「トランスペアレンシー」とは?
重要性と実現方法について解説

いまアメリカやイギリスなどでは、企業のトランスペアレンシー(情報の透明性)を求める動きが広まっています。日本でも大企業を中心に広まりつつあり、中小企業にもやがて波及して行くことでしょう。インターネットやSNSが発達したいまの時代にあって、企業が自社の情報を見える化することは、信用を守る意味でも大切です。この記事では、トランスペアレンシーのメリットや重要性、実現するために必要なことについて解説します。

トランスペアレンシーとは

企業の目標や状況に対して、進捗状況を見える化

トランスペアレンシーとは、「情報の透明性」のことを指します。企業の現在の目標や状況に対して、進捗状況が見える化されているかどうかを示すものです。情報がどのぐらいオープンになっているか、ビジュアルは見やすいか、簡単にアクセスできるか、最新の情報が更新されているかなども問われます。

企業の戦略目標やKPIの達成状況などを開示

透明性が求められる情報の内容としては、たとえば毎月の戦略目標の達成状況や、毎週・毎日のKPIの達成状況、KPIを達成するためのアクションの達成状況などがあります。これらの情報を開示することで、上層部の方針を社員にオープンにすることができるとともに、上層部は社員の毎週・毎日の現場の進捗状況を把握することができます。

【参考】トランスペアレンシー(透明性)

トランスペアレンシーのメリットと重要性

顧客との信頼関係の構築

企業の情報が社外に対してオープンになることによって、組織に対する顧客からの信頼感が高まり、お互いの信頼関係を構築することができます。情報の透明性がある企業は、ユーザーが受ける印象もよく、企業のイメージアップにつながります。

自社のブランディングを図るためにも、トランスペアレンシーによって会社運営の透明性を高めることは、有効な手段となります。

内部統制の強化とリスク管理

企業の内部統制を強化するためには、企業の情報をオープンにし、事業を健全に運営することが大切です。また、製品やシステム、サービスなどに関するセキュリティの透明性を高めて、セキュリティリスクの低減を図る必要があります。
たとえばNECでは、重要なインフラを狙ったサイバー攻撃に対応するため、情報通信ネットワークの安全性を維持する目的で、セキュリティトランスペアレンシー確保技術の開発に取り組んでいます。システムの安全性を説明するには、ネットワーク機器やシステムの状態を正しく把握する必要があり、そのためにはセキュリティの透明性を確保することが重要になるからです。

【参考】情報通信ネットワークの安全性を向上するセキュリティトランスペアレンシー確保技術

社員のモチベーション向上

経営上の意思決定や人事の情報などを社員がいつでも見られることで、社員に納得感が生まれ、モチベーションを向上させることができます。
すでにアメリカやイギリスなどでは、企業の情報がオープンになり、誰でもアクセスできる状態であることが、社会的にも求められています。情報に常にアクセスできることで、社員は組織の判断がどんな根拠に基づいて行われているかを把握することができ、納得した上で仕事に向かうことができます。
たとえば、社員の等級や給与をオープンにしている企業もあります。公開されることで、社員自身が自分の職務に責任感を持って臨むことができます。給与の公開までは難しくても、評価がオープンになっているだけでも、社員が納得感を持ち、前向きな目標を立てることができます。

トランスペアレンシーを実現するために

コーポレートガバナンスの確立

トランスペアレンシーを実現するためには、企業が自社のコーポレートガバナンスを確立させる必要があります。コーポレートガバナンスとは「企業統治」の意味で、企業経営を管理監督する仕組みのことです。企業の不正や不祥事を未然に防ぎ、 公正で健全な経営を行うための仕組みづくりが、いま企業に求められています。
「コーポレートガバナンスは中小企業には必要ない」と考える経営者もいますが、中小企業においてもコーポレートガバナンスの確立は、継続的に成長するための重要な要素となります。企業活動は社会に還元されるため、ガバナンスの不備はステークホルダーに悪影響を及ぼす可能性もあるからです。

開示情報の精緻化

トランスペアレンシーを実現するためには、開示される情報が精緻化され、細かい点まで行き届いていることが大切です。わかりやすいビジュアルによって表現されているか、文章がわかりやすくまとめられているか、正確な情報が伝えられているかなど、細部にわたって注意する必要があります。

ステークホルダーとのコミュニケーションの最適化

社員や顧客、取引先、投資家といったステークホルダーに対して、企業の経営状況や事業内容などを見える化して提供することは、コミュニケーションの最適化につながります。

トランスペアレンシーによって企業の透明性が向上することで、投資家は安心感を増し、取引先も信頼感を持って関係を続けることができます。社員はトップのやっていることをよく理解でき、会社における自分の立ち位置も明確になり、何より情報がオープンになっていることでクリアな企業であることをアピールできます。

コンサルティングによるサポート

中小企業の課題把握

トランスペアレンシーは、専門家のコンサルティングによるサポートを受けることで、よりスムーズに実現することができます。コンサルタントが中小企業の経営課題を導き出すことによって、自社の課題が明確になり、情報の開示に向けて何をすべきかを把握することができます。

ベストプラクティスの導入

経営課題が明確になった後は、課題解決に向けて、的確なサポートを行います。コンサルタントが最善の改善策を提案し、具体的な導入に向けてフォローをします。

定期的なレビューと改善提案

トランスペアレンシーが実現された後も、定期的にレビューを行い、その都度必要に応じて改善を行っていくことが大切です。コンサルタントが常に事業運営に寄り添いながら、より良い情報開示の方法を提案することによって、企業の持続的な成長を後押しします。

XITのコンサルティングサービスの紹介

【参考】経営課題解決支援サービス|コンサルティング事業

中小・中堅企業の経営課題を無料で可視化し、解決策を提示

ギグワークスクロスアイティ株式会社では、中小・中堅企業が主役となる社会の実現を目指して、コンサルティングサービスを行っています。トランスペアレンシーの実現に向けて、コンサルタントが中小・中堅企業の経営課題を抽出し、無料で可視化を行って解決策をご提示いたします。

経営課題の解決からソリューション提供まで、一気通貫の支援を実現

ギグワークスグループのサービスインテグレーションにより、システムとオペレーション全般のサポートが可能です。新規事業創出や業務改善を行う株式会社Arinosとも業務提携をしており、中小・中堅企業の経営課題の抽出からソリューション提供まで、一気通貫した支援を実現します。
導入後も中小・中堅企業の事業パートナーとして、「経営課題解決支援サービス」を提供。必要に応じてBPOやDXの推進、業務・オペレーション改善などもサポートするなど、助言だけにとどまらない事業伴走を実施し、企業の成長を支援します。

【参考】経営課題解決支援サービス|コンサルティング事業

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太