REALとDIGITALの融合が必須な現代の「リモート接客」とは?

新型コロナウィルスの感染拡大により、小売り業界や受付業務なども「非接触」を求められるようになりました。DXの導入やAI、IoTの活用によるリモート接客のアイデアは次々と誕生していますが、顧客は実店舗でのリアルなコミュニケーションに魅力を感じているのも事実です。

リアルとデジタルのメリットを融合させ、ECだけでは得られない顧客体験を維持しつつ、現代のニーズに応える接客のあり方や、それを実現できるサービスについて考察します。

パンデミックによる世界の変化

株式会社電通デジタルが2020年度に実施した「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査」によると、新型コロナがDXの取り組みへどのように影響したかについて、半数が「加速した」と回答しました。新型コロナ拡大によりDXの必要性が一気に加速したと言えます。

では具体的にパンデミックがどのような変化を招き、どのようにDXが取り入れられてきたのでしょうか。

【参考】「日本企業のDXはコロナ禍で加速するも推進の障壁はDX人材の育成_ 電通デジタル」

コロナがもたらしたコミュニケーションの変化

新型コロナの感染拡大に伴い、日本でも生活様式が大きく変化しつつあります。

コミュニケーションの形が、今までのオフラインによるリアルの対面型から、デジタルによる非対面・非接触型へシフトしたため、さまざまな分野でリモート化・オンライン化が加速しました。こういった新しい生活様式は、おそらくコロナが収束した後でもなくなることはなく「ニューノーマル」として定着していくと考えられています。

ニューノーマルのキーワードは「非接触」

新型コロナの感染拡大によりオンライン化が加速した理由のひとつに「非接触」があげられます。街中やお店、あるいは会社や交通機関など、あらゆる場面で感染拡大の原因となる「人との接触」を回避するための「非接触型システム」のニーズが高まりました。このように人々の消費行動が変わったことで、様々な分野においてDXの導入が進んでいます。

ニューノーマルへの変化を支えるDX

新型コロナの感染拡大をきっかけに、DXはビジネス業界にとどまらず社会全体に大きな影響を与えました。多くの消費者や企業が、DXによる利便性の向上や業務効率の改善を実感していると言えます。

パンデミックが収束した後も、企業によるDXの取り組みは続き広がっていくでしょう。

非接触が求められる現代に必要なDX

新型コロナの感染拡大により、消費者が「非接触」の行動を選択するようになったため、小売業や店頭販売・受付のスタイルにも変化が見られるようになりました。販売・接客・受付などの業務を非接触で実現させている、いくつかのアイデアを見ていきましょう。

非接触型ロボットによるデリバリーサービス

Skypeの共同創業者2人が立ち上げた米国「Starship Technologies」社は、6輪走行する「スターシップロボット」を開発、2018年に英国で商用サービスを開始しました。

消費者はスマートフォンを使って注文し、ロボットが店舗から荷物を配送することで人同士の接触無しに商品を受け渡すことができます。

イギリス市場ではパンデミックによって配達が大幅に増え、2021年1月には100万件の自動配送を達成、2019年8月から2021年1月までの間に900%増加しました。

入店も決済も自動で完了する無人店舗

日本では、株式会社セキュアが、顔認証技術を用いて入店や決済ができる「SECURE AI STORE LAB」を2020年7月に東京・新宿にオープンしました。来店者は顔認証登録しておけば自動でゲートが開閉し入店でき、棚から商品を取るだけで自身のクレジットカード等でキャッシュレス決済が完了できます。ソーシャル・ディスタンスを守るための入店制限も可能で、サーマルカメラで高熱を検知するとゲートが開かないようにするといった仕組みも実現できます。

ロボットによる受付・接客業務

株式会社ユニキャストはロボットによる非対面・非接触での接客案内を中心とした「DX推進サービス」の提供を2020年5月より開始しました。

同社は新型コロナウイルスにより変化を必要とされる業務オペレーションのひとつとして受付などの接客業務を取り上げ、スタッフの代わりに非接触で接客案内を行うサービスによって、ロボットのコア業務への活用を含めたDXを強力に推進しています。

パンデミックに負けないリアル店舗の魅力

コロナ禍においてオンラインでの消費活動が勢いを増し、ECの利用が広まる一方、ECだけでは満たされない消費者の行動にも注目が集まっています。

EC化が進んでも、消費者はなおリアル店舗での買い物を継続していることが伺えるのです。リアル店舗でしか享受できない魅力とは一体何か、見ていきましょう。

スーパーもオンラインよりリアル店舗重視

スーパーマーケットの成城石井が、コロナ禍における食品スーパーに対する消費者の意識についてアンケートを実施しました。オンラインショッピングのサービスが充実する中、食品を購入する際は約9割がネットよりも食品スーパーを重視していると答えました。その理由として、商品を直接見たり比較して鮮度等を確認できることや、予定になかった新しい商品や情報の発見を楽しみにしていることがうかがえます。

【参考】「【調査報告】コロナ禍でも約9割が「食品スーパー重視」。ネットではなく食品スーパーを選ぶ理由を徹底調査_スーパーマーケット成城石井」

リアル店舗の価値とは

リアル店舗での買い物に求めるものは「五感での体験」「思いがけない商品との出会い」「店員とのコミュニケーション」だと考えられています。

オンラインではおもに視覚と聴覚しか使えませんが、リアル店舗では、五感をフルに活用できます。また思いがけない出会いという点では、ECサイトにもレコメンド機能がありますが、リアル店舗でいろいろな商品を手にとりながら探して買うということに魅力を感じる人も、いまだ多いと言えます。

さらに、店員の専門知識に魅力を感じるなど、買い物において実店舗でのリアルなコミュニケーションが必要とされる場面は、まだたくさんあるでしょう。

リモートでの接客が大きなカギ

今まで様々なCRMシステムやクラウドサービスを提供してきた実績のある「ギグワークスクロスアイティ株式会社」が提案する「AIリモート接客」は、リアルとデジタルを融合させ、リアル店舗の良さを生かしつつ、DXを活用したこれからの接客と言えるでしょう。ギグワークスクロスアイティの「AIリモート接客」について、詳しく見ていきましょう。

店頭サイネージを活用したリモート接客

店頭のサイネージにAIカメラを搭載することで、オペレーションセンターに待機しているスタッフが店頭を歩く消費者を目視でき、サイネージを通して遠隔から消費者に声をかけて接客することが可能になります。また、1人のオペレータが複数店舗の状況を確認できるうえ、1つのオペレーションセンターから全国各地の店舗へ接客対応が可能です。
今後は、AIにより店頭の混雑状況を把握し、オペレータに通知することで、常に店頭の状況をオペレータが目視する必要もなくなります。
なお、スタッフは複数のアバターを使用することも可能で、店舗や地域にマッチしたアバターを使用し、ファンの育成を視野に入れたエンターテイメント性のあるサービスを提供できます。

トークスクリプトで接客スキル向上

店頭サイネージに搭載するAIカメラやセンシング技術により、接客時の顧客の反応を可視化することができます。そのデータをもとにAIで接客に使用するトークスクリプトを生成・更新することが可能になります。例えば、顧客の性別や年代、来店時間や表情などから、何を購入する傾向があるかなどのデータをもとに、顧客へのアプローチ方法を変えることができます。これらのことは、熟練のオペレータが知識や経験をもとにして実現してきましたが、AIがフォローすることで、たとえ経験の浅いオペレータでも、熟練オペレータのような接客を実現できます。

消費行動データを蓄積し活用できる

来店した顧客の行動や年齢・性別などの属性情報を認識し、データとして蓄積します。これまでのようなPOSやアンケートで入手できるデータだけでなく、接客員の経験やノウハウといった情報もデータ化し蓄積していくことで、購買へのプロモーションに繋げていくことが可能です。

これからの接客はリアルとデジタルの良い所取り

新型コロナウィルスの感染拡大により、小売りや接客業界においてもDX化の流れは加速し、新しく便利なツールが次々と開発されていきます。

しかし消費者のリアル店舗における体験や、人と人とのコミュニケーションを求める傾向はこれからも持続していくでしょう。これからはリアルとデジタルの良い点を融合した、ハイブリッドな接客・小売りサービスのアイデアを取り入れていくことが求められると考えられます。

これまでにない、新たな体験をお届けするAIリモート接客を、取り入れてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

XIT編集部 スペシャリスト 高木英年