ECサイトの立ち上げは簡単!
押さえるべきECサイト作りの必須5項目 

ECサイトを立ち上げたいものの、何から始めたらよいか分からないという人もいるのではないでしょうか。ECサイトを作るためにはシステムの準備や、ドメイン・サーバーの取得など、Webサイト構築の知識が必要となります。さらに、ECサイトを運営する上では特定商取引法について学んでおくことも重要です。必要な知識や作業は多岐にわたるため気後れしてしまうかもしれませんが、ポイントさえ押さえておけば、ECサイトは少ない時間・コストで立ち上げることができます。この記事では、ECサイトの立ち上げに必要なポイントをまとめて紹介します。 

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ECサイト立ち上げ!必須5項目

サイト規模にもよりますが、ECサイト立ち上げに要する期間は平均3~4か月と言われています。リリースをスムーズに成功させるためには事前準備が大切です。ここではECサイト立ち上げの構想時に押さえてほしい5つの要素について見ていきます。 

①コンテンツ

商品の写真や紹介文を指します。ECサイトでは商品を実際に手に取ることができないため、商品のサイズ感や使い心地を想像するためにも写真の見せ方が重要です。信頼獲得のためには、紹介文でメリットだけを強調するのではなく、問題点や注意事項についても誠実に記載する必要があります。 

②システム

CMSやショッピングカートなど、ECサイトの基幹となる要素です。導入のための方法は主に2つあります。1つ目はパッケージを導入する方法です。これは初期導入と運営に様々な作業が必要となり運用コストが嵩むため、導入の目安となるのは年商1億円以上の法人です。もう1つはASPと呼ばれるクラウドベースのサービスを利用する方法です。これは独自ドメイン取得、サーバーやセキュリティ対策なども含んでおり、比較的扱いやすく少ない予算で導入することができます。 

③ドメインとサーバー

ホームページのURLに使われるドメインには、サーバー管理会社が保有する共有ドメインと、サイト運営者が独自に取得する独自ドメインがあります。独自ドメインは有料で契約などの手間もかかりますが、SSL導入などのセキュリティが確保でき、ブランディングもしやすくなります。共有ドメインは独自ドメインよりも安価で管理も不要です。しかしURLを自由に決められず、また運営会社のサービス終了によってドメインが失効してしまう可能性もあります。

サーバーは想定される顧客数や閲覧数、申込み件数に応じて必要な性能が決まります。またお客様の個人情報を預かる以上はセキュリティを万全にする必要があります。また可用性の観点から運用監視の仕組みを導入しましょう。全て用意してくれるサービスもありますが、その場合もサーバーのスペックや運用体制については必ず確認しましょう。 

④運営担当者

ECサイトの立ち上げや、その後の運営・管理をする担当者です。イベントやセールの実施、広告や宣伝、そしてトラブル対応など、やるべきことは様々です。顧客満足度に直結するため、最適な担当者選びが必要です。自社内に適切な人員がいない場合は、外部委託を検討しましょう。 

⑤ECサイトに関わる特定商取引法の知識

オンライン上で取引をするにあたって守るべき法律として「特定商取引法」があります。ECサイトの運営者はこの法律を遵守する必要があるため、ECサイトを立ち上げる際には十分に理解しておく必要があります。またECサイト上に「特定商取引法に基づくの表記」の記載が必要です。これらについては次の章で詳しく説明します。

特定商取引法について

「特定商取引に関する法律」は「特定商取引法」として知られ、事業者は「特定商取引法に基づく表記」をサイト内に掲載する義務があります。ここではECサイト内に記載すべき内容について説明します。

特定商取引法とは

取引に関わる事業者と消費者の間のルールを定めた法で、悪質な勧誘行為をする事業者から消費者を守ることを目的としています。ECサイトの運営は扱う商品や業種に関わらず、特定商取引法の対象となる取引のうち「通信販売」に分類されます。 

ECサイトに関わる特定商取引法の表記

ECサイトに表示すべき具体的な内容は下記のとおりです。 

・「販売会社名」「所在地」「連絡先」「運営責任者」 

個人事業主であれば氏名または商業登記された屋号を、法人の場合は会社名と代表者氏名または通信販売業務の責任者氏名を明記します。所在地は番地まで明記します。 

・「価格」と「消費税」 

価格は税込みの価格表示が基本で、消費税は項目ごとに明示します。 

・「送料」 

運送会社や地域ごとの配送料など、送料はすべて明示します。 

・「支払い方法」と「支払い回数」 

口座送金やクレジットカード決済など、対応する支払い方法をすべて明示します。 

・「決済時期」と「引渡時期」 

代金の支払い時期、商品の引渡、発送時期のいずれも明示します。 

・「返品・交換について」 

返品条件の具体例を挙げ、日数の条件や返品・交換時の送料などを明示します。 

2022年6月に改正された特定商取引法では「最終確認画面」において顧客に対し契約事項を再度表示する義務が加わりました。システムの改修が必要になる場合もあるため、法改正の話題には注意しましょう。 

【参考】特定商取引法ガイド

ECサイト立ち上げまでの流れ

前述の5項目のポイントを念頭に、ECサイト立ち上げの大まかな流れを紹介します。 

ブランド名・デザインを決める

ECサイトのコンセプトを明確にし、それを顧客にわかりやすく伝えるためのブランド名を決めましょう。例えばブランド名に英語とひらがな、どちらを使用するかによっても顧客に与える印象は変わってきます。

コンセプトとブランド名が明確になったら、ECサイトのデザインを決めます。デザインはコンセプトを踏まえて決定することになりますが、同時に文章の読みやすさや使い勝手の良さなどユーザビリティを意識することも大切です。独自性の高いデザインを目指す場合は、既存のデザインフレームワークでは対応できず大幅なカスタマイズが必要な場合もあります。

商品・ターゲットに応じた販売計画を立てる

ECサイトを運営する上では売上予算を決め、それを達成するための販売価格や販売計画を考えます。ターゲットを明確にし、競合サイトの分析やターゲット層へのアプローチの検討などを行います。こうして立てた販売計画を踏まえて、次のステップである運営体制やシステムの選定へ進むことになります。 

自社運用 vs 外部委託

運営体制を検討する際、考慮すべきは予算とノウハウの有無です。自社でシステムを運用する場合は、システムトラブル等の発生に備えた体制も整える必要があります。不測の事態に満足な対応が行えなかった場合は、顧客からの信用の失墜に繋がりかねません。運営体制に不安がある場合は外部委託を検討しましょう。

システム導入

予算と体制が明確になったら、導入するシステムの検討を行います。規模が小さければASP、大規模であればパッケージが選択肢にあがるでしょう。ただし一度導入したシステムを後で切り替える場合は大きなコストがかかるため、長期的な規模の拡大なども見越した慎重な判断が必要です。 

ECサイトに集客するには?

ECサイトの集客方法としてはSEOによる検索サイトからの集客、SNSの活用、Web広告の利用などが挙げられます。

SNSは口コミによる情報拡散効果が高く、顧客と直接コミュニケーションを取ることもできるため多くの事業者が活用しています。一方で悪評も容易に拡散されてしまうため、SNSアカウントの運用には注意が必要です。Web広告は顧客の年齢層や趣味・嗜好に合わせて提示することができるため効果的です。この2つをリリースと同時に両方活用できる状態にしておけば、より大きな効果が期待できるでしょう。 

ECサイト立ち上げ後の評価・改善計画

ECサイト立ち上げ後も、当初の計画通りに集客できているか・売上を伸ばせているかを評価し改善計画を立てることが重要です。思うように集客できていない場合は広告宣伝の方法やサービス内容を見直しましょう。実際に運用してみると、在庫管理の問題やサポート要員の不足など、当初想定していなかった課題が出てくる場合もあります。新たな課題に対応するための体制を社内に作ることが難しい場合は、外部の専門的な業者へ依頼することも検討しましょう。 

ECサイトの立ち上げは簡単!ただし準備は入念に

オンライン市場を取り巻く環境の変化は早く、チャンスを逃さないためにもECサイトの立ち上げは迅速さが求められます。しかしEC事業を成功させるためには、慎重な判断が求められる箇所も少なくありません。とりわけEC立ち上げの際に重要な5項目については、入念な準備と検討を行うようにしましょう。ECサイトの立ち上げには様々なプロセスを踏む必要がありますが、ASPや外部委託を活用することで、多くの手間を省くことができます。こうしたサービスの利用も視野に、顧客も事業者自身も満足できるECサイトの立ち上げを実現してください。 

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太