在宅コールセンターが増える中、オペレータのパフォーマンス向上策に頭を悩ませている企業からのご相談をいただくことが少なくありません。特にセールス系コールセンターにおいて、受注率は最大の関心事ですね。
本記事では、コールセンターの受注率に影響を与える要因が「職場の活性度」に起因することを解明した、科学的なデータについてご紹介し、在宅コールセンターのコミュニケーション活性化のポイントを考えます。
ビッグデータ解析から受注の可否に影響する要因を確認
多くのコールセンターがスキル向上のための教育研修、表彰制度やインセンティブなどのモチベーション向上施策などを通して、常にオペレータのパフォーマンス向上に取り組んでいらっしゃることと思います。
また、職場として雰囲気の良いコールセンターが、オペレータのパフォーマンスに良い影響を及ぼすことは体験的に何となくはわかってはいるものの、具体的な要因までを特定することは難しいですよね。
しかしビッグデータの計測と解析から得られた、コールセンターの受注の成否に影響を与える要因が「休憩時間中の職場の活性度」であることが定量データとして示された驚きの調査結果があるのです。
この調査は、「日立」と「りらいあコミュニケーションズ(調査実施時の社名:もしもしホットライン)」とが共同で、コールセンターの業績データと、実際にコールセンターで測定した人間行動データを分析したものです(※)。
では、実際にどのような調査方法だったのでしょうか。
※株式会社日立製作所「コールセンターの営業成績に影響する主要因を解明」
赤外線センサー内臓の名札で調査
調査は、受託企業も業務内容もまったく同じである国内2か所のコールセンター(各拠点の担当者:51名、79名)で、セールスを担当するオペレータの行動計測をそれぞれ1ヶ月にわたって行なわれたものです。
赤外線センサーと加速度センサーというものを内蔵した「名札型」のセンサーを、事前に同意を得たオペレータに着用してもらいます。そして、誰と誰が、いつ、何分間対面したかなどをデータとして取得し、解析します。
測定したのは以下の2項目です。
「セールス担当オペレーター同士や上司との対面情報」
「身体的な動き」
これらのデータから得られた情報を分析した結果、「職場の活性度」と、単位時間当たりの「受注率」の間に強い相関性があることがわかったのです。
身体的な動きというのは、要するに「身振り手振り」のこと。身振り手振りが加わるほど話が弾んでいる状態であり、活性度をはかることができるということです。
ここでいう「職場の活性度」とは、名札型センサーから得られる身体的データから計算されたものです。オペレータごとに身体的な動きが、設定した閾値を超えた時間の割合を、2か所のコールセンターそれぞれの全体人数で平均で計算しているのです。
「営業スキル」より「職場の活性度」
影響要因の34.6%が休憩中の活性度
調査の結果、受注の成否に影響する要因のうち、実に34.6%が「休憩時間中の活性度」であり、「スキルレベル」の21.0%を14.6ポイント上回ることがわかったのです。残りの44.4%はお客様の状態・気温などデータとして得られていない要素です。
2か所のコールセンターは、ともに休憩時間の活性度が高い日は、受注率が高くなるという相関関係でした。受注率の差は「営業スキル」よりも「休憩時間中の職場の活性度」に強く影響されているということを示す結果だということです。
2か所のコールセンターの受注率の差
調査が行われる前、この2か所のコールセンターでは受注率に40%の差があったそうです。
受注率が40%高いほうのコールセンターは、低いほうのコールセンターに比べオペレーターの経験日数が短く、スキルレベルも低かったにもかかわらず、40%も受注率が高かったのです。
この調査では、興味深いことに受注率が高い方のコールセンターは、もう一方のコールセンターに比べ、「職場の活性度」も同じく40%高いという結果が得られたのです。
受注率と職場の活性度の数値が一致していることは驚きですね。
同年代との休憩中の会話で受注率がアップ
この調査前、受注率が低いほうのコールセンターでは休憩を取得する時間は自由でよいというルールになっていたそうです。しかし調査結果を受け、休憩を同年代のグループ4名での組み合わせで取得するルールに変更。結果として職場の活性度が向上し、受注率も14%向上したのです。
休憩時間の取り方を変えることでの活性度向上し、受注率の改善につながることが示される結果となりました。
データで示された結果は信頼性が高く、インパクトがある調査結果は驚きです。
「在宅コールセンター」職場の活性度をどう上げる?
休憩中も「ひとり」の在宅ワーク
この調査の対象となったのは「セールス」のコールセンターでした。電話でのセールスは断られ続ける場面が多いことが日常です。休憩時間の同僚とのおしゃべりで、気持ちをリフレッシュすることが受注率に大きく影響を及ぼす要素であったと考えられます。
コールセンターの在宅化が進む中、自宅など職場から分断された場所で業務を行う環境で生産性を高めるためには、どうすればよいのでしょうか。
在宅でもコミュニケーションをとれる場を提供するには
スキルや経験が低いのに活性度が4割高かったほうのコールセンターには、やる気を引き出そうとさまざまな知恵を絞るタイプの管理職の存在が確認されたそうです。
在宅コールセンターにおいて、休憩中のおしゃべりが弾むような仕組みづくりに知恵を絞る必要がありますね。
「バーチャルコールセンター」という選択
在宅でもコミュニケーションをとれる場を提供するには
在宅ワークで分断されてしまった職場のつながりを、あたかも職場にいるような感覚でリアルなコミュニケーションを可能にする方法として、「バーチャルコールセンター」という選択肢があります。
出勤型コールセンターであれば、出勤したら同僚と「おはよう!」と挨拶をかわし、SVによるチームでの朝礼があり、「今日も一日がんばりましょう!」という一体感が生まれるコミュニケーションが続きます。
これらのコミュニケーションは、コールセンターの生産性を上げるために重要な役割を果たしていることはさきほどの調査でよくわかりましたよね。しかし在宅ワークでは、例えばすれ違いざまのあいさつや立ち話もありませんし、休憩時間中も同僚との会話ができません。
このような在宅コールセンターのコミュニケーション不足の解決策として「バーチャルコールセンター」を導入してみませんか?オンラインでも、受電中のSVとのコミュニケーションはもちろん、休憩時間の同僚とのリアルなコミュニケーションを実現します。
ギグワークスクロスアイティではCRM/CTIシステム・音声認識・AI・仮想オフィス・ビデオ通信などを活用し、在宅コールセンターの設計・構築・運用までワンストップでサポートしています。
コールセンターCRMシステム『デコールCC.CRM3』は、コールセンターの在宅化を支援するさまざまなしくみをご用意しています。「バーチャルオフィスツール」もそのひとつ。在宅でも、朝はウェブ上で出勤して同僚と挨拶をかわし、チームの朝礼から一日をスタートできるので、孤独や不安を感じることなく、あたかも出勤している感覚です。
リアルと同じ感覚のセンター運営
個室や会議室もあるので、研修や面談なども同僚と一緒に受けることができるのです。リアルに近い職場環境を提供することで、まるでSVや同僚と同じオフィスで働いている感覚を実現します。
実際にこんなことができます!
- 受電対応中の質問やエスカレーション
- SVによるラウンド
- 休憩スペースでのコミュニケーション
- 個別面談(簡易的な面談やトレーニング)
- 集合研修やミーティング
- クローズド環境での打ち合わせ
- ホワイトボードによる全体周知
- 各種イベントの実施
業界初 【oVice】で コールセンターの在宅化を実現! テレワーク時代の運用方法を解説
デコールCC.CRM 3 _ ギグワークスクロスアイティ株式会社
まとめ
いかがでしたか?休憩時間中の職場の活性化が、コールセンターの生産性に大きな影響を与えていることがビッグデータからも示されていることがおわかりいただけたと思います。
コールセンターの在宅化が進む今、バーチャルコールセンターの導入を検討してみませんか?