AIカメラ+リモート接客でマーケティングが変わる!

パンデミックをきっかけとしたニューノーマル時代の到来により、非接触で接客のできる「リモート接客」が広く知られるようになりました。また、進化するAIカメラを利用して、リモート接客と同時に収集したデータをマーケティングに活用するといったこともできるようになってきています。

AIカメラを利用したリモート接客とは具体的にどのようなものか、最近注目のエッジAIの解説とともに、導入する際気をつけるポイントなどを詳しく見ていきましょう。

AIカメラはこんなに活用されている

AIカメラは様々な業種で利用され、ますます進化し商業施設やリアル店舗においても、AIとビッグデータを活用した取り組みが次々と導入されています。小売の現場で「AI」はどのような役割を果たすのか、リアル店舗でのAI活用の可能性を見ていきましょう。

AIカメラとは

AIカメラとは、AIアルゴリズムを搭載した高性能なカメラのことを指します。カメラを使って様々な映像を撮影し、撮影された映像を解析して写っている物を認識したり、動きを捉えたりすることが可能です。AIは特に「データをもとにした分析」「パターン化した行動」を得意とし、データ処理や分析を行う過程で自ら学び、学習しながら賢くなることができます。

AIカメラにできること

店舗にAIカメラを設置することで、来店者の人数や性別・年齢といった属性を検知し、店舗内での顧客の行動の把握、商品の選定プロセスに関するデータ取得が可能になります。

また、来店客の流れや通路内で棚のどちら側に寄って歩いているかといったことが分かり、商品棚などのレイアウトに生かすことも可能です。

AIカメラで危険も回避できる

事前にデータを登録しておくことで、万引きなどの前科がある不審者や、怪しい動きを検知することができ、さらには、別店舗でもその情報を共有することが可能です。

また、忘れ物や危険物の自動検知ができ、置き去りを検知したら画面にポップアップして注意喚起したり、警備員に通知することで早急な対応が可能になります。

今さまざまな現場で注目されるエッジAIとは

あらゆるデバイスがインターネットにつながる時代が到来し、従来のようにクラウド側で集中的に処理するだけではなく、エッジ、つまりユーザーに近い場所でデータを処理する「エッジコンピューティング」が昨今注目されています。

エッジAIとは?

エッジAIとは、端末にAIを搭載し、学習・推論させる技術です。この場合エッジ(端)は端末を指します。エッジAIが搭載されている端末を「エッジデバイス」と呼び、例としてスマートフォン、センサー、車が挙げられます。

一方で、クラウドAIとは、大量の端末が取得したデータをネットワークを通して、中央のサーバーなどに送信し学習させる技術です。

エッジAIが注目される背景

IDC Japanの予測によると、2025年、全世界で発生するデータの量は163ゼッタバイトにまで増えるとされています。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワークが浸透したことや、今後5Gが普及し、大量のIoT機器がネットワークに接続されるようになると、ますます膨大なデータがクラウドに送られるようになるでしょう。

その場合、クラウドAIにすべての処理をさせるよりも、現場に近いエッジ端末に組み込まれたエッジAIで処理する方が、よりリアルタイムに対応することができます。

【参考】2025年に全世界で発生するデータ量は163ゼッタバイトに、IDC調査

エッジAIの市場は

富士経済グループの市場調査によると、2018年度には約110億円見込だったエッジAIコンピューティング市場は、2030年度には664億円になると予測されています。エッジAIの市場は大きく産業機器向けと民生機器向けの市場に分類されます。

産業機器は、製造業で現場の機器を制御したり、農業でドローンを自律飛行させてデータを収集するなどで活用されています。民生機器はモバイル機器でありデバイス数が多く、2021年度以降、急速に拡大すると予測されています。

【参考】「本格的な導入が進む国内のAI(人工知能)ビジネス市場を調査」

クラウドを使わない?エッジAIのメリットとは

エッジAIは、取得データを端末内で処理するため、ネットを介してクラウドに送信する必要がありません。そのためリアルタイムで反応できたり、通信コストやリスクを減らせるなど、クラウドAIに比べていくつかのメリットがあります。

反応が速い

クラウドAIは、出力データをクラウドに送信し、結果を受け取るために再度通信するため、時間がかかってしまいます。一方、エッジAIは出力データを端末内で処理するので、よりリアルタイムに近いレスポンスを得ることが可能になり、分析パフォーマンスの向上が期待できます。

通信コストやリスクを減らせる

必要なデータだけをサーバーに送信するエッジAIは、すべてのデータを送信するクラウドAIに比べ、通信データ量を抑えられるため、コストが下がります。

また、通信に乗せたくない機密データは端末内でとどめ漏洩を防ぎ、さらに分析したいデータだけをクラウドにアップロードすることも可能です。

設置が簡単

エッジ・デバイス自体が安価なことから低コストで簡単に始められる点や、通常サーバーを配置できないような場所に設置できるなど、ポータビリティの高さもエッジAIの特徴です。

また、機器ごとに利用者側で自由に改良・改善が可能なこともメリットのひとつでしょう。

エッジAI導入にあたって気をつけるポイント

今までエッジAIのメリットを見てきましたが、エッジAIの導入にあたっては気をつけるべきポイントもあります。ひとつは、端末でリアルタイムに処理できるのが良い点である分、データの蓄積による負担をかけない工夫が必要であるということ、また、AIカメラで画像データを取得する際に気をつけなければいけないことなどです。詳しく見ていきましょう。

エッジデバイスの処理能力には限界あり

IoT端末のようなエッジデバイスは、1台当たりのコストを抑えるために、リソースは低く設計されており、クラウドサーバーと比較するとまだまだ処理能力が低いと言えます。一方で、現場で求められる分析は、品質を向上させるためにメモリ使用量や計算量も伴って増加していくことが考えられます。いかにメモリ使用量を削減し、処理時間を高速化できるかが、エッジAIにおいては非常に重要な検討ポイントになります。

カメラ画像と個人情報

IoT の急速な普及に伴い、それらの機器によって取得されたデータは様々な価値を生み出します。一方で、生活者のプライバシー侵害や、生活者が望まない形でデータが利用されることに対する不安があることも確かです。

事業者は個人情報保護法を遵守すると共に、生活者のプライバシーに配慮し、十分な事前告知等を行うことによって相互にコミュニケーションを図ることが求められています。

具体的には、カメラ画像の取得を実施する際、データの利用目的や利用後速やかに破棄すること、問合せ先などの必要な情報をわかりやすい場所に掲示することが推奨されています。

【出典】「カメラ画像利用ガイドブック_ 総務省 」

【出典】「カメラ画像利活用ガイドブック  事前告知・通知に関する参考事例集_経済産業省」

ニューノーマル時代のAIリモート接客

ギグワークスクロスアイティは、実店舗に設置されたサイネージを利用する「AIリモート接客」を提案しています。遠隔で待機しているスタッフが、AIカメラを搭載した店頭サイネージから店舗を歩く消費者を目視することができ、さらに消費者に対して声をかけることが可能です。

マスクをしていても高精度な人物検知が可能

コロナ禍により、社会生活を送る上でマスクが必須となったことに伴い、顔画像による個人の識別や表情認識は従来よりも困難になりました。

ギグワークスクロスアイティでは、顔画像だけでなく音声認識エンジンによる声色や口調の分析、さらに身振りといった情報を合わせて総合的に判断する技術の調査・開発に取り組んでいます。

設置後すぐデータを取り始められる

店頭サイネージを設置後、すぐにデータの蓄積を始めることが可能です。AIにより店頭の混雑状況を把握し、オペレータに通知することで、常に店頭の状況をオペレータが目視する必要もなくなります。また、1人のオペレータが複数店舗の状況を確認できるうえ、1つのオペレーションセンターから全国各地の店舗へ接客対応が可能です。

分析結果はリアルタイムでオペレータにフィードバック

AIカメラを活用することで、スタッフの接客に対する顧客の反応が可視化できます。そのデータをもとにAIで接客スクリプトを自動生成・随時更新し、販促活動をサポートすることで接客品質を高めることも期待できるでしょう。

また、店頭における来店客の行動や年齢・性別・家族構成などの属性情報を認識し、データとして蓄積することができます。商品やブランドごとにデータを分析することで、より効率的なオンライン接客の実施に向けデータ活用が可能です。

ニューノーマルなマーケティングにシフトしよう

ニューノーマル時代は、AIカメラを利用したリモート接客がますます日々の生活に浸透していくと予想されます。マスクをしていても感情を分析できるシステムや、蓄積された接客データを活用してオペレーションのクオリティを高めるなど、様々なリモート接客のノウハウを持つ、ギグワークスクロスアイティの導入サービスを検討するのも選択肢のひとつです。AIカメラの設置やエッジAIの導入にあたってはいくつかのポイントに気をつけながら、新しい時代のマーケティングにシフトしていきましょう。

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太