施が可能になります。

CRMデータの活用

AI分析に活用できるCRMデータには以下のようなものがあります。

  1. 顧客基本情報
  2. 問い合わせ履歴
  3. 音声認識によるテキストデータ
  4. アンケート結果
  5. 購買情報
  6. 契約情報
  7. サービス利用データ
  8. マーケティングデータ
  9. 保守サービスデータ

これらのデータをCRMに集約することで、AIによる包括的な分析が可能になります。

AIによる分析と考察、アクションプランの提言

AIは集約されたデータを分析し、以下のようなアクションプランを提案します。

1. FAQの自動作成と改善

頻繁な問い合わせ内容を分析し、効果的なFAQを自動生成します。

2. トークスクリプトの自動作成

顧客対応パターンを分析し、最適なトークスクリプトを提案します。

3. 離脱予防ポケットリストの作成

顧客の利用パターンや対話内容を分析し、離脱リスクの高い顧客リストを生成します。

4. パーソナライズされたDMの自動生成

顧客の属性や行動データを分析し、個別化されたメッセージを作成します。

これらのアクションプランをCRM内で実行することで、分析結果を直接的な顧客対応に活かすことができます。

AI搭載CRMによるデータ分析と自動化されたアクションプランの実行は、LTV向上のための効果的な戦略となります。企業は膨大なデータを有効活用し、個々の顧客に最適化されたアプローチを実現することで、長期的な顧客関係の構築と収益の向上を図ることができます。

アップセル・クロスセルの機会創出

AIを活用したデータ分析とCRMの統合は、アップセル・クロスセルの機会を効果的に創出し、顧客生涯価値(LTV)を最大化する強力なツールとなります。この戦略では、顧客データの包括的な分析、AIによる顧客セグメンテーション、そしてCRMを活用したパーソナライズされたアプローチが重要な役割を果たします。これにより、企業は顧客のニーズをより深く理解し、適切なタイミングで最適な提案を行うことが可能となります。

アップセル・クロスセルのためのデータ分析

アップセル・クロスセルの機会を特定するためには、以下のようなデータを分析することが重要です。

  1. 対応内容や音声認識テキストデータ
  2. 問い合わせ頻度
  3. 購買履歴(過去の購入時期や購入額)
  4. 顧客属性(長期顧客か、地域など)
  5. サービス利用データ(ログイン数など)

これらのデータをCRMに集約し、AIを用いて分析することで、顧客の購買意欲や成長ステージを把握することができます。

AIによる顧客セグメンテーション

AIは集約されたデータを分析し、顧客を以下のようにセグメント化します。

購買意欲による分類

  1. 購買意欲が高い
  2. 購買意欲が中程度
  3. 購買意欲が低い

成長ステージによる分類(B2Bサービスの場合)

  1. 成長ステージ
  2. 定着ステージ
  3. 終了ステージ

このセグメンテーションにより、各顧客グループに最適化されたアプローチが可能となります。

セグメント別のアクション例

各セグメントに対して、以下のようなアクションを実施することができます。

1. 購買意欲が高いセグメント

購買意欲が高いセグメントに対しては、直接的な販売アプローチを行い、具体的な商品提案を行います。このセグメントの顧客は購入の準備ができているため、積極的なセールス戦略が効果的です。

2. 購買意欲が中程度のセグメント

購買意欲が中程度のセグメントには、AIで生成したパーソナライズされたDMを送付し、購買意欲を徐々に高めるコンテンツを提供します。このアプローチにより、顧客の興味を引き出し、購買決定に向けて段階的に導きます。

3. 購買意欲が低いセグメント

購買意欲が低いセグメントに対しては、AIで作成したアンケートを実施し、顧客満足度の改善策を検討します。このセグメントの顧客ニーズをより深く理解し、適切な対応策を講じることで、将来的な購買意欲の向上を目指します。

さらに、各セグメントに最適化されたトークスクリプトをAIで生成し、オペレーターが活用することで、効果的なコミュニケーションが可能となります。

CRMを活用したパーソナライズされたアプローチの実施

CRMシステムとAI分析サービスを組み合わせることで、以下のような効果的なアプローチが可能となります。

1. リアルタイムの顧客対応支援

AIによるFAQ推奨や対応内容の自動要約を活用し、オペレーターがリアルタイムで効率的な顧客対応を行うことができます。

2. パーソナライズされたコンテンツ配信

顧客の興味や行動に基づいたメールやDMを自動生成し、個々の顧客ニーズに合わせたコンテンツを提供します。

3. プロアクティブな顧客フォロー

利用状況や満足度に基づいた定期的なフォローアップを行い、顧客との継続的な関係構築を図ります。

4. アップセル・クロスセルの機会特定

AIが最適なタイミングと商品を提案することで、効果的なアップセルやクロスセルの機会を特定し、顧客の生涯価値を高めます。

これらのアプローチを実施するためには、AIによる分析だけでなく、実際のアクションを起こすことが重要です。

カスタマーブリッジのご紹介

カスタマーブリッジは、ギグワークスアドバリュー株式会社が提供する、カスタマーサクセスを支援するサービスです。30年以上のコンタクトセンター運営経験を活かし、顧客との長期的な関係構築とLTV(顧客生涯価値)最大化を目指します。
カスタマーブリッジの主な特徴は以下の通りです。

1. 包括的なカバー領域

カスタマーブリッジは、顧客のライフサイクル全体をカバーする包括的なサービスを提供します。初期段階では、オンボーディングとして利活用レクチャーを行い、顧客が製品やサービスを効果的に使用できるようサポートします。定着ステージでは、アダプションとして定期的なフォローアップを行い、顧客の継続的な利用を促進します。さらに、エクスパンションステージでは、アップセルやクロスセルの提案を行い、顧客の価値を最大化します。また、継続的な問題解決支援としてカスタマーサポートも提供し、顧客満足度の向上に努めます。

2. 柔軟な対応

カスタマーブリッジは、対面・非対面を問わず柔軟なサポートを提供します。さらに、各お客様に最適な形でのレクチャーを実施し、個々のニーズに合わせたアプローチを行います。

3. VOC(Voice of Customer)の重視

顧客の利用状況や声を積極的に集約し、それらの情報を製品やサービスの改善に活用します。このアプローチにより、顧客満足度の向上と長期的な関係構築を図ります。

4. AI搭載CRMとの連携

AI搭載CRMとの連携により、データ分析の精度を高め、アクションの質を向上させます。これにより、より効果的なカスタマーサクセス戦略の実現を目指します。

5. 経験豊富なサポート

長年の実績とノウハウを活かした伴走型支援を提供します。豊富な経験を持つサポートチームが、顧客の成長と成功を継続的にサポートします。

カスタマーブリッジは、企業とエンドユーザーの架け橋となり、サブスクリプションモデルを採用する企業の成長を支援します。AI技術と人的サポートを組み合わせることで、効率的かつ効果的なカスタマーサクセス戦略の実現を目指します。

Customer Bridge – ギグワークスアドバリュー株式会社

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太