
ビジネスプロセスの効率化と生産性向上が求められる現代、kintoneは多くの企業で活用されている強力なビジネスツールです。本記事では、kintoneの基本機能から応用的な使い方まで、効果的な活用法を5つ紹介します。これらの方法を実践することで、業務効率の劇的な改善が期待できます。
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kintoneとは
kintoneは、サイボウズが提供するクラウド型の業務改善プラットフォームです。データベース、プロセス管理、コミュニケーション機能を統合し、カスタマイズ可能なアプリケーションを簡単に作成できます。ノーコードで業務アプリを構築できる点が特徴で、企業の業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援します。
kintoneは2011年に提供を開始して以来、急速に普及し、2020年12月時点で国内の1.8万社に導入されています。この広範な採用は、kintoneの使いやすさと効果的な業務改善能力を示しています。
【参考】kintoneとは
kintoneの特徴
kintoneは、その使いやすさと柔軟性により、多くの企業から支持を得ています。以下に、kintoneの主要な特徴を詳しく説明します。
ノーコードでのアプリ開発
kintoneの最大の特徴は、プログラミングの知識がなくても、誰でも簡単に業務アプリを開発できることです。ドラッグアンドドロップのインターフェースにより、直感的かつ視覚的に操作を行うことができ、最短3分で必要な業務システムを開発できます。これにより、IT部門に頼ることなく、現場のニーズに即したアプリケーションを迅速に作成することが可能になります。
クラウドベース
kintoneはクラウドベースのサービスであり、インターネット接続があればどこからでもアクセスできます。これにより、テレワークやモバイルワークの実現を支援し、働き方改革にも貢献しています。特に、2025年の現在、多くの企業がハイブリッドワークを採用している中で、この特徴は非常に重要です。
柔軟なカスタマイズ
JavaScriptやプラグインを使用することで、高度なカスタマイズが可能です。例えば、ガントチャート表示やGoogleMapの表示など、必要な機能を追加することができます。この柔軟性により、企業固有のニーズに合わせたアプリケーションの開発が可能になります。
強力なプロセス管理機能
kintoneには「スペース」と呼ばれるコミュニケーションの場が用意されており、プロジェクトやタスクの進行に必要なやり取りを集約することができます。これにより、チーム内のコミュニケーションが活性化し、業務の透明性が向上します。
kintoneの導入事例
ZOZO
ZOZOTOWNを運営するZOZOは、kintoneを導入することで、モバイル対応可能な申請・承認システムを構築しました。これにより、意思決定のスピードが向上し、紙ベースの業務のデジタル化にも成功しています。ZOZOの事例は、kintoneが大規模な企業でも効果的に機能することを示しています。
みずほ信託銀行
みずほ信託銀行では、kintoneを活用して現場主導のデジタル化を推進しています。従来はデジタル化されていなかった業務プロセスをkintoneで構築することで、業務改革を進めています。この事例は、金融機関のような規制の厳しい業界でもkintoneが有効に機能することを示しています。
kintoneの得意とする分野
kintoneは、その柔軟性と使いやすさから、様々な業務分野で活用されています。以下に、kintoneが特に得意とする分野を紹介します。
プロジェクト管理
kintoneのスペース機能を活用することで、プロジェクトのタスク管理やメンバー間のコミュニケーションを一元化できます。これにより、プロジェクトの進捗状況を可視化し、効率的な管理が可能になります。
顧客管理(CRM)
顧客情報や商談履歴を一元管理し、営業活動の効率化を図ることができます。例えば、ヤマウチという企業では、kintoneを導入して顧客の案件管理を行っています。これにより、営業チーム全体で顧客情報を共有し、より効果的な営業活動が可能になっています。
在庫管理
製品の在庫状況をリアルタイムで把握し、適切な在庫レベルを維持することができます。kintoneを使用することで、複数の拠点や部門間で在庫情報を共有し、効率的な在庫管理が可能になります。
人事・労務管理
従業員情報の管理や勤怠管理、評価プロセスなどを効率化できます。kintoneを使用することで、人事関連の申請・承認プロセスをデジタル化し、業務効率を大幅に向上させることができます。
営業活動管理
営業案件の進捗管理や売上予測など、営業活動全般をサポートします。kintoneを使用することで、営業チーム全体で情報を共有し、より戦略的な営業活動が可能になります。
kintoneの導入により、企業は業務プロセスの効率化だけでなく、データの一元管理やリアルタイムな情報共有が可能になります。これにより、意思決定のスピードアップや業務の透明性向上、さらにはテレワーク対応など、現代のビジネス環境に求められる様々な課題に対応することができます。特に、2025年の現在、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを推進する中で、kintoneはその実現を支援する重要なツールとなっています。
kintoneの効果的な活用法

kintoneの機能を最大限に活用することで、様々なビジネス課題を解決できます。以下に、特に効果的な5つの活用法を紹介します。
1. プロセス管理機能の活用
kintoneのプロセス管理機能は、申請・承認ワークフローを効率的に構築するための強力なツールです。この機能を使用することで、従来の紙ベースやメールベースの承認プロセスを大幅に改善し、業務の効率化と透明性の向上を実現できます。
プロセス管理機能の設定は、kintoneの一般設定から行います。まず、アプリを作成し、そのアプリ内でプロセスを定義します。各ステータスを設定し、それぞれのステータスに対応する承認者を指定します。さらに、ステータスの変更時に自動で通知を送信する設定も可能です。
具体的な活用例としては、経費精算や休暇申請などの日常的な業務プロセスが挙げられます。これらのプロセスをkintone上で電子化することで、申請から承認までの時間を大幅に短縮し、また承認状況をリアルタイムで確認することができます。これにより、業務の透明性が向上し、管理者は全体の進捗を容易に把握できるようになります。
2. ルックアップ機能で関連データを連携
ルックアップ機能は、複数のアプリ間でデータを効率的に連携させる強力なツールです。この機能を活用することで、データの重複入力を防ぎ、情報の一貫性を保つことができます。
例えば、商品マスターと受注管理の連携では、受注管理アプリに商品コードを入力すると、商品マスターアプリから自動的に商品情報を取得することができます。同様に、従業員台帳と勤怠管理の連携では、勤怠記録に従業員情報を自動的に反映させることができます。また、取引先データと請求書作成の連携では、請求書作成時に取引先情報を自動的に反映させることが可能です。
これらの連携により、データ入力の手間が大幅に削減され、入力ミスも防ぐことができます。また、一元管理されたデータを複数のアプリで共有することで、情報の整合性が保たれ、業務の効率化につながります。
3. Excelとの連携でデータ移行を効率化
kintoneはExcelとの連携機能が充実しており、既存のデータ移行を効率的に行うことができます。この機能は、特に既存のExcelベースの業務をkintoneに移行する際に非常に有用です。
CSVインポート/エクスポート機能を使用すると、Excelデータを簡単にkintoneにインポートし、また必要に応じてエクスポートすることができます。これにより、既存のデータを失うことなく、スムーズにkintoneへの移行が可能になります。
さらに、専用の連携プラグインを使用することで、Excelとkintoneのデータをリアルタイムで同期させることも可能です。これは、完全にExcelからkintoneに移行することが難しい場合や、取引先とのデータのやり取りでExcelを使用する必要がある場合に特に有用です。
大量のデータを処理する際には、CSVファイルの分割やバッチ処理を活用することで、効率的に処理を行うことができます。これにより、システムへの負荷を分散させつつ、大規模なデータ移行を実現することが可能です。
4. 条件通知機能の活用
条件通知機能は、業務の滞りを防ぎ、効率的なタスク管理を可能にする重要な機能です。この機能を使用することで、特定の条件が満たされた際に自動的に通知を送信し、関係者に適切なアクションを促すことができます。
条件通知の設定は、アプリの通知設定から行います。特定の条件を指定し、その条件が満たされた際にメールやkintone内の通知を送信するよう設定します。例えば、タスクの締切日が近づいた際に自動通知を送信したり、特定のステータスに長時間滞留しているレコードがある場合に管理者に通知を送ったりすることができます。
また、タスクの割り当てや期限変更時に自動で担当者に通知を送ることで、情報の行き違いを防ぐことができます。これにより、チーム全体の情報共有が促進され、業務の効率化につながります。
5. 便利なプラグインの導入
kintoneの基本機能に加えて、様々なプラグインを活用することで、さらなる機能拡張が可能になります。以下に、特に便利なプラグインをいくつか紹介します。
KOYOMIは、カレンダー機能を拡張し、視覚的なスケジュール管理を実現するプラグインです。これにより、プロジェクトのスケジュールや社内のイベントを一目で把握することができます。
KOUTEIは、工程管理を効率化し、プロジェクトの進捗を可視化するためのプラグインです。複雑な製造プロセスや開発プロジェクトの管理に特に有用です。
krewDashboardは、kintoneのデータを視覚的に表現し、意思決定をサポートするプラグインです。グラフやチャートを用いてデータを分かりやすく表示することで、経営判断や業務改善に役立てることができます。
これらのプラグインを組み合わせて活用することで、kintoneの機能を大幅に拡張し、より柔軟で効率的な業務システムを構築することができます。
kintone✕AIで更に便利に!
最新の技術動向として、kintoneと生成AIの連携も注目を集めています。この連携により、kintoneの可能性がさらに広がり、より高度な業務改善や意思決定支援が可能になります。
例えば、製造業では生産データの分析と最適化にAIを活用することで、生産効率の向上や品質管理の改善を図ることができます。AIがkintoneに蓄積された過去の生産データを分析し、最適な生産計画を提案したり、異常を早期に検知したりすることが可能になります。
小売業では、顧客データの高度な分析とパーソナライズにAIを活用することで、より効果的なマーケティング戦略を立案することができます。kintoneに蓄積された顧客の購買履歴やウェブサイトの行動データをAIが分析し、個々の顧客に最適な商品推奨や販促施策を提案することが可能になります。
さらに、AIを活用することで、kintoneに蓄積されたデータから新たな洞察を得ることも可能です。例えば、営業活動のデータを分析し、成功率の高い営業手法を抽出したり、顧客の離反リスクを予測したりすることができます。
kintoneの基本機能と拡張機能を適切に組み合わせ、さらにAIとの連携を図ることで、業務効率を大幅に向上させることができます。プロセス管理、データ連携、Excel連携、条件通知、プラグインの活用、そしてAIとの連携など、様々な機能を駆使することで、多様なビジネス課題の解決につながります。
しかし、kintoneの活用は導入して終わりではありません。継続的な改善と学習を通じて、常に最適な使い方を模索することが重要です。ビジネスニーズの変化に合わせて、kintoneの活用方法も進化させていく必要があります。定期的に利用状況を評価し、新たな機能や連携の可能性を探ることで、長期的な業務効率化と生産性向上を実現できるでしょう。
kintoneは柔軟性の高いプラットフォームであり、その活用方法は企業や組織によって大きく異なります。自社の業務プロセスや課題に合わせて、最適なkintoneの活用方法を見出し、継続的に改善していくことが、真の業務改革につながる鍵となるでしょう。