耐改ざん性が高く、取引履歴の信頼性を保つことができる「ブロックチェーン」技術が確立したことで、オンラインで行う取引の幅が格段に広がりつつあります。さらに、契約の自動実行機能「スマートコントラスト」の活用で、即時性の高いよりスムーズな取引も可能となりました。
さらに今、このブロックチェーンをオンライン上の仮想空間「メタバース」で活用し、新たな市場の開拓を行おうという試みも進められています。
ブロックチェーンを利用した新事業やメタバースとの関連性について理解を深めつつ、デジタル資産の取引を安全に行うためのNFTマーケットを含めた、今後のオンラインマーケットを見据えたGIGxITの取り組みについて紹介します。
ブロックチェーンを利用した新しい事業とは?
安全性の高いオンライン取引を可能とした「ブロックチェーン」技術は、幅広い市場に浸透しつつあります。具体的にどのように活用されているのかを見てみましょう。
お客様同士のP2Pによる直接取引を実現
ブロックチェーン技術は、オンライン上での取引における安全性を担保するために欠かせない技術です。この技術があって初めて、オンライン上でお客様同士、つまり個人と個人が安心して取引をし、本来個人間で行いにくい契約の締結などが容易になります。今までは仲介業者が間に入ることが多かった、電力事業や不動産事業に対しても、今後個人間のやり取りが増えていくでしょう。
サプライチェーンの可視化
耐改ざん性の高いブロックチェーン技術を活用することで、生産から販売までを表す「サプライチェーン」をオンライン上でも安全に管理することができます。どの地域からでも正確な流通情報が確認でき、今までのような電話やFAXによる確認が不要となります。また、生産者と販売者が繋がることでより市場動向に即した作物への移行、代替品の考案など、流動的な市場や突発的な事象に対する対応がスムーズに行える点にも期待が高まっています。
メタバースとの関連
メタバースにブロックチェーン技術を活用することで、小さな枠に囚われない自由で柔軟な仮想空間を構築し、より現実世界に連動性を持たせることが可能になります。メタバースとブロックチェーンの関連性を見ていきましょう。
ブロックチェーンを利用することで安全性が増す
メタバースとは、いわゆるオンライン上の仮想空間となります。このメタバースに、ブロックチェーンを活用するメリットを、わかりやすいオンラインゲームを例にとってあげましょう。オンラインゲームでは、ユーザーがゲームの提供元が用意したサーバーにアクセスすることが普通です。しかし、このサーバーがダウンした場合や外部の不正アクセスでデータを改ざんされた場合、ユーザーはどうすることもできません。費やした時間や金銭的コストは担保されずそのまま失う可能性もあります。
しかし、ブロックチェーン技術を活用することで、改ざんの恐れがなくなり、サーバーやデータ管理の負荷を分散することが可能です。さらに、データの整合性が担保されることで、ゲーム内で手に入れたアイテムや通貨などが普遍的な価値を持ちゲームをまたいで保証されます。
オープンメタバース「The Sandbox」
その先駆けとなるのがThe Sandboxと呼ばれるサービスです。通常ゲームでは、自身の手に入れたアイテムを手放す際は、制作者が用意した場所や価格で売却する方法が一般的でした。しかし、ブロックチェーン技術で改ざんリスクの軽減・取引履歴の明確化が実現し、さらに「スマートコントラスト」の活用で個人同士での売買が可能になります。
つまり、今までは制作者サイドに握られていた売却価格を自由に設定できるようになったのです。ゲーム内では、自作のアイテムやLANDと呼ばれる土地を売るなど現実社会のように不動産投資や製造販売を自由に行うことができます。
また、The Sandboxで利用されている仮想通貨「SAND」を始め、土地やアイテムなどは全ては、NTF(非代替性トークン:デジタル資産)であり、手数料を払うことで別の仮想通貨や現金に交換可能です。
注目を集めるNFTマーケット
テレビでも取り上げられた「NFTマーケット」は、いわゆるデータ資産を商品として取引を行うことを可能にしました。資産運用や資金調達としてのNFTマーケットについて見ていきましょう。
メタバース内の為替市場
オンライン上には数多くの仮想通貨があふれており、その仮想通貨の信頼性を担保するために利用されてるのがNFTです。NFTを信頼の担保とした擬似的な為替相場が構築され、新たな市場が開けたといって良いでしょう。しかし現実の為替取引と同様に、それぞれの仮想通貨の相対的な価値は日々変動します。安いときに購入し高いときに売却することが利益を得る基本ですが、仮想通貨は現実の通貨よりも変動が激しいため注意が必要です。ハイリスクハイリターンの傾向はありますが、新たな投資先の候補として大きな注目を集めています。
メタバース内で不動産投資
仮想世界で手に入れた土地を売買したり、レンタルすることで対価としてNFTを得ることが可能です。特に人気がある土地は、現実世界同様に価値が上がっていくため、多くの企業がThe Sandbox内の土地の獲得に動いています。実際に、コインチェックが2021年12月に販売するSandbox土地「LAND」374区画には、総額5億円超の価格が予想されるほど高騰してる事実を鑑みれば、今後のNFTマーケットの動向を見過ごすことはできないでしょう。
メタバース内で資金調達
NFTに対する普遍的な価値が認められたことにより、デジタルデータを担保に融資を受けることもできるようになりました。また、新規参入者に対するNFT投資ファンドが創設されるなどNFTマーケット内で資金調達する動きも高まっています。
GIGxITの取り組み
オンライン決済を安全にするブロックチェーン技術に対するGIGxITの取り組みについて紹介します。
ブロックチェーン推進協会へ加入
一般社団法人 ブロックチェーン推進協会(BCCC)は、ブロックチェーン技術の幅広い普及推進を行う団体です。GIGxITは、このBCCCへ加入し、日々ブロックチェーンの最新情報の取得や技術者や企画者の育成を行い、ネットワークにおけるブロックチェーンの可能性を模索しています。
先駆的にマイニングを実施
ブロックチェーンを用いたNFTマーケットの運用には、膨大なコンピュータリソースが必要です。GIGxITは、ビットコインに代表される仮想通貨の運用にコンピューターリソースを提供する「マイニング」を積極的に行い、適切なブロックチェーン運用に寄与しています。
ブロックチェーンを活用したアプリを開発・検証中
データの信頼性が保証できるブロックチェーン技術を活用することで、オンライン上で様々な契約や取引が安全に行うことが可能です。GIGxITでは、その技術を活用した契約・送金・決済を可能にする新しいアプリの研究開発を進めています。
ブロックチェーンがメタバースを成長させる
ブロックチェーン技術が浸透することでNFTの実用化が進み、メタバースを取り巻く市場に新たな可能性を与えました。新型コロナ流行の影響や市場のグローバル化が進み、オンライン市場は今後ますます大きく成長していくでしょう。そうした中で、データの確実性や安全性を守るブロックチェーンは今後のデジタル市場拡大のために必要不可欠となります。
新たな市場の模索や新規顧客の獲得のためにも、ブロックチェーンやNFT、メタバースに対する理解を深め、広がりを見せるオンライン市場に乗り遅れることがないよう注視していきましょう。