顧客情報を取り扱うコールセンター部門。働き方改革の後押しもあり在宅への移行が望ましいことはわかっていても、顧客情報の取り扱いなどの情報セキュリティがネックとなり、なかなか移行できない企業が多い状況です。
本記事では、コールセンター在宅化の最大のネック「セキュリティ問題」の現状と、その解決策について解説します。
メリットが多いコールセンターの在宅化
メリットが多いコールセンターの在宅化
企業にとってコールセンター在宅化には多くのメリットが存在します。広いオフィスが不要となり、固定費が削減できるだけでなく、在宅化でスタッフの交通費なども削減でき、コストメリットが大きいことは明らかです。
また新型コロナ対策だけでなく、近年頻発している災害などによりオペレーター出勤ができなくなるリスクも軽減できますね。
コールセンターで働く人にとっても在宅ワークにはメリットはたくさんあります。出勤に費やす時間がなくなることでワークライフバランスが整うだけでなく、介護や育児によりキャリアを絶たれることもありません。
また、住む場所の制約はなくなりますし、勤務時間帯の自由度は高く、扶養範囲で働きたいなどの希望に沿った多様な働き方も可能です。在宅ワークの中では高収入であることもコールセンターの特徴です。
在宅コールセンター導入で採用もしやすく
採用難や離職が多いことなどで、慢性的な人材不足が続いてきたコールセンター。しかし在宅勤務を導入したことで応募者が増え、これまで採用できなかった質の高い人材を確保できるようになったコールセンターも少なくありません。
新型コロナ蔓延! それでも進まない在宅化
まず移行できたのは「メール対応業務」
リックテレコム社「コールセンター白書2020」による2020年6月下旬から7月上旬実施の調査によれば、何かしらの業務を在宅移行できた企業は42%となっています。
上記企業のうち、79%がメール対応業務と言う結果に。電話業務の在宅への移行は38%にとどまっているのです。
「情報セキュリティ」を理由に移行できず
この調査結果では、在宅に移行しなかった理由としては「個人情報保護ができない、難しいから」との回答が72%と断トツのトップとなっているのです。
多くの企業では、感染対策としてのうがい、手洗い、検温などを実施しながら従来通りの運営のままとなっていることがわかる調査結果となっています。
企業もオペレーターも、情報セキュリティに不安
オペレーター・SVの不安「情報セキュリティ」
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社が行ったアンケート調査(※)によれば、在宅勤務を導入しているコールセンターに勤務するオペレーター・SVの62%が個人情報を取り扱っていると回答しています。
この中で実に94%のオペレーター・SVが「個人情報の取扱いに不安を感じている」と回答。故意ではなく、意図せず個人情報を漏洩してしまうのではないかという不安があるようです。あらぬ疑いをかけられたくないという思いもありそうですね。
とりかえしがつかない!企業の不安「信用失墜」
企業にとって最も大切なものは「信用」です。情報漏洩は企業の信頼を失墜させる最大のリスクともいえるもの。
業種によってはコールセンターでクレジットカード情報やセンシティブ情報などを日常的に取り扱っており、漏洩したら取り返しのつかない大きな問題となることは明らかです。
オペレーターも企業も、共に不安を抱える在宅コールセンターの「情報セキュリティ対策」。
ここからは、実際の在宅移行にはどのような対策が必要となるのかを確認していきます。
セキュリティ運用 「人材」「システム」「業務モニタリング」3つのアプローチ
在宅コールセンターの「運用面」からの情報セキュリティ対策について、ここでは「人材」「システム」「業務モニタリング」3つのアプローチで考えていきます。
1.「人材」からのアプローチ
オペレーターやSVとの雇用契約にセキュリティ遵守項目を盛り込むことで徹底するという方法があります。在宅に限らず、コールセンターの雇用では既に一般的とも言える方法ですね。
そもそもの雇用形態をアウトソースから直接雇用に切り替えることで、マインドセットを行う方法も有効です。在宅勤務にあたっての教育研修や、資格制度を設けて在宅オペレーターを限定する運用も効果的でしょう。
在宅コールセンターの情報セキュリティ運用において最も重要なのは、やはり人材のマインドセットだといえるのではないでしょうか。
2.「システム」からのアプローチ
まずは「IVR」を活用し、個人情報を取り扱うことのないコールリーズンのみを切り分け、その部分を在宅で対応するという方法は導入しやすい最初のステップでしょう。
コールセンターで個人情報を使用して本人確認を行い、その後の対応を在宅オペレーターに転送することも可能でしょう。個人情報を取り扱うものはコールセンターで対応し、それ以外を在宅オペレーターで対応するなど振り分けて対応する方法はいくつもあるのではないでしょうか。
在宅での対応時に意図せず個人情報を取り扱う通話が混在した場合に備え、個人情報の「ぼかし処理」「マスキング」などのシステムがあればさらに安心ですね。
在宅オペレーターの業務用端末を「シンクライアント」や「ゼロクライアント」になどに整備する方法も有効です。「シンクライアント」はHDDやSSDなどの記録媒体が端末上にはありません。データはパソコン上ではなくサーバー上に保存する仮想デスクトップ環境での利用に特化する端末です。
同じように「ゼロクライアント」も仮想デスクトップとしての動作なのですが、OSやCPUをインストールする必要がなく、ウイルス対策なども容易になっています。
また、ハードウエアだけでなく、ネットワークには「IPアドレス制限」の設定や、「回線のVPN化」による通信セキュリティの担保も必要ですね。
なりすましを防ぐための認証システムの導入も増えています。操作が一定時間行われない場合には自動的にログアウトさせる機能や、ID・パスワードに指紋などの「生体認証」を加えることも可能になっているようです。第三者のなりすましによるログインを防止するのに役立ちますね。
3.業務の「モニタリング」によるアプローチ
オペレーターやSVの在宅業務をモニタリングする方法として、カメラで撮影する方法もあります。PC操作画面のキャプチャと、オペレーターを撮影するカメラでのキャプチャとがあるようです。一定時間、ランダムに撮影するだけでも抑止効果が期待できるといわれています。
さらに、AIの画像分析と組み合わせることで、画面のスマホ撮影の画像や、オペレーター以外の複数人の映り込み画像を自動で選別できるようにもなっています。
性悪説の「監視」「抑止」になりすぎないよう配慮を
先日、既存のウェブ会議システムを活用して、受電中のオペレーターの様子を全員並べてモニタリングする方法をとっているコールセンターを見せていただく機会がありました。
在宅で働いている仲間の顔が見える環境にもなるため、孤独感を和らげ、職場としての一体感を醸成する効果が大きいとSVがおっしゃっていました。
自分だけではなく、みんなも頑張っているんだとお互いに感じられることは、在宅ワークを行うにあたってのモチベーションになっている様子がみてとれる運用でした。互いに見守り合える環境づくりは、在宅ワークにおける大切な要素です。
業務モニタリングは、心理的圧力をかけて情報漏洩を抑止する効果があることは確かです。しかし、働く人の気持ちとしては少なからず抵抗感があるのは当然でしょう。
性悪説での「監視」「抑止」というアプローチとならないよう、業務モニタリングの導入には工夫とアイディアも必要でしょう。
コールセンター在宅化をサポート!PC操作フル録画サービスの4つの効果
画面フル録画というシンプルな情報セキュリティ対策
マウス操作・画面表示・キーボードでの入力など、PC操作画面を記録することが出来るシステムの導入ができると、単に情報セキュリティ対策としてだけではなく、業務改善に幅広く活用することができるようになりますよ!
「ごきげんモニター™」は、日々のパソコン操作を動画でフル録画できるクラウドサービスです。
クラウドだから低コストで1台からスピード導入でき、独自技術でデータ通信量を軽減してあるのでPCへの負担が少なく、操作感覚は導入前と変わりません。
また、カメラによるキャプチャではないので、オペレーターやSVが「監視されている」と感じることもなく、セキュリティ対策が可能です。
効果その1 セキュリティ対策に安心感
カメラを使用しないので、「監視」という感覚がない環境で、いつ・誰が・どのパソコンで・どんな操作をしたのか把握できるため、情報漏えいなどの不正を未然に防ぐ効果があります。
オペレーターやSVにとっては、不正行為の嫌疑がかかったときには潔白を証明する証拠となるのです!在宅ワークを行う際の不安が一気に軽減されますね。
効果その2 システムトラブルの原因究明が早い
間違えた操作が録画されることにより、原因調査を早急に行うことができ、的確で迅速な問題解決が可能です。また、早送りもできるので、スピーディーに探すことができます。
効果その3 業務改善に直結
在宅ワークでは把握しにくい、オペレーターのスキル把握も容易になります。分析結果から非効率な操作や不要なライセンスの見直し ができ、業務効率・生産性向上にも役立つのです。
効果その4 教育研修に活躍
教育時や引き継ぎ時に、説明の難しい画面操作でも、動画で見せることにより圧倒的に理解しやすくなります。在宅ワークの新人研修や引継ぎなどで、活きた指導が可能になります。