kintone×DifyでAXを実現!情報検索の高度化事例

業務の効率化を目指してkintoneを導入したものの、現場にはいまだに手作業によるデータの転記や帳票の作成が残っていませんか。本記事では、製造部門と販売部門の間における情報連携に課題を抱えていた中堅製菓会社C社の事例を紹介します。kintoneに蓄積されたデータを活かしつつ、生成AIプラットフォームであるDifyを導入することで、現場のアナログな業務をどのように変革したのかを詳しく解説します。自動化と目視確認を切り分ける運用の設計や、山積みの議事録PDFから必要な情報を一瞬で引き出す検索システムの構築など、具体的な取り組みをお届けします。

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「消えた議事録」システム導入の先にあった壁

kintoneの導入によって社内の情報が一元化されたはずの現場で、なぜ手作業が減らないのでしょうか。ここでは、中堅製菓会社であるC社が直面していた、製造部門と販売部門の間の情報分断と、過去の資産である議事録PDFが活用されないという具体的な課題を深掘りします。現場のリアルな声を通じて、業務のボトルネックがどこにあったのかを明らかにします。

製造と販売の間に横たわる転記作業

中堅製菓会社であるC社は、全国の主要な小売店や百貨店に向けて、和菓子から洋菓子まで幅広い商品を製造し、販売しています。顧客からの多様なニーズに応えるため、社内の情報集約と一元管理を目的にkintoneを導入しました。これにより、販売部門が受ける注文情報や、製造部門が管理する生産予定などは、すべてシステム上に登録される環境が整いました。しかし、実際の現場を覗いてみると、期待していたような完全なペーパーレスや業務の自動化には程遠い状態が続いていました。

特に深刻だったのが、販売部門から製造部門への情報伝達のプロセスです。販売部門の営業担当者が顧客から特注品や季節限定商品の注文を受けると、その詳細な仕様や数量、納品希望日などをkintoneの受注管理アプリに入力します。ここまではシステム化の効果が出ていましたが、問題はその後に発生していました。製造部門では、工場のラインを稼働させるために、独自の製造指示書や配合表という帳票を必要としていました。この帳票は、kintoneの画面をそのまま印刷しただけでは現場の職人が見づらいため、別の使い慣れたフォーマットに落とし込む必要がありました。

製造管理の担当者は、kintoneの画面に表示された受注データを目で確認しながら、別の帳票作成ソフトや表計算ソフトのシートへ、手作業で一つひとつデータを転記していました。注文の件数が増えれば増えるほど、この転記作業に伴う負担は増大します。販売部門と製造部門の間で情報の二重入力という無駄な時間が毎日発生することになりました。データを一元管理しているはずのシステムが、現場の最終的なアウトプットに直結していないという、部分最適の罠に陥っていました。

過去の決定事項が埋もれる

C社が抱えていたもう一つの大きな課題は、過去の会議で決定された重要な仕様や注意書きが、システム内で完全に迷子になっていた点です。お菓子の製造においては、季節ごとの気温や湿度の変化に応じた原材料の微調整や、アレルギー対応に関する細かな約束事など、会議の場で口頭で合意され、議事録に残される重要な情報が数多く存在します。C社では、これらの会議の記録をPDF形式のファイルにして、kintoneの共有スペースやレコードの添付ファイル欄に保存していました。

一見すると整理されているように思えますが、いざ現場の担当者が、去年の夏に作った限定商品の、あの時の配合の注意点は何だっただろうかと調べようとした際、大きな壁にぶつかります。kintoneの標準的な検索機能では、PDFファイルの名前は検索できても、ファイルの中身に書かれているテキスト文章の深い部分までを横断的に検索することが難しかったのです。

担当者は関係のありそうな日付の議事録PDFを何十個も手元にダウンロードし、一つひとつファイルを開いて目視でスクロールしながら、該当する記述を探さざるを得ませんでした。過去の貴重なノウハウや顧客との約束事が、PDFという形式のままシステム内に放置され、実質的に見えないデータと化していました。この情報検索にかかる時間は、製造現場の迅速な判断を妨げるだけでなく、確認を諦めて過去と同じ失敗を繰り返すという、目に見えない機会損失をも生み出していました。

安全と効率の狭間で

自動化を阻んでいた最大の要因は、製造現場ならではの品質管理に対する強いこだわりにありました。工場の責任者である工場長は、デジタルトランスフォーメーションやAIを活用した業務の効率化に対して、決して後ろ向きではありませんでした。むしろ、人手不足が深刻化する中で、単純な作業はできるだけ機械やシステムに任せたいと考えていました。しかし、食品を扱う製造業として、万が一にも配合のミスやラベルの印字間違い、アレルギー成分の記載漏れといった事故は許されません

システムがすべてのデータを自動で右から左へ流す仕組みにしてしまうと、AIやプログラムが誤った判断をした際、誰もそれに気づかないまま生産が始まってしまうリスクがあります。現場の職人や管理者が、自分の目で見て、確かに正しいと確認したというプロセスが、これまでの品質を支えてきたという自負がありました。

単に手作業を自動化してゼロにするというアプローチでは、現場の強い抵抗に遭うことは目に見えていました。自動化を進めつつも、どの部分をシステムに委ね、どの部分を目視で確認するのかという、明確な役割の切り分けが不可欠でした。さらに、トラブルが発生した際に、誰がそのデータをチェックし、承認したのかという証跡が、システム上に確実な記録として残る仕組みがなければ、現場が安心して新しいシステムを受け入れることはできないという状況にありました。

業務を阻害する4つの分断

C社におけるこれらの課題を整理すると、以下の4つの分断に分類することができます。

  • データの二重入力による時間ロス:kintoneに登録された販売データを、製造部門が別の帳票形式へ手動で再転記するための二重の手間が発生していること
  • 埋もれるナレッジの休眠化:重要な特注仕様や製造上の注意点がPDF形式のまま保管され、必要な時にキーワードで即座に引き出せないこと
  • 確認プロセスのブラックボックス化:目視によるダブルチェックが行われたかどうかの履歴や、誰が責任を持って確認したのかという記録がシステムに残らないこと
  • 効率と安全のトレードオフ:業務のスピードアップを求めるとミスのリスクが高まり、安全性を重視すると手作業による確認コストが膨らむというジレンマ

課題解決に向けて

ギグワークスクロスアイティの支援のもと、C社はDifyを活用したAIトランスフォーメーションへと舵を切ることになりました。プロジェクトの開始にあたり、現在のボトルネックを数値化し、導入前の現状の主要業績評価指標として以下の通り定義しました。

  • 部門間のデータ転記と帳票作成にかかる時間:製造管理部門において、受注データから指示書を作成する作業に、月平均160時間が費やされている
  • 議事録や過去資料の検索に要する時間:過去の製造トラブルの対策や仕様変更の経緯を調べるため、PDFファイルを探索する時間に、月平均45時間を要している
  • 確認漏れや転記ミスによる手戻りの発生率:手作業での入力に伴う記載間違いや、仕様の確認漏れに起因する資材の再手配費用、作り直しの発生率が、全体の2.5%に達している

これらの課題を解決するため、既存の柱であるkintoneという強固なデータ基盤の上に、柔軟なワークフローと高度なテキスト解析能力を持つ生成AIプラットフォームであるDifyを組み合わせる方針が決定されました。単なる自動化ではなく、人の目によるチェックをプロセスに組み込んだ、新しい運用の設計が始まります。

kintone×Difyによる検索システム実装

どれほど優れたAIであっても、現実の業務において100%の精度を維持することは困難です。多くの企業がAI導入で失敗するのは、技術の完璧さを追い求めるあまり、現場の使いやすさや安全性を軽視してしまうからです。C社の変革において、私たちが最優先したのは「AIが間違えること」を前提とした現実的な業務の動線設計でした。自動化と人による確認作業を賢く切り分け、運用を確実に定着させるための実装プロセスについて詳しく解説します。

Difyを活用したアーキテクチャの全貌

C社が目指したのは、AIを単なる便利ツールとして導入するのではなく、既存のkintoneを主軸に据えた強力な業務システムとして組み込むことでした。ここで重要な役割を果たすのが、生成AIプラットフォームであるDify(ディフィー)です。Difyは、高度な生成AIを活用した業務アプリや自動化ワークフローを、専門的なプログラミングをほとんど使わずに素早く構築できるプラットフォームです。

このプロジェクトで構築した全体構造は、非常にシンプルでありながら、無駄のない強力な流れを持っています。まず、販売部門が入力したkintoneの受注データや、过去に蓄積された議事録PDFが、システム上のトリガーによって自動的にDifyへと送られます。Difyの中に構築されたAIアシスタントは、データから「製造指示書に必要な項目」だけを瞬時に抽出して整形します。AIが整理したデータはkintoneの「製造管理アプリ」へと自動的に送り返され、確認待ちの下書きとして登録されます

これまでは、人が画面を目で追いながら時間をかけて別のシステムに入力していましたが、これからはAIが前処理をすべて代行します。kintoneという情報の保管庫と、Difyという知的な処理エンジンを繋ぐことで、部門間の隙間に存在していた手作業を完全に自動のパイプラインに置き換えることができました。

運用の命運を分けた要因

一般的に、生成AIを導入するプロジェクトでは、AIの認識精度を上げることばかりに目を奪われがちです。しかし、どれほど高精度なAIであっても、複雑なレイアウトに対しては、どうしても認識エラーが発生します。C社で運用を定着させるために導入されたのが、以下の3つの工夫でした。

  • 自動化と目視確認の明確な切り分け設計:AIにすべての処理を完結させるのではなく、AIの役割は「入力の手間を省くための下書き作成」に限定しました。製造指示書のデータ自体はAIが自動でkintoneへ入力しますが、そのデータが工場で実際に使用される前には、必ず人がkintoneの画面上で確認し、承認のボタンを押すという業務ルールを徹底しました。この仕組みにより、AIのデータ抽出精度が一時的に低下した場合でも、最終的な製造現場に誤った指示が届くリスクを完全に排除しました。
  • チェック記録の仕組み化:kintoneのデータベース機能を活かし、誰が、いつ、その指示書の内容を目視でチェックしたのかという履歴を、システム上で強制的に記録する仕組みを構築しました。確認用のチェックボックスをオンにしないと「製造完了」の次のステータスに進めないように制御をかけることで、確認作業の属人化を防ぎ、品質責任の所在を明確にしました。
  • Difyによる高精度なRAG構築:山積みの議事録PDFの課題に対しては、RAG(検索拡張生成)と呼ばれる技術を採用しました。Difyの知識ベースに過去の議事録PDFを一括登録しました。これにより、現場が「〇〇の限定商品に関する配合の注意点は?」と自然な話し言葉で検索をかけるだけで、AIが複数の議事録を瞬時に読み込みます。そして「〇年〇月〇日の会議で、アレルギー対策として香料を〇%に抑える決定がなされています」といった具体的な要約回答を、根拠となるPDFの参照元リンク付きで提示するシステムを実現しました。資料を探す手間が大幅に軽減されました。

4つの実装フェーズ

このkintoneとDifyの強力な連携システムを、C社の現場にスムーズに定着させるため、私たちは一歩一歩着実なステップを踏むアプローチを選択しました。プロジェクトは大きく分けて以下の4つのフェーズに沿って進められました。

  • 現状業務の棚卸し:製造現場と販売現場の両方にヒアリングを行い、どのような帳票が作成されているかを洗い出しました。この際、AIに任せられる単純な転記パターンと、人の目による品質管理が必要な複雑な例外パターンを切り分ける、丁寧なマッピングを行いました。
  • Difyのワークフロー構築:Difyの直感的でビジュアルな開発画面を活用し、議事録PDFの自動取り込みプロセスと、指示書データを作成するためのAIへのプロンプトの最適化を進めました。取引先ごとに異なる表現であっても、必要とする原材料名や納期を正しく読み解く仕組みを作り上げました。
  • API連携の実装:既存のkintone環境の基本設定を大きく変更することなく、Difyから出力されたデータをkintoneへ正確に受け渡すシステム連携を開発しました。プラグインや標準的な機能を活用することで、開発期間の大幅な短縮と低コストでの構築が可能となりました。
  • 現場への定着と改善:いきなり全社に展開するのではなく、まずは一部のラインからテスト運用を開始しました。実際に使う現場の担当者から「画面の文言がわかりにくい」といった声を集め、システムの表示やAIの抽出ルールを継続的にアップデートして、使いやすさを磨き上げました。

開発着手からわずか2週間で行われたテスト運用の段階において、議事録の検索システムは高い正答率を記録し、その実用性の高さを示しました。

作業時間削減と確実なチェック体制がもたらした成果

kintoneとDifyの連携システムが本格的に稼働したことで、C社の社内環境は大きな変化を遂げました。これまで製造部門と販売部門の間に存在していた見えない壁が取り払われ、情報が淀みなく流れるようになった結果、現場の業務効率は予想を超える形で向上しました。ここでは、今回のAIトランスフォーメーションがもたらした定量的な成果と、現場の意識改革という定性的な変化についてご紹介します。

業務効率化の枠を超えた成果

新しいシステムが導入された結果、C社における月間の業務時間は大幅な短縮を見せました。対象となったのは、製造部門と販売部門の間における情報集約、日々の帳票作成、そして過去の膨大な議事録PDFから必要な仕様を探し出す検索業務です。

  1. 部門間のデータ転記・帳票作成時間:導入前は月平均160時間を費やしていましたが、導入後は月32時間へと激減し、80%の業務時間削減を達成しました。
  2. 議事録および過去資料の検索時間:導入前は月平均45時間を要していましたが、DifyによるRAG検索システムの稼働後は月5時間へと縮小し、88%の効率化を実現しました。
  3. 確認漏れ・転記ミスによる手戻り発生率:手作業の時代には全体の2.5%で発生していた入力間違いや確認漏れが、システムによる前処理と確実な目視確認の組み合わせにより、0.1%未満へとほぼ根絶されました。

この時間短縮の背景には、これまで手作業で行われていた作業の大部分をAIが肩代わりしたことがあります。販売部門が入力した受注情報をもとに、Difyが瞬時に製造指示書の下書きを作成し、kintoneの製造管理アプリへ自動的に流し込むため、現場の担当者はゼロから文字や数値を打ち込む必要がなくなりました。担当者が行うのは、画面に表示された内容が正しいかどうかを確認し、承認ボタンをクリックすることだけです。このプロセスの簡素化が、大幅な時間削減とミス撲滅を同時に達成した最大の要因です。

金額換算で見える費用対効果

C社では、今回のシステム導入に伴う投資対効果を検証するため、削減された時間を人件費に換算する試算を行いました。

  1. 削減時間の合計:転記作業の128時間と検索作業の40時間を合わせ、毎月合計168時間の余剰時間を生み出すことに成功しました。
  2. 月次におけるコスト削減額:社員の平均人件費を時給3,000円として換算すると、168時間×3,000円で毎月約50万円のコストが削減されています。
  3. 年間におけるコスト削減額:月次約50万円の削減を年間ベースに換算すると、約600万円の直接的なコストダウンが実現しました。

金額効果以上に大きいのが、確認漏れや転記ミスが激減したことによる二次的な損失の防止です。過去には、配合の転記ミスによって原材料を無駄にしてしまったり、特注品の仕様確認が遅れて出荷が滞ったりするリスクが常に付きまとっていました。これらのトラブルに伴う資材の再手配費用や、顧客への対応コスト、何よりも企業の信頼を損なうリスクが大幅に低減されたことは、数値には表れにくい極めて大きな経営的成果と言えます。

「知の即戦力化」が現場のストレスを解消する

新しいシステムは、数値化できる成果だけでなく、現場で働く社員の精神的な負担を軽くするという好ましい変化をもたらしました。山積みの議事録PDFから情報を探すストレスや、自分の手入力が間違っているかもしれないという不安から解放されたことで、社内の雰囲気はより前向きなものへと変わっていきました。現場の生の声をいくつか紹介します。

販売営業部門の担当者は次のように語っています。
「以前は、お客様から過去の特注品の仕様について問い合わせをいただいても、当時の議事録を探し出すのに何十分もかかり、すぐにお答えすることができませんでした。一度お電話を切って折り返す必要があり、お客様をお待たせすることに心苦しさを感じていました。しかし今では、kintoneの画面からDifyのAIチャットに問いかけるだけで、数秒で過去の決定事項と該当するPDFのリンクが表示されます。その場で確実な回答ができるようになり、お客様からの信頼度も向上したと実感しています」

また、製造管理部門の担当者からも歓迎の声が上がっています。
「毎日何十件もの受注データを別の帳票に手で転記していた頃は、夕方になると目が疲れえてミスが出やすくなり、月末の処理時期には残業が当たり前になっていました。新しい仕組みになってからは、AIが正確に下書きを作っておいてくれるので、私たちは間違いがないかをチェックするだけで済みます。しかも、誰がいつ確認したかがシステム上にしっかりと記録されるため、責任の所在が曖昧になる心配がありません。安心して自分の業務に集中できるようになり、精神的なゆとりが生まれました」

蓄積された過去の議事録という資産が、いつでも引き出せる生きたナレッジへと変わった瞬間でした。

データ駆動型経営へ向けた次の一手

kintoneとDifyの連携によって大きな成果を得たC社ですが、これで変革が終わったわけではありません。今回の成功を契機として、現場からはさらなる業務改善に向けたアイデアが次々と提案されています。C社はすでに次の一手を見据えた高度化の計画に着手しています。

現在検討されている具体的な拡張案の一つが、製造現場における日報や作業報告書のデジタル化です。工場の現場では、手作業による製造が終わった後に、その日の生産数や機械の調子、気づいた点などを紙の日報に手書きで記入する文化がまだ残っています。この紙の情報を、スマートフォンの音声入力機能を使ってその場で入力し、Difyの生成AIを通じて自動的に要約・整形した上で、kintoneの業務アプリへ直接登録する仕組みの開発を進めています。

さらに、集まった日報のテキストデータをAIが分析することで、「最近特定の機械に関するトラブルの報告が増えている」といったリスクの兆候を早期に検知し、事故を未然に防ぐデータ駆動型の工場管理を目指しています。既存のkintoneという強固な情報基盤があるからこそ、AIという新しい武器を組み合わせることで、その可能性はさらに広がっていきます。

Difyが情報基盤の真価を引き出す

本記事では、製菓会社におけるkintoneとDifyを組み合わせたAIトランスフォーメーションの歩みを紹介しました。今回の取り組みを通じて明確になったのは、最新のAI技術を導入する目的は、単に手作業を減らすことだけではないという事実です。AIトランスフォーメーションの本当の価値は、システムの中に眠って活用されていなかった過去の知識やデータを現場の即戦力に変え、同時に業務の確実性と安全性を高めることにあります。

C社におけるプロジェクトの成功要因を整理すると、以下の3点に集約されます。

  • 役割分担の明確化:すべての処理をAIに丸投げするのではなく、前処理はAI、最終確認は人という役割の切り分けを徹底し、安全性を担保したこと
  • 責任と履歴の可視化:誰がチェックしたのかという事実をkintone上に自動で記録し、現場が安心して使える運用の仕組みを作り上げたこと
  • 埋もれた資産の知財化:Difyを用いた高度な検索システムにより、放置されていた議事録PDFを一瞬で引き出せる価値ある知財に変えたこと

すでに社内にkintoneという優れた情報共有の仕組みが導入されているのであれば、それはAIトランスフォーメーションを成功させるための最大の強みを持っていると言えます。既存の環境を大きく変えることなく、柔軟な生成AIプラットフォームであるDifyを組み合わせることで、低いコストと短い期間で大きな成果を生み出すことが可能です。現場に残されたアナログな手作業や、活用されていないデータに悩んでいる企業にとって、C社の事例は未来を切り開く道標となるでしょう。その第一歩は、目の前にある業務の中で、どの手作業をAIに委ねられるかという小さな棚卸しから始まります。

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太