「ストローク(Stroke)」とは、心理学用語で「人の存在を認めて行うすべての働きかけ」のことです。言葉をかけることだけではなく、微笑みやアイコンタクトなど、言葉以外の働きかけも含まれます。
在宅化が進むコールセンターでは、SVからオペレータに対する「ストローク」の質と量が、業務効率の向上やメンタルヘルスに大きな影響を与えるといわれています。
本記事では、在宅コールセンターの健康経営に欠かせない「ストローク」について詳しく解説します。
心の「栄養」ストローク
言葉だけではない、さまざまな「ストローク」
ストロークには、握手する・なでるなどの「身体的なストローク」と、ほめる・叱るなどの「精神的なストローク」に分けられます。さらに、それら2種類のストロークは、受け手がどのように感じるかによって「肯定的なストローク」と「否定的なストローク」とに分類されます。
自分がストロークを受け取って、安心感や心地よさを得られるのであれば「肯定的なストローク」であり、反対に不安な気持ちになったり、嫌な感じを受けるときには「否定的なストローク」になります。肯定的か否定的かの判断は、受け取り方で決まるのです。
否定的なストロークが悪いということではありません。職場で上司が注意したり、戒めたりする行為は、その人の存在を認め、成長させる教育的な側面があり、必ずしも悪いことではありません。
バーバル(言語)とノンバーバル(非言語)
ストロークの手段には、言葉を使う「バーバル(言語)」と、微笑みやうなずきなど、言葉を使わずに相手に伝える「ノンバーバル(非言語)」とがあります。
名前を呼ぶ・挨拶するなど言葉を使う行為は、バーバル(言語)を使った肯定的なストロークです。同じバーバルでも、責めるような口調で叱ったりする行為は、否定的なストロークと受け取られるでしょう。
言葉を使わなくても、微笑みかけたり、アイコンタクトをするなどのノンバーバル(非言語)でも肯定的なストロークを与えることができますし、にらんだり目をそらしたりする行為は否定的なストロークとなります。
人は誰でもストロークを得たい
ストロークを提唱したアメリカの心理学者エリック・バーンは「人は何のために生きるのか。それはストロークを得るためだ」と言っています。
人はストローク不足が続くと心のバランスが崩れ、イライラしたり悩んだりするのです。日常生活や職場環境を心地よく健全なものにするために、ストロークは「心の栄養素」と言われる不可欠なものなのです。
ストロークの「飢餓」と「貯蓄」
人は、心の栄養素である肯定的なストロークが不足すると、否定的なストロークで補おうとしてしまうという性質を持っています。この「ストローク飢餓」と呼ばれる状態になると、対人関係などのトラブルに多くの時間を使う行動に出るなど、健全な日常生活を送ることが難しくなってしまいます。
逆に、自ら変化しようとしたり、環境の変化に対応しなければならない局面において、人が変化・成長することができるのは肯定的なストロークを受けられた場合であるといわれています。成長や環境変化におけるストロークの重要性がお分かりいただけるのではないでしょうか。
私たちは、職場や家庭の中でさまざまな人間関係を営んでおり、それは「ストロークの交換」であり、ストロークは心の中に貯めておくことができるものなのです。これを「ストロークの貯蓄」といいます。
職場で発生する環境の変化に、柔軟に対応するためには、ストロークの貯蓄ができる職場環境が求められるのです。
在宅コールセンターで不足するストローク
オペレーターが受け取るSVからのストローク
コールセンターでは、クレーム対応をしていることに気づいたSVがオペレータの座席まで行き、隣からメモによる指示を出したりしながらサポートすることが少なくありません。経験が浅い新人オペレータのサポートなども同様です。
クレームに対応しながら、隣のSVとアイコンタクトを取ったり、SVがうなずいたりしながら「大丈夫!がんばって!」というメッセージを言葉を使わずに伝えるノンバーバル(非言語)のメッセージ。これこそが肯定的なストロークであり、安心や信頼、職場への満足感につながる重要な行動です。
もちろん電話対応の最中だけではなく、職場で交わされる笑顔での挨拶や「お疲れさま!」の一言も実は重要なバーバル(言語)を使った肯定的なストロークの交換なのです。
ノンバーバル(非言語)で伝えられない在宅勤務
在宅コールセンターでは、ストロークを交換する機会は大幅に少なくなります。特にノンバーバル(非言語)で行われるコミュニケーションは激減します。
SVが隣について行うサポートなどはもちろんできません。オペレータはSVからの支援という肯定的なストロークを受け取りにくく、ひとりで対応を続けることになります。
また、チャットを使用してSVにエスカレーションを行う場合なども、オペレータからはSVの表情は一切わかりません。微笑んでいるのか、不機嫌なのかはチャットメッセージの文言から推察するしかありません。ちょっとした文章表現が、意図せず否定的なストロークとしてオペレータに伝わってしまうことも発生しやすくなります。
休憩中に、SVや同僚と話をすることもストロークの交換ですが、在宅ではそれもできません。在宅コールセンターでは、ストロークの貯蓄どころか不足の状態に陥りがちになるのです。
在宅であってもポジティブな職場環境をつくるためには
意識的に肯定的なストロークを作り出そう
肯定的なストロークは、出そうという意識があれば誰でも出すことができる能力を持っています。肯定的なストロークを貯蓄できる職場環境は、意識的に作ることができるということです。
また逆に、否定的なストロークは、出す方はそれに気づかないという特徴があり、無意識のうちに否定的なストロークを与えてしまっている可能性があります。
ストロークを学ぶ研修が増えている
最近では、メンタルヘルス対策としてストロークの研修を行う企業も増えてきました。ストレスチェックで「上司からのサポート」のスコアが低く評価された部署の管理職を対象に、ストロークに関する研修を行うことで自らを振り返り、肯定的なストロークを学ぶのです。
上司と部下の間で交換される肯定的なストロークが多ければ、仕事の効率が上がるだけではなく、信頼関係が築かれ、やりがいを感じられるイキイキとした職場になるのです。誰もが気持ちよく働けるよう、相手の存在を認めるストロークを意識することが大切なのです。
在宅コールセンターにおいては、顧客接点であるオペレータをサポートするSVによる肯定的なストロークの機会を増やしていく取り組みや仕組みの導入が、健康経営のために重要だといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。ギグワークスクロスアイティでは、SVと在宅オペレータが対面のように話すことができる「バーチャルオフィスツール」の導入をご提案しています。
日々の朝礼や大事な情報の周知、着台前の研修、面談、フィードバックなど、出勤しているのと同じ感覚でのコミュニケーションを可能にします。ギグワークスクロスアイティがお勧めするコールセンターCRMシステム『デコールCC.CRM3』は、在宅オペレータを支援するさまざまなしくみをご用意しています。
在宅オペレータからの手上げに迅速に対応できるメッセンジャー機能はもちろんのこと、ビデオ通話機能を使用したオペレータ支援を可能にしています。SVは在宅オペレータの画面を見ながらサポートできるだけでなく、オペレータの代わりに画面を操作しながら説明することもでき、不安な気持ちを抱えているオペレータとは、お互いの顔を見ながらノンバーバルなコミュニケーションをとることも簡単です。
在宅勤務で不足するストロークの交換を可能にすることは、顧客対応のクオリティだけでなく、オペレータのモチベーションに大きく影響します。ギグワークスクロスアイティでは、CRM/CTIシステム・音声認識・AI・仮想オフィス・ビデオ通信などを活用し、在宅コールセンターの設計・構築・運用までワンストップでサポートしています。お気軽にご相談下さい。
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