ギグワークスクロスアイティのAI-OCRによる業務効率化事例紹介

営業活動や管理業務の現場では、毎日多くの名刺や帳票が扱われています。しかし入力を担当者の手作業に依存していると、時間や労力に加え、入力ミスや情報分散といったリスクが生じます。こうした課題の解消に向け、ギグワークスクロスアイティはAI-OCRとkintoneの連携によるソリューションを提供しています。本記事では、同社のAI-OCRが企業の業務効率化にどのような効果をもたらすのか、その導入事例と技術的な特徴をあわせてご紹介します。

【関連記事】ギグワークスクロスアイティの情報収集サービス「AIリサーチ」とは?

「初動がとても早くなりました」名刺OCRの導入効果とは

営業活動で日々集まる名刺をどのように管理するかは、多忙な営業組織ほど大きな課題になります。手作業で入力していては時間がかかり、情報が分散すると営業活動の質やスピードにも影響します。ここでは、ギグワークスクロスアイティのAI-OCRによって名刺管理の効率化と顧客データの一元化を実現した事例をご紹介します。

顧客企業の紹介と導入の経緯

今回お話を伺ったのは、産業機械の販売・メンテナンス事業を展開する従業員約150名規模の企業です。営業活動が活発で、毎月およそ2,000枚にのぼる名刺を取得していました。

――導入以前、名刺はどのように管理されていたのでしょうか?
「名刺情報をすべて手作業でCRMに入力していたので、作業の負担がとても大きかったです。そのうえ入力が遅れることもあり、誤入力や漏れといったミスも避けられませんでした。」

――kintoneで情報を管理されていたとのことですが、運用上の課題はありましたか?
「社内ではkintoneを活用して顧客や案件を管理していましたが、CRMとは十分に連携できず、データが分散してしまっていました。そのため、せっかく集めた名刺情報や顧客情報を十分に活用できていない状況でした。」

こうした課題を解決するため、顧客企業は「ギグワークスクロスアイティのAI-OCRソリューション」を導入しました。目的は、名刺情報を自動でデジタル化しkintoneに取り込むことで入力工数を大幅に削減すると同時に、CRMとのシームレスなデータ連携を実現すること。これにより営業担当者が入力作業から解放され、顧客フォローや提案活動に集中できる環境を整備する狙いがありました。

導入の成果

導入後、名刺をスマートフォンで撮影し、スキャンするだけでAI-OCRが文字データ化し、即時にkintoneへ自動反映されるようになりました。さらに、顧客情報はCRMとリアルタイムで連携され、データの一元管理が実現しました。

その結果、月間約2,000枚の名刺入力作業の約8割を削減でき、誤入力などのヒューマンエラーも大幅に減少しました。営業活動においても顧客対応スピードが向上し、全社的に業務効率が改善しました。

――導入後、どのような変化を感じていますか。
「名刺を取り込むだけでデータ化されるのは本当に助かっています。これまで入力に追われていた時間を、顧客への提案やフォローに振り分けられるようになりました。営業の立場からすると、データがすぐCRMやkintoneに反映されるため、次の活動への初動がとても早くなりました。」

部門間連携への効果

営業現場だけでなく、管理部門にもメリットが広がりました。正確かつ一元化されたデータを活用できるようになり、案件管理や進捗把握が容易に。これまで二重管理による齟齬が生じていた情報共有が解消され、営業部門と管理部門の連携がスムーズになりました。

――管理部門としての手応えはいかがですか。
「以前は営業からの報告を待たなければ最新情報が把握できなかったのですが、今はkintoneを見ればリアルタイムで顧客状況がわかります。営業や上長との情報共有が迅速になり、内部フローがとてもスムーズになりました。」

今後の展望

顧客企業は名刺管理の自動化を第一歩とし、今後は請求書や注文書など帳票のOCR取り込みによる財務・管理業務の効率化を進める計画です。また、CRMに蓄積された顧客データを分析し、営業戦略やマーケティング施策に活用していく方針も掲げています。

――今後の活用について、どのように考えていますか。
「名刺管理にとどまらず、請求書や注文書といった日々の帳票管理も自動化することで、バックオフィス全体の効率化を図りたいです。また、正確に蓄積された顧客データを活かすことで、営業戦略に活用できると考えています。」

さらに将来的には、生成AIとの連携による顧客対応内容の自動要約や提案資料作成のサポートといった、より高度なDX推進にも挑戦していくことを構想しています。
バックオフィスの効率化や生成AIの活用へと展開することで、同社のDXはさらに進化していくでしょう。

ギグワークスクロスアイティのAI-OCRの特徴

企業の業務現場では、依然として紙や画像としてやり取りされる書類が数多く存在しています。請求書、注文書、契約書、名刺、領収書など、多様な書類を効率的にデジタル化することは、業務効率化やDXの推進に直結する大きな課題です。こうした課題に応えるのが、kintoneとAI-OCRを連携させたソリューションです。ここでは、ギグワークスクロスアイティのAI-OCRの特徴についてご紹介します。

kintoneとAI-OCRの連携がもたらす価値

kintoneはサイボウズ株式会社が提供するクラウド型業務アプリ作成プラットフォームで、顧客管理や案件管理を含む多様なデータを一元管理できる柔軟性が強みです。一方、OCRは紙や画像から文字情報を抽出する技術であり、AI技術の進歩によって「AI-OCR」が登場し、手書きや非定型帳票にも対応できるようになりました。

この二つを組み合わせることで、従来は膨大な時間と労力を要していた紙書類のデータ化や入力作業の自動化が可能となります。データは即座にkintoneへ連携され、組織全体での情報共有や分析に活用できるため、生産性向上に直結する仕組みとなっています。

最新AIを活用

ギグワークスクロスアイティのAI-OCRは、基盤にOpenAIの「GPT-4o」やGoogleの「Gemini」など最新の大規模言語モデル(LLM)エンジンを活用しています。これにより、従来のOCRでは読み取りが難しかったケースに対応しています。

不鮮明な文字の補完

 スキャン精度が低い書類や、かすれ・にじみのある文字も、AIモデルが文脈を推定して正確な補完を行います。これにより、従来OCRでは「判別不能」とされていた入力データの精度が飛躍的に向上しました。

Webサーチと連携したチェック

 会社名や商品名などがOCRで曖昧に抽出された場合、GPTやGeminiがWeb検索の情報と突合し、自動で正答候補を提示。外部データと照合することで、内部データベースにはない最新情報もカバーでき、より正確で信頼性の高いデータ化が可能になります。

自然言語処理による意味理解

 単純な文字認識を超え、文脈理解を伴う分析が可能なため、契約書や報告書のように長文の文脈を伴う書類でも、重要項目を抽出し整理して登録することができます。

こうした取り組みにより、AI-OCRは単なる画像認識から「スマートなデータ変換プラットフォーム」へと進化しています。

主な利用シーンと効果

請求書の自動処理

 取引先ごとに異なるレイアウトにも対応し、取引先名・日付・金額・口座情報を正確に抽出。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も容易になります。

名刺の自動読み取り

 スマートフォンで撮影するだけで、氏名や会社名、連絡先をkintoneに即時登録。外出先からでも顧客情報を正確にデータベース化でき、営業活動の初動を加速します。

契約書・非定型帳票の対応

 AIによる文脈理解を伴うため、契約条件・金額・契約期間などを自動抽出。作業日報やレシートなどの多様なフォーマットにも柔軟に対応します。

AI-OCRを起点にした自動化の拡大

kintoneに集約されたデータと最新AIを連携させることによって、以下のような新たな機能拡張が可能になります。

  • 契約書や会議記録の自動要約
  • 営業資料の自動生成
  • 顧客データのトレンド分析と将来予測

これにより、入力自動化だけでなく、AIによる意思決定支援や提案力強化へと発展していくことが期待されています。
ギグワークスクロスアイティは、OCR処理を単なる自動化にとどめず、AIによる高度な補完・検証機能を組み込むことで、人間の確認作業を大幅に削減する方向性を描いています。

ギグワークスクロスアイティのAI-OCRを意思決定の基盤に

ギグワークスクロスアイティのAI-OCRは、単なる文字認識を超えた次世代ソリューションです。kintoneとの連携により、請求書や名刺などの定型書類から契約書や作業日報といった非定型書類まで幅広くデータ化でき、入力作業の大幅削減と正確性向上を実現しました。さらにGPT-4oやGoogle Geminiといった大規模言語モデルを組み込むことで、不鮮明な文字の補完やWeb情報との突合チェックが可能となり、通常のOCRの限界を超えています。今後は、契約書や会議記録の自動要約、営業資料の自動生成、顧客データのトレンド分析といった領域へ活用範囲が拡大していく見込みです。AI-OCRは「入力自動化の手段」にとどまらず、企業全体の意思決定を支える基盤として進化しつつあり、業務プロセスそのものを変革する中核的な存在となっていくでしょう。

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太