電話やチャットなど、顧客と顔を合わせない「非対面」での対応を行っているオペレータ。そこは1対1で対峙する密室とも言える空間でもあり、ストレスの多い仕事と言われる理由でもあります。
サポートしてくれるSVとの関係性も「非対面」となる在宅コールセンターの現場では、今どのようなことが起こっているのでしょうか。実際に在宅コールセンターで勤務するオペレータの目線で考えていきましょう。
1. チャットに対するSVの回答が遅い!
お客様に即答できないことだけでも不安
受付内容が多岐にわたる昨今のコールセンターでは、お客様に訊かれたことにすべて即答することはほぼ不可能です。一旦電話を保留にして、自分でFAQを調べるなどして回答できればよいのですが、なかなかそうはいきません。
ましてやお客様が急いでいらっしゃる場合、保留にすることさえはばかられる雰囲気であることも少なくないのです。
「早くしてよ!」と言われながらやっと保留にするケースも。しかし、一刻も早く保留を解除して回答しなければ!と焦れば焦るほど、正しい回答にたどり着けなくなったりするものです。
チャットの回答が返ってこない!
FAQに無いことや、オペレータでは判断できないケースが発生した場合、手を挙げたらSVが走ってきてくれて、指示を与えてくれるのが出勤型コールセンターです。
在宅勤務を導入しているコールセンターでは、SVへの質問やコミュニケーションツールとしてチャットを活用しているケースが多く、在宅オペレータのまさに「命綱」といえるのがチャットなのです。
しかし、SVもギリギリの人数で運営しているコールセンターは少なくありません。人数が足らないだけではなく、SVへの質問や調査依頼というものは、複数のオペレータから同時に集中することがあるものです。
出勤型のコールセンターであれば、オペレータが忙しそうなSVの様子を目で見ることができるのですが、在宅ではそうはいきません。
お急ぎのお客様をお待たせしながら、一方で回答のないチャット画面を見つめる時間の長いこと・・・。板挟みの心理状態となり、焦る気持ちはオペレータにとって相当の負荷となっているのです。
「保留時間は基本的に1分まで」など、センタールールとして定められていることも珍しくありません。SVからの返事待ちで保留時間が長くなってしまうと、オペレータにとっては不満に直結しがちです。
また、保留にするようなケースの多くはお客様の期待にお応えできない内容であることが多いもの。保留を解除し、丁重にお詫びをお伝えしなければならない展開になりがちです。ここでさらにご不満を募らせるお客様も少なくありません。
お客様に寄り添うマインドを持ったオペレータほど、ここで心が折れそうになってしまうことがあるのです。
2. ひとりクレーム対応!
孤独な環境でのクレーム対応
顧客接点である以上は避けては通れないクレーム対応。プロのオペレータとして、ご不満の表明に対してしっかりと対応できることは重要なスキルです。
時には厳しい言葉で叱責される場面も発生します。切電したらすぐに次の電話が入るような忙しいタイミングでは、なかなか電話がつながらないことで、冒頭からご立腹のお客様に謝罪する通話が続くことも少なくありません。
出勤型コールセンターであれば、周囲のオペレータも同じようにひっきりなしに電話対応している状況が肌で感じられます。
「みんなもがんばっているから」と、もうひと踏ん張りできるのですが、在宅コールセンターではそれもなく1人で頑張り続けている感覚に陥りがちです。
クレーム対応は、出勤型コールセンターであれば言葉遣いなどから周囲がすぐに気づいてくれるものです。SVが通話をモニタリングしてくれるだけでも、オペレータにとっては本当に心強いものです。
対応終了後の「大変だったね」というSVからのねぎらいの言葉も、次の通話に前向きに取り組むうえで、とても重要な役割を果たすのですが、在宅コールセンターではそれもなかなか叶いません。
雇用形態が心理的に影響することも
派遣で働くオペレータは多く、その自由な働き方としてのメリットはたくさんあります。しかし、「派遣先企業名」を名乗って対応することは、クレーム対応においては気持ちの上での負荷となることがあるものです。
企業の代表としてクレームに対峙しているものの、自分自身は社員ではないという状態は、不満につながることが少なくありません。正社員であってもクレームからは逃げたくなるものです。しかし派遣のオペレータに「丸投げ」でフォローがない職場では、やはり不満に直結します。
近年コールセンターの正社員雇用は進んではいますが、派遣に限らず、非正規雇用のオペレータと直雇用で正社員のオペレータが混ざり合っているコールセンターはまだまだ少なくありません。
在宅コールセンターであればなおさら、オペレータの雇用形態にも目を向けながら、細やかにフォローする仕組み作りが求められるといえるでしょう。
3. 雑談がない!誰とも会話がない!
仕事中雑談がない人のストレスは14ポイント高い
リクルートキャリアによる2020年9月の調査によれば(※)、2020年1月以降にテレワークを実施した人2272人のうち、テレワーク開始前にはなかったストレスを感じたことがある人の割合は59.6%。そのうちの67.7%の人はストレスを解消できていないと回答しています。
さらに、テレワークによってストレスを感じた人を、仕事中に「雑談がある」回答群と「雑談がない」回答群に分けたところ、ストレスの解消具合に差があることがわかったのです。
「仕事中に雑談がある」と回答した人で、ストレスが解消できていない割合は63.2%
「仕事中に雑談がない」と回答した人で、ストレスが解消できていない割合は77.3%
両者の間には14.1ポイントの差があり、雑談がない人のストレスの方がより深刻であるという結果となっています。
(※)株式会社リクルートキャリア「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査」
ずっと画面とにらめっこ
ランチタイムに同僚と他愛のない世間話をするだけで、午後はリフレッシュできて頑張れた経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
コロナ禍で人と会う機会が激減する中で、雑談の持つ効果が注目されています。コールセンターのように、そもそもストレスが多い職場ではなおさらです。通話の合間に隣の席のオペレータと「今日は忙しいね」などと短く言葉を交わす時間は、実はとても大切なものなのかもしれませんね。
コールセンターでは、通話時間、保留時間、離席時間などあらゆる行動がデータとして残り、評価につながります。お客様との会話でさえ数字で評価される特殊な職場ともいえるでしょう。通話中はプロとして笑顔ならぬ「笑声」を意識して会話を続けているのです。
「雑談」はそれら一切の成果を求められない会話であり、コールセンターには特に重要な役割を果たしている可能性があるのではないでしょうか。
心情把握は対面でも難しい
オペレータが今どんな気持ちで業務にあたっているのか、管理者がリアルタイムで把握することはたとえ対面でも簡単ではありません。
在宅コールセンターではチャットなどのコミュニケーションツールが重要な役割を果たしていると言えるでしょう。ツールを導入するだけでなく、在宅オペレーターの心理状態を掴めるような行動が必要となります。
一見するとムダとも思えるような他愛もない会話が、「今日もありがとう」「あなたを見ていますよ」というメッセージとなって相手の存在を承認する大切な行動となるのです。非対面であるからこそ、意識して行う必要がありそうですね!
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まとめ
いかがでしたか。ギグワークスクロスアイティではCRM/CTIシステム・音声認識・AI・仮想オフィス・ビデオ通信などを活用し、在宅コールセンターの設計・構築・運用までワンストップでサポートしています。
コールセンターCRMシステム『デコールCC.CRM3』は、在宅オペレータを支援するさまざまなしくみをご用意しています。
在宅オペレータからの手上げに迅速に対応できるメッセンジャー機能はもちろんのこと、ビデオ通話機能を使用したオペレータ支援を可能にしています。SVは在宅オペレータの画面を見ながらサポートできるだけでなく、オペレータの代わりに画面を操作しながら説明することもできますし、不安な気持ちを抱えているオペレータとは、お互いの顔を見ながらコミュニケーションをとることも簡単。
日々の朝礼や大事な情報の周知、着台前の研修、面談、フィードバックなど、SVと在宅オペレータが対面のように話すことができる「バーチャルオフィスツール」も好評です。
在宅勤務で不足する「ちょっとした音声コミュニケーション」の機会を確保することは、オペレータのモチベーションに大きく影響します。ぜひご相談下さい。