VOCは宝の山!?
AIを活用し効率的なVOC分析を!

お客様による評価・感想・意見といった忖度のない生の声である「VOC」の活用は、企業を成長させていくためには必要不可欠です。

しかし、インターネットを通じて得られる情報は膨大で、その扱いに困っている人も多いのではないでしょうか。集まった情報に対して目的もなく分析を行うことは、砂漠の中で砂金を探すようなものです。VOC分析を意義あるものにするためには、目的意識を持った分析が求められます。

VOC分析の重要性への理解を深め、自社のサービス向上のために成果があがる分析ポイントや役立つツールについて解説していきましょう。

【関連記事】「VOC(お客様の声)とは?収集すべき目的と方法を解説」

VOC分析の重要性

VOC「お客様の声」は店頭接客やアンケート、SNSや電話対応などさまざまな媒体で収集することができます。VOC分析の重要性とポイントについて見ていきましょう。

VOC分析の重要性

VOC分析は、お客様の要望をサービスや商品に適宜反映させるためにとても重要な業務です。サービスや商品の品質向上だけでは他社との差別化が難しい現在、顧客の要望を迅速に反映させ、顧客満足度を向上させることが重要視されています。

よりきめ細やかな顧客対応が求められていることもありますが、潜在ニーズを刺激するようなより提案性の高いサービスや商品が求められているのです。

VOC分析のポイント

従来の分析は、膨大なデータの中から傾向を見出す「探索型」の分析手法が主流でしたが、VOCにおいては、仮説を基にデータで裏付けをとる「仮説検証型」が適しています。

仮説を立てることで目的が明確になり、集めるべき情報が取捨選択しやすくなります。そうすることで、膨大なデータの中から自社のサービスや商品の改善のための糸口を視認しやすくなるでしょう。

VOC分析を行う目的とは

VOCには、直接サービスに関わることから世間話のようなものまでさまざまな情報が内包されています。その中で自社にとっての有益な情報はどれでしょうか。

お客様の生の声をサービスや商品に活かす

サービスや商品の品質向上のためには、実際にご利用いただくお客様の意見を取り入れることが必要不可欠です。しかし、データとして正しく蓄積・分析を行わなければ、お客様の望みを明確にすることができません。また、お客様は本心をはっきりと伝えないことがあるため、寄せられた声を深読みし本音を予測分析する必要があります。

正確なVOCの分析は、お客様の本心をつかむ足がかりとなり「使えるデータ」としてサービスや商品の改善に結び付ける役割を担うことができるでしょう。

自社の課題や方向性の模索

VOC分析の活用は、サービスや商品の改善に役立つだけではなく、自社の課題を明確にし今後の事業運営の方向性を占ううえでも重要な役割を果たします。お客様による外部視点からの意見を集約することで、社内の人材による自己分析では見つけにくい課題も発見できるでしょう。課題を明らかにすることで解決への糸口も得られ、今後展開していくサービスや商品の方向性を決めるうえでも大きな助けとなります。

VOCは社外から得られる本音の意見であり客観的な評価です。是非積極的にデータ収集・分析を行っていきましょう。

効果的なVOC分析の進め方

VOC分析にはさまざまな分析手法がありますが、VOC分析を効率的に行うための方法を簡単に紹介します。

分析の目的を明確化する

VOC分析で重要なポイントは目的を明確化することです。先にも触れましたが、仮説検証型の分析手法を用いることで目的をはっきりとさせることができるでしょう。

仮説の正誤を検証するとともに、得られた結果から新たな仮説を立てたりするなど検証を繰り返す必要があります。また、どういったターゲットにどんな方法でアプローチを行っていくかで収集すべきデータが異なってくるため、分析の目的を押さえた上でのデータ収集が必要です。

システムの導入

VOC分析は人の手で行うことも可能ですが、より効率的で精度が高い分析ができるコールセンターシステムやCRMツールなどを導入することが一般的です。このようなシステムやツールを利用することでVOCの収集・管理の一元化や高精度の分析ができるようになります。システムを導入する際は、データの収集先となる媒体やアプローチ方法によって必要とされる機能が異なるため、自社の業務に適したシステムを選ぶ必要があります。

また、AIを活用することで、音声データのテキスト化などが容易になるため、VOC収集に大いに役立つでしょう。

VOC分析が抱える課題

IT化の浸透に伴いVOCが潤沢に収集できるようになりました。しかし、今度は集めたデータの精度や分析業務が大きな課題となっています。

膨大なデータをどうさばくか

IT化の浸透に伴い膨大なVOCデータの蓄積が可能になった反面、膨大になったデータの整理や取捨選択、分析に非常に手間がかかるようになりました。VOCデータにはさまざまな情報が散在しているため、余分な情報はそぎ落とし、端的に捉えることが求められますが、それを人の手だけで行うのは困難でしょう。

やる人・やれる人がいない

人手が足りずに分析業務ができなかったり、データを収集・分析する能力のある人材がいなかったりすることもVOCの分析が進まない原因の一つになります。

人材の確保や育成は一朝一夕では解決することではありません。じっくりと人材育成に取り組むか外部委託するか検討する必要があります。

データに対する信頼性の確保

VOCから得られるデータは、役立つ情報もそうでない情報も入り混じった状態で蓄積されます。中には雑談や独り言のような内容もあるでしょう。その中から有用な情報を抽出するのが分析の役割ですが、社員の中にはVOCで得られるそもそもの情報に対して、不信感を持っている場合があります。VOC分析の有用性についての知識を広め、積極的な活用を進めるとともに「仮説検証型」の分析方法をとり、データはその裏付けとして活用する方法が良いでしょう。

VOC分析で期待されるAI技術

膨大な情報の分析には、もはやAIの存在は欠かせません。AIの期待値は高く、データの収集管理、分析まで幅広い業務への活用が望まれています。

AIによるVOC分析の自動化

VOC分析における最も大きな課題は、膨大な量のデータをどう収集・管理・分析していくかということです。IT化が進む以前は得られる情報も限定的でしたが、現在はインターネットさえあれば世界のどこからでも情報を集められるようになりました。その結果が、とても人の手だけでは管理できない情報の多さにつながります。

分析業務の効率化を図るため、今最も期待が寄せられているのがAI、人工知能によるデータ収集、管理、分析です。AI技術の進歩は目覚ましく、学習を繰り返させることで人が作業した場合と比較しても遜色がなくなると言えるでしょう。人員による差異も起こらないため、常に一定の条件のもとデータ管理が行えます。

音声データのテキスト化

音声である電話対応のテキスト化も、AIの音声認識機能で自動化が可能です。オペレーターが応対内容を詳細に記録する必要がなくなるため、業務負担の軽減が図れます。テキスト化されることによって検索性も高まり、分析するための情報精度が向上することも期待ができるでしょう。

AIによるリモート接客への期待

新型コロナウイルス流行の影響もあり、店頭での接客が難しい現在、非接触で行えるリモート接客の必要性が高まっています。

AIによるリモート接客の利点は、非接触を保ちつつ店頭接客が継続でき、店内におけるお客様の動向や接客による反応を可視化し最適化できる点です。これにより適切な販促活動が実現し、最適化によるスタッフの接客技術の向上も見込めます。AIを導入することで今まで口頭でのやり取りに終始していた店頭接客も、VOCデータの一つとして収集活用できるようになるでしょう。

【参考】「凸版印刷とギグワークス、「AIリモート接客」で顧客の反応を可視化 _ 凸版印刷」

VOCをフル活用しよう

VOCにはお客様の本音が詰まっており、意見としてあげられるVOCは貴重です。VOC分析を適切に行うことで、顧客ニーズや動向の可視化が可能となり、サービスや商品の品質向上はもちろんのこと、今後の新サービス・新商品の方向性について占うこともできるでしょう。分析によってVOCが適切にサービスや商品に反映されれば、お客様から信頼を得られ、顧客満足度の向上にも期待できます。特にコールセンターなどの電話対応業務においては、トークスクリプトの最適化や業務効率化のためにVOC分析やAI活用を積極的に行うことをおすすめします。

VOC分析は活用のための第一歩です。データを宝の持ち腐れにすることなく適切な分析を行い、自社サービスや商品の品質向上、今後の業務改善に繋げていきましょう。

この記事を書いた人

XIT編集部 アドバイザー 佐藤光章