トークスクリプトとは、コールセンターのオペレーターが顧客対応を円滑に行うために、電話応対の内容をステップごとにまとめた台本です。トークスクリプトを活用することで、漏れや重複のないステップを踏んだ受け答えができるようになります。また、ケースごとに分岐した台本を用意することで、経験の浅いオペレーターでも一定の応対品質を保つことも可能ですし、ベテランオペレーターのノウハウを反映させることでコールセンター全体の応対品質を向上させることも不可能ではありません。
トークスクリプトのでき次第で応対品質が変わることもあるため、作成時はもちろん運用には注意が必要です。今回は、現場の声を交えながらトークスクリプト作成のポイントと活用方法を確認していきましょう。
トークスクリプトの作り方
トークスクリプト作成のポイントは、順番を追って・漏れなく・重複なく、が基本です。作成時のポイントや具体的な方法について見ていきましょう。
トークスクリプトの基本構成
インバウンドコールかアウトバウンドコールかによってもトークスクリプトの内容は大きく変わりますが、基本的な構成は自己紹介を行う「オープニング」、問い合わせや営業トークとなる「メイントーク」、対応を終えるときの「クロージング」で構成されます。トークスクリプトは電話を取った時から切るまでの一連のやり取りを台本にすることが必要です。
メイントークの作り込み! FAQを活用
最も簡単な方法は、実績があるオペレーターの対応を参考にすることです。もしくは作成そのものを任せてもいいでしょう。コールセンターを立ち上げたばかりの場合は、応対内容を想定してトークスクリプトを一から作る必要があるため、FAQの活用がおすすめです。よくある問い合わせからパターンごとに、トークスクリプトを作成していきます。現在のAI技術では1からトークスクリプトを作ることが難しいため、最初の作成は人力で行う必要があります。
文章を考える際のポイントは、そのまま読めば電話対応できること、専門用語を使わないことです。オペレーターが言葉を追加する必要があったり、お客様にとって理解しにくい専門用語があるようでは、良いトークスクリプトとは言えません。
実際の作成にはトークスクリプト作成ツールまたはテンプレートを
現在はトークスクリプトやフローチャート作成ツールが充実しています。また、トークスクリプトのテンプレートがネット上に公開されているため、これを活用するのもいいでしょう。初めてトークスクリプトを作成する場合は、ツールやテンプレートを自社向けにアレンジしたほうが簡単です。
【参考】インサイドセールスのトークスクリプト | テンプレートや作り方を紹介
トークスクリプトをコール業務に活かすポイントは?
トークスクリプトを実際の電話応対に役立てるためには、事前の読み込みや練習が必要です。練習の方法とコール上でのポイントを紹介します。
ロールプレイングと発音練習
トークスクリプトを一言一句覚える必要はありませんが、どこに何が書いてあるかを把握しておいた方が対応がスムーズになります。お客様応対の練習もかねて、実際に声に出してみたり、オペレーター同士でロールプレイングするなどがおすすめです。分岐点や言いにくい個所をあらかじめ確認しておくことで、実際の応対時も落ち着いて対応ができるようになります。
応対時のポイントは?
トークスクリプトを棒読みするだけでは、お客様に不快感や不安感を与えかねません。電話応対はお客様との言葉のキャッチボールであることを念頭に、お客様のペースや都合に合わせた受け答えができるように注意します。できたらお客様に合わせて話す速度や声の大きさも変えます。
また、トークスクリプトに書かれていない問い合わせが来た時は、お客様を不安にさせないように慌てず落ち着いた対応が必要です。オペレーターが落ち着いて対応するためにも、そういった場合の対応手順もトークスクリプトに記載しておきましょう。
トークスクリプトは常に改善、最新の情報を
トークスクリプトは作成して終わりではありません。最新のサービス情報やお客様からのフィードバック、FAQの更新や良い言い回しへの変更など、時にミーティングを設けながら日々ブラッシュアップをしていくことが必要です。常に最新の状態にしておくことで、オペレーターは安心して顧客対応を行うことができます。作りっぱなしにしないことが運用の上で最も重要です。
トークスクリプトとオペレーターの現状
トークスクリプトがあれば安心、と言い切れないのがコール業務の難しさです。そもそも、コールセンターが作った台本はお客様にとってはまったく関係ありません。柔軟さが必要とされる電話対応にトークスクリプトをどう活用していけばいいのでしょうか。
トークスクリプトを読むだけでいっぱいいっぱい
初めてのコール業務は不安が一杯です。さらに受電業務ですと、覚えるべきサービスや商品知識が多いため、トークスクリプトを読むだけで精一杯になる新人オペレーターも少なくありません。緊張で上手く言葉が出ない場合はロールプレイングを重ねつつも、最終的には実際の業務を通して慣れていくしかありません。しかし、商品やサービスなどの専門知識が不足している場合は、オペレーター向けのFAQシステムをトークスクリプトに連携させることでオペレーターをサポートできます。
トークスクリプトをどこまで遵守すればいいのかわからない
トークスクリプトはあくまで想定したお客様との台本に過ぎないため、実際は台本にないことを聞かれたり、順番が前後したりとトークスクリプトに沿った対応が難しい場合も多々あります。どこまでトークスクリプトに従うかどうかはコールセンターの方針によって左右されるため、まずは上司であるSVなどへの確認が必要です。そのうえで、他のオペレーターのトークを参考に自分なりのアレンジを加えていくと良いでしょう。無理して台本に合わせることで、お客様のペースを乱し不快感を与えることもあるため注意が必要です。
トークスクリプトがあてにならない
トークスクリプトに最新の情報が反映されていないことで、お客様に間違った案内をしてしまったり、会話がかみ合わないことが起こります。それが続くとオペレーターは何を基準に案内すれば良いのかわからずストレスを感じたり、トークスクリプトを見なくなってしまうでしょう。トークスクリプトへの信頼性を高めるため、常に最新の状態にしておくことが大切です。
トークスクリプトは電話応対の指針
トークスクリプトどおりに電話応対が進むことはほぼないと言ってもいいでしょう。しかし、トークスクリプトがあることで最初と最後の挨拶言葉が統一され、初めてのオペレーターに全体の流れを伝えることができます。さらに、参考となる言い回しや切り返し、お客様からのフィードバックなどをトークスクリプトを通じて周知させることも可能です。つまり、トークスクリプトを通じてオペレーターに電話応対の指針を示すことができるのです。そのため、トークスクリプトを作成する際はオープニングからクロージングまでの流れを示すとともに、常に最新の情報に落とし込むことが重要となります。
適宜更新、改善されていくトークスクリプトはオペレーターにとって大きな助けとなるでしょう。