新経費精算システム導入!
ギグワークスグループにおけるDXの取り組み

近年、労働人口の減少や働き方改革などの観点から企業のDX化が求められています。ギグワークスグループにおいても、業務効率化や経費削減、法令対応を目的とし、このたび新しい経費精算システム導入を伴うDX化に向けた取り組みを行いました。 

新システム導入に至った目的や経緯、システム選定のポイント、実際の稼働に至るまでの流れをギグワークスグループの事例をもとに紹介します。 

導入概要

新システム導入にはさまざまな課題を伴いますが、現状の問題を解決するため社内のDX化は必要不可欠でした。ギグワークスグループが新システムに求めた役割について説明します。 

DXのきっかけ

それまで使用していた経費精算システムでは、立替・支払・出張などに関する経理業務の効率化や経費削減、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応という観点から十分な役割を果たせないと判断し、2022年に新たな経費精算システムの導入を行いました。既存のシステムが稼働している中で、システム移行を含めた経費精算業務のDX化は大きなチャレンジです。しかし、長期的に見てビジネス環境のスピードアップや省力化に大きな効果が見込めるという認識から導入に踏み切ることとなりました。 

システム選定のポイント

新システムは規模や今後の運用拡張性を考え、クラウドベースのシステムを採用しています。加えて選定の段階で、DX化推進に求められるペーパーレス化・データ連携ができることを前提とし、ギグワークスグループの経費精算業務フローに基づいた入力・処理・出力における条件を明確にしたのです。 

まずは、いつでもどこでも申請・承認ができる時間効率の良い入力が可能なシステムを求めました。他にも、既存の会計システムや基幹システムとのデータ連携性、業務プロセスの変更に対応できる可変性、豊富な分析機能、可視化した分析結果に対する展開機能が必要でした。さらに費用対効果も重要であり、想定利用量に対する費用削減効果のケーススタディを作成し、複数の製品を比較しました。 

コンカ―を新システムとして採用

以上の要件から最終的に株式会社コンカ―が提供している経費精算システム「コンカ―」を導入しました。コンカ―は全世界で8,000万人以上に利用されており、日本でも出張・経費管理クラウドシステムの中で8年連続のトップシェアを誇ります。コンカ―導入で実現したDXの効果については後ほど紹介しますが、入力・処理・出力におけるギグワークスグループの要件を満たし、料金体系も満足できるものでした。また、経費精算システムの選定に合わせて周辺システムの整備も行い、コンカーと連携できるチケット手配システム「出張なび」や請求書AI-OCRシステム「LINE CLOVA」をあわせて導入しました。さらに、交通系ICカードやコーポレートカードを連携させ、ペーパーレス化の実現を強く意識したものとなっています。 

システムの導入から稼働開始まで

それでは実際にどのような流れでギグワークスグループが新システム導入を行ったか見ていきましょう。 

業務プロセス可視化

新システムを導入するだけでは本当の意味でのDX化とは言えません。コンカー導入決定のタイミングで現行の業務プロセスを見直し、決裁スピード向上のために職務権限規定や承認フローの簡素化を行いました。入力時の自動チェック機能を適切に検討・設定し、懸念される簡素化による弊害を防ぐ手立てをとっています。自動チェック機能は経理部門のチェックにかかる時間や労力、無駄な申請差戻しの機会を減らすことにもつながっています。 

各部署との連携

導入に向け、経理、総務、財務、情報システム等の各部門で担当者を決め、定期的に部門間で情報共有・調整を行っていきました。これには、部門間の風通しが良くなる、という副次的な効果もあり嬉しい誤算でした。部門間の連携を図りつつコンカー側とも定期的に打合せながら、策定したスケジュールに沿ってマスタ等の各種設定の準備を行いました。 

新システム対応への利用者向け準備

社員に向けて各種マニュアル・説明動画などを用意し、本格稼働前にオンライン説明会を計4回開催しました。説明動画で操作イメージを把握してもらい、その後の質疑応答で社員のシステム習熟を促しています。質疑応答の結果は別途マニュアルに追加反映し、動画やマニュアルは後から適宜アクセスできるようにしています。動画形式の説明は画面操作の流れを追いやすく、操作手順が分からないことによる拒否反応を抑えるために有効です。 

トライアル

新システムへの移行に際しては、まず役職者等を対象とした一部の社員による部分稼働を行い、運用の感触を確かめてから全社員による本番稼働という2段階での移行を実施しました。そうすることで、本格稼働する前に疑問点や不備を洗い出し、解決しておくことが可能となります。 

稼働開始後

以前のシステムとコンカーでは使い勝手が異なるため、稼働当初は利用者から多くの問い合わせがありました。特に領収書画像の添付手順に関する問い合わせが多かったです。現在は社員のシステム習熟が進み、使用方法に関する問合せはほとんどありません。 

コンカーによるDX化の効果

新システムを導入したことで、業務の効率化や立替経費の分析、新しい法令への対応など今まで抱えていた課題を解決に導くことができました。 

電子帳簿保存法やインボイス制度への対応

要件を満たしたシステムの導入で領収書の原本提出が不要となり、申請者の精算作業の効率化、経理部門の負担軽減が実現しました。2023年10月に導入されるインボイス制度への対応は現在コンカー側と調整しています。 

スマートフォンによる申請・承認の効率化

場所や時間を問わず即時に入力できるようになり、コロナ禍におけるテレワーク推進の一助となりました。経費精算に関する全ての業務をスマートフォンで行えるため、多忙な承認者でも隙間時間を利用した迅速な承認作業が可能です。 

各種連携

交通系ICカードやコーポレートカードと連携したことで、人為的な入力漏れ・入力ミスが軽減しました。また、カード利用で立替払いの発生が抑えられています。 さらに「出張なび」の利用で、国内出張した際の現地支払や宿泊費の手入力による申請が不要となりました。 

柔軟な自動チェック

自動チェック機能で入力の漏れやミスをある程度防ぐことができるため、承認者や経理部門が行うチェック作業の負担軽減が可能です。自動チェックの設定を管理者が簡単に追加変更できる点は、申請フローの簡素化と相まって、即応性を高く保ち柔軟な運用を行う上で役立っています。 

請求書のOCR化

紙の書類や画像ファイル、PDFをテキスト化できるOCR機能を搭載した「LINE CLOVA」の導入により、データ入力の自動化が可能となり請求書作成時間の短縮が実現しました。 LINE CLOVAは認識精度が高く、縦書き横書きなど幅広く対応しているため重宝しています。 

分析レポート機能

コンカーのIntelligenceという分析レポート作成ツールで、集積したデータをさまざまな角度から集約・抽出できます。また、指定した対象者に対して自動作成された分析レポートを定期的に配布する機能も有用です。たとえば、経費種別毎の経費利用上位者などを出力・配布することで、最小限のタイムラグで経費の有効利用の参考としたり、ガバナンス強化に利用したりすることができます。 

目的意識をもって効果的なDX化を 

新システムへの移行には長い準備期間や多くの検討が必要でしたが、導入に得られた効果を見ると、経費精算関連の業務はDX化の効果が出やすい業務領域であったといえます。 

企業が効果的にDX化を進めるためには、目的意識をもち、業務プロセスの改善も見据えながら全社をあげて取り組むことが重要です。今回の導入経験は、他の業務領域へDX推進を進める際の参考となることでしょう。 

この記事を書いた人

ギグワークスクロスアイティ編集部