NFTで未来はどう変わるのか?~メタバース前編~

メタバースは新しいビジネス市場として今最も注目を集めています。ブロックチェーン技術の躍進でオンラインビジネスの安全性や非改ざん性が担保されるようになり、データ資産の価値が認められたことによって、それらの集大成であるメタバースもより価値のあるものとして認識が改められているためです。しかし、メタバースが意味することや仕組み、実際に私たちの暮らしに与える影響についてはまだまだ認知度が低く、利用者も限定的な状態に留まっています。

今回はメタバースに対する基本的な知識を深めるとともに、メタバースが私たちにもたらす新しい生活スタイルやビジネススタイルについて見ていきましょう。

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メタバースは新時代を切り開く!

オンライン上の仮想共有空間を「メタバース」と呼ぶことが一般にも浸透し、メタバースがもたらす経済効果が非常に期待されています。Fasebook社が「Meta(メタ・プラットフォームズ)」に社名を変更したように、これからのビジネスに大きく関わるとされるメタバースとはどのようなものでしょうか。

仮想共有空間「メタバース」とは

メタバースは「meta(超越した)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた造語です。SF作家のニール・スティーヴンスンが作中で描いた架空の仮想空間サービス名「メタバース」が、そのまま現実世界の仮想共有空間を指す言葉として用いられるようになりました。

「メタバース」は、オンライン上で構築されたバーチャル空間の一種で、その中でも現実世界のビジネスを組み込んだ空間のことを指します。

メタバースでできること

ブロックチェーン技術やNFTが浸透することで、オンライン取引の安全性が担保されるようになり、メタバースでできることが大幅に増えました。メタバースで観光や買い物をしたり、アイテムの個人売買を行ったり、NFTによるデジタル資産を保有したりと現実世界と同じように経済活動が行えます。

また、メタバースという大きなくくりの中に入ることで、異なるゲームを行き来することも可能になっているため、今後はより自由な楽しみ方が広がることに期待ができるでしょう。

リアルとデジタルの融合

仮想共有空間が現実世界に近づいたことで、リアルとデジタルの融合が起こりつつあります。消費者はメタバースと現実世界を行き来しながら、レジャーや買い物を楽しむようになるでしょう。こうした傾向を利用し、メタバースをビジネスに活用する企業も増えています。

バーチャルライブイベントの開催

新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、人を集めるイベント業界は大打撃を受けています。そうした苦しい状況の中で、イベント活動を継続し、音楽関係者に活躍の場を与える「メタバース」でのバーチャルライブイベントには大きな期待が寄せられています。

2020年に米津玄師が、大人気オンラインゲーム「FORTNITE」で全世界同時バーチャルライブを開催したこともあり、日本でも既存のメタバースと協同してイベントを開催する傾向が高まっています。メタバースで自身のアバターを操作し、イベント会場までの移動や会場内で好きなアーティストのステージを訪れたりなど、仮想空間を自由に満喫することが可能です。また、オンラインならではの最新グラフィック技術を利用した演出も増えているため、リアルなライブとは一味違った楽しみ方ができるでしょう。

仮想空間で観光と買い物を

メタバースで工場や工房見学、街並みの散策や観光名所への来訪が実現します。さらに通販を組み合わせ、予め地元のグルメを取り寄せ、それを食べながら観光と一緒に楽しんだり、オンライン観光で見た現地の名産品をそのまま購入することも可能です。ネット環境さえあればどこからでもメタバースに入れるため、遠方などの理由でなかなか会えない友人や家族とタイミングを合わせ、オンライン上で一緒に体験に参加するのも良いでしょう。

ユーザーの住む地域に限定されないため、幅広く参加者を募ることができる点も、バーチャルイベントを開催する大きなメリットです。

Sandboxに見る仮想世界の楽しみ方

 オンラインビジネスで今最も活発なメタバースが「Sandbox」です。  Sandboxは自由度が高く、新しいビジネスを生み出す様々な可能性を秘めています。       

Sandboxとは

Sandboxはイーサリアムブロックチェーン技術を利用したNFTゲームで、Sandboxが構築したメタバースで自身のアバターを操作し、自由に活動することができます。感覚としてはパソコンやプレイステーションゲーム、Switchなどで有名な「Minecraft」に似ていますが、Sandboxはアイテムやアバターをより自由にデザインし構築することが可能です。さらに、メタバースで知り合った他のユーザーと会話し、そのままゲーム内仮想通貨「SAND」を利用してアイテム取引を行うこともできます。現在は、Sandbox内で土地や家を買ったり、商品を製造・販売したりと現実に酷似した様々な経済活動が行われるようになりました。

ゲーム内の土地「LAND」

Sandbox内の土地を「LAND」と呼び、発行数が166,464個までに限られていることで付加価値が与えられています。LANDは所有者が自由にカスタマイズすることが可能です。そのためLANDの所有者は、自社商品を売るための店舗やイベント会場の設置、自社ゲームの構築などコンテンツを充実させて集客を図っています。

ゲーム内におけるアバターの大きさが1mに対し、最小購入単位であるLAND1区画の大きさは96m×96m×128mです。他にも「EASTATE」と呼ばれる土地も用意されており、サイズに応じてS・M・L・XLが定められています。現実世界同様に、大手企業や有名人などが所有するLANDや人気のコンテンツを保有するLANDの周辺、お店が集まる中心地区は人気で、土地の転売やレンタルなどで利益を得ることも可能です。

ゲーム内の通貨「SAND」

先ほども少し触れましたが、Sandboxで使用される通貨は「SAND」と呼ばれる仮想通貨です。ブロックチェーン技術でデータの安全性を担保されたNFT(非代替性トークン)の一つであり、Binanceなどといった海外の仮想通貨取引所で他の通貨に変えることもできます。

残念なことに、日本の仮想通貨取引所はまだSANDを取り扱っていません。そのため、SANDを購入する際は、海外取引所で使用できる通貨や仮想通貨を用意する必要があります。また、金融庁の認可外である海外取引所の利用は、トラブルが起きても自己責任となるため注意が必要です。

メタバースはもう一つの現実に!

今後メタバースが広がりを見せることで、ますます新しい市場や新ビジネスの開拓が進んでいくでしょう。新型コロナウイルス流行の影響で、旅行やイベントもままならない現状を打破し、市場の閉塞感を打ち破るための手段としても大いに期待されています。また、メタバースを通じてなら世界中の人々を相手にビジネスを行うことも不可能ではありません。

メタバースの恩恵を受けるためには情報収集が非常に大切です。Sandboxの認知度は未だMinecraftのそれには及びませんが、日本の仮想通貨取引所でSandboxのゲーム内通貨である「SAND」を取り扱うようになれば、急激に利用が広がる可能性を秘めています。

情報へのアンテナをしっかり立てて、より良い形で参入できるよう今から準備をしていきましょう。

この記事を書いた人

XIT編集部 スペシャリスト 塚越友貴