ゲームで遊んでお金を稼ぐ!?
メタバースで実現する Play to Earn(P2E)の事例とその課題 

ブロックチェーン技術やメタバースを活用したサービスが身近になると共に、副業などの様々な働き方や、新しいライフスタイルについて考える機会も増えつつあります。中でも注目されているのが 「Play to Earn(P2E)」と呼ばれる「遊んで稼ぐ」という働き方です。遊ぶことで得た報酬がそのまま収益に繋がることから、個人だけではなく様々な企業が進出を始めました。しかし、仮想通貨の相場変動、法律や課税に対する不安など、P2Eで稼ぐうえで様々な課題が残されているのも事実です。とはいえ、こうした働き方への関心は徐々に高まっており、今後も様々なサービスが登場するでしょう。 

P2Eの仕組みから具体的なゲームを交えた事例、P2Eが持つ課題についての理解を深め、メタバースにおける新しい働き方の可能性を見ていきましょう。 

【関連記事】Web3.0でライフスタイルが変わる?新時代のWebサービスとその課題

Play to Earn(P2E)とは

電子マネーやオンラインサービスの普及により、個人間での取引も簡単に行えるようになりました。近年はメタバース上に新たな経済圏ができつつあり、仮想空間内で仮想通貨を稼ぐといった動きにも拍車がかかっています。 

Play to Earn(P2E)とは

Play to Earnは直訳すると「遊んで稼ぐ」という意味です。ブロックチェーン技術が進歩し、デジタルデータの付加価値が担保されるようになったことで、ゲーム内で得たアイテムや通貨が現実世界で通用する資産としての価値を持つようになりました。つまり、ゲーム内の収益がそのまま現実の収益に繋がるようになったのです。 

ゲームで稼ぐために

ゲーム内で稼ぐ方法は、ミッション報酬の獲得、アイテムやキャラクターなどの売買、スカラーシップ制を利用したNFTの貸し付けによる手数料の受領などがあげられます。しかし、多くのP2Eゲームは初期費用が必要だったり、課金金額でできることが変わるため、稼ぐためには原資が必要です。元手となるお金が不足している場合も、先にあげたスカラーシップ制を利用すれば、無料でゲームを楽しむことができます。 

ゲーム内の報酬やアイテム売買で稼ぐ!P2Eの事例

P2Eの具体的な事例として、イベント報酬の獲得やアイテムなどの売買があげられます。有名なP2Eゲームを例に具体的な稼ぎ方を見ていきましょう。 

ゲーム内のイベント報酬で稼ぐ!「Axie Infinity」

「Axie Infinity」はNFTゲームの先駆けとも言われ、遊んで稼ぐ「Play to Earn」の火付け役となりました。他のNFTゲームとの差別化を図り、手軽に始められる無料版のリリースも行われています。また、イーサリアムのサイドチェーンである「Ronin」上に構築されているため、手数料が比較的抑えられることもあり初心者にもおすすめです。 

2022年3月のアップデートで、一人で遊べる「アドベンチャーモード」のイベント攻略報酬を得られなくなりましたが、対人戦を行う「アリーナモード」では勝利することで引き続き報酬を獲得できます。アクシーと呼ばれるゲーム内のキャラクターを強化すれば当然有利ですが、強化にはそれに見合った課金が必要です。 

ゲーム内で製造販売!「The Sandbox」

ゲーム内の土地「Land」が高値で売買されたことが話題となり、スクウェア・エニックス、エイベックス・テクノロジーズ などといった大手企業をはじめとした様々な有名企業が「The Sandbox」への参入を表明しました。ゲームを楽しむためには「Land」の購入が必須ですが、 無料のツールを使い、ゲーム内で利用できるオリジナルのアイテムやキャラクターを自由に制作することが可能です。 The Sandboxでは、自作したアイテム等を売買し、仮想通貨でもあるゲーム内通貨を稼ぐことができます。 

【参考】スクエニ、エイベックス、SHIBUYA109、日本企業の「The Sandbox」参入相次ぐ 

P2Eを行う上での注意点

仮想通貨の資産価値が安定しないことや税法上の取り扱いなど、 P2Eには仮想通貨が持つリスクや課題が伴います。それに加え、法律上の問題や今後の規制の強化に対しても注意が必要です。 

相場変動が大きく資産価値が安定しない

P2Eは基本的に仮想通貨での取引です。しかし、法定通貨とは異なり国による担保がないため信頼性が低く、大口投資家の取引の影響などによって価格が急激に変動する場合があります。過去にはビットコインの価格が1日で半値以下に下がった事例もあります。相場変動の要因は多岐にわたり予測が難しいため、安定資産としてとらえるには不安が残るでしょう。 

オンラインでも適用される法律上の問題

日本における賭博罪とは「偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」を指します。これはオンライン上の取引にも適用されるため、日本で認可されていない海外のオンラインカジノの利用者が摘発されました。P2Eゲームの中にも賭博にあたるコンテンツがあることから注意が必要とされています。「偶然の勝敗」であるガチャやスロット、カジノで獲得できるアイテムが現金化できることで、賭博罪として成立するのです。P2E内のコンテンツに対し、今後どこまで規制がかかるかは未知数であり、状況の変化に注意する必要があります。 

【参考】オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です! 

税制上の問題

基本的に仮想通貨として得た利益は雑所得に分類され、年間所得が20万円以上になると確定申告が求められます。雑所得は損失の相殺や繰り越しができず、他の所得金額に合算され、最大45%の累進課税が課せられるため注意が必要です。 

雑所得扱いだった仮想通貨の収入ですが、2022年12月に仮想通貨税制に関するFAQが更新され、要件を満たせば事業所得として認められるようになりました。ただし、副業では事業として認められにくいため、専門家へ相談することをおすすめします。 

【参考】仮想通貨(暗号資産)にかかる税金と確定申告の基本|税理士がわかりやすく解説!【2022年最新】 

ギグワークスグループの取り組み

ギグワークスグループは、 Game-Fi ギルド事業の SAKURA GUILD GAMES(SGG)を運営するSAKURA UINITED PLATFORMと共同し、「Play and Earn」を確立する事業を進めています。 

【参照】【ギグワークス】と【SAKURA UNITED PLATFORM PTE.LTD.】は ギグワーカーの新たな活躍の場としての 「Play and Earn」確立を目指し相互に協力してまいります 

「ギルド」で所属プレイヤーをバックアップ

NFTの貸し出しや攻略のノウハウ提供を行い、ギルドに所属するプレイヤーをサポートします。SGGは、日本人ならではの丁寧なフォローで、プレイヤーの特性に合わせた最適なNFTの提案やアドバイスが可能です。 

「スカラーシップ制」の導入

NFTを持たないプレイヤーにNFTを貸出し、プレイヤーがゲーム内で獲得した報酬の一部を貸し手に還元する制度をスカラーシップ制と呼びます。SGGは貸し手となり、保有しているNFTをギルドの所属プレイヤーへ貸し出しています。 

【参照】GiGworks BASIC

ギグワーカーの新たな収入源として

スカラーシップ制を導入することで、NFTを持たないプレイヤーでも気軽にP2Eゲームを始められるようになりました。ギグワーカーとして働く人の新たな収入源の可能性を提示し、P2Eに挑戦する後押しをしています。 

P2Eで広がるギグワーカーの可能性

新しい働き方「Play to Earn(P2E)」の市場は拡大を続けており、現代の新しい働き方として注目を集めています。その一方で、P2Eには仮想通貨の持つ様々なリスクや課題、そして税制上・法律上の問題点があるため、今後の展開に注視する必要があります。しかし、スカラーシップ制やギルドといったサポートサービスが増えており、初心者でも挑戦しやすい環境が整えられつつあります。何より「遊んで稼ぐ」という言葉の通り、ゲーム内で現実世界とは異なる働き方ができるのも魅力的です。ギグワーカーの新しい収入源としても期待されているため、今後も「Play to Earn」が実現できるNFTゲームの動向が見逃せません。 

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太