ローコードツールやChatGPTの活用でシステム開発が変わる!
今後のプログラマーに求められるスキルとは 

現在、ChatGPTは私たちの業務や日常生活において重要な役割を果たしており、大きな注目を集めています。ChatGPTは自然言語処理を通じて対話や文書生成、要約など、さまざまな処理を行うことが可能です。また、システム開発の分野でもAIなどのツールを活用して業務の変革が進んでいます。例えば、私たちが要件を提示するとAIが自動的にコードを生成するサービスが提供されていますし、ローコード・ノーコードツールによる開発の効率化も進んでいます。

これからのプログラマーは、新しいツールを活用しながらより高度な専門知識を身につけ、AIではできない分野で能力を発揮していくことが求められます。システム開発の概要を理解し、コーディングの自動化の進展や将来的に求められるプログラマーの役割について解説していきます。

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システム開発とは?役割と業務の流れ

家電製品や通信機器などの電子機器、各企業における業務フローの構築、ソフトやアプリケーションには様々なシステムが組み込まれています。システム開発とはこれらのシステムを構築・運用する仕事です。 

開発を担うシステムエンジニアとプログラマー

システム開発に関わる職種にはシステムエンジニアとプログラマーがあります。システムエンジニアはクライアントの要請を基にシステム全体の設計を行う仕事です。場合によってはプロジェクトマネージャーを兼ねていることもあるため、クライアントとの折衝や開発全般の管理を行うこともあります。 

一方プログラマーは、システムエンジニアによって書かれた設計図を基に、実際にシステムが動くようコードを記述する仕事です。プログラマーとして経験を積んでからシステムエンジニアに転向する動きがよく見られます。 

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システム開発の流れ

システム開発の流れを簡単におさらいしましょう。まず、クライアントの要望を聞き取るために「要件定義」を行います。要件定義では、システムに実装したい機能を明確にし、基本設計に落とし込みます。基本設計では、工期や予算、実現すべき機能を顧客と合意します。次に、「詳細設計」を行い、具体的な開発手法やプロセスを決定します。そして、実際の「プログラミング」に入ります。開発が進むにつれて、定期的に「テスト」を行い、不具合を見つけて修正していきます。最終的に、システムを納品します。しかし、納品後も不具合や追加の要望が出ることがありますので、その都度「メンテナンス」を行います。

ローコード・AI活用でシステム開発が変わる!様々な支援ツール

ChatGPTを用いたAIによる文章生成が広く受け入れられてきたのと同様に、プログラム開発の分野でもAIを活用したコードの自動生成やテストの自動化が急速に進展しています。ここでは、ローコード・ノーコードツールによるコーディングとテストの自動化、そしてAIの活用についての事例を紹介します。

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ローコード・ノーコードとは

通常、アプリケーションやシステムの開発には、プログラミング言語を使用してソースコードを記述する専門知識が必要です。しかし、ローコードツールはプログラミングの量を最小限に抑え、直感的なマウス操作でアプリケーションを開発できるように設計されています。ローコード開発ではスクラッチ開発には及ばないものの、ノーコード開発よりも高い自由度を保持しています。一方、ノーコードツールはプログラミングスキルを必要とせず、専門的なプログラミング知識がなくてもアプリケーション開発が可能です。適切に使い分けることで、開発にかかる期間やコストを大幅に削減することができます。

ローコード・ノーコード開発ツール

システム開発現場では、さまざまなローコード・ノーコードの開発ツールが活用されています。例えば、ノーコード開発ツールの一つである「楽々WorkflowⅡ」を使用すると、申請・承認・決算などのワークフローを簡単かつ迅速にWeb化することができます。プログラミングの経験がなくても、マウス操作だけで画面レイアウトを柔軟にデザインし、経路設定や権限設定、申請フォームの自動生成、マルチデバイス対応などが可能です。また、複数のデザインテーマが用意されているため、好みに合ったデザインを選択することができます。

【参考】楽々WorkflowⅡ・ 楽々Workflow3

AIによるコーディング自動化事例

ローコード・ノーコード開発ツールに加えて、AIによる自動コーディングの研究も進んでいます。OpenAIというアメリカのAI研究企業は、AIシステム「OpenAI Codex」を開発し、文章からソースコードを自動生成するサービスを提供しています。このAIは与えられた文章の意図を理解し、統計的なデータに基づいてソースコードを自動的に生成することができます。自然言語処理モデルである「GPT-3」を基盤にしており、Pythonだけでなく、JavaScript、Ruby、TypeScriptなど10以上のプログラミング言語に対応しています。 

【参考】 文章からプログラムを自動生成する「OpenAI Codex」β版APIが公開 「GitHub Copilot」のエンジン 

AIの進化で仕事がなくなる?プログラマーの今後は

開発ツールの活用やAIによるコーディングには多くのメリットがあります。しかしこのままコーディングの自動化が進むと、システム開発における専門技術の需要が低下する可能性があります。では、プログラマーのスキルが今後も重要とされる分野はどのようなものでしょうか?また、将来にわたって競争力を保つためには、どのようなスキルを身につけるべきでしょうか?この点について見ていきましょう。

自動化のメリットとは

コーディングやテストの自動化は、作業速度を向上させるだけでなく、さまざまな利点をもたらします。例えば、自動化によってプログラムやテストの品質における個人差が緩和され、結果として成果物の品質が向上すると期待できます。さらに、ツールを用いることで設計書とソースコードの整合性を容易に保つことができ、仕様が変更された場合でも迅速にコードやテストを修正することが可能になります。これにより、システムの運用がより柔軟になります。また、AIを利用した要件定義書や設計書のレビューなど、さらなる利点も存在します。 

自動化のデメリットにプログラマーの需要あり

AIによるコーディングは着実に進歩していますが、いくつかの課題が依然として存在します。例えば、AIは過去に書かれたコードから学習するため、生成されるコードは基本的に過去の事例を踏まえたものとなります。したがって、前例のないアプリケーションや、一般的でない業務知識を必要とするプログラムの作成では、AIが適切なコードを生成するのは難しいかもしれません。

また現時点では、AIが自律的に完全なプログラムを作成することは依然として困難であるため、プログラマーの専門的な知識と支援が必要です。しかし、将来的にはAIがコードのバグを修正したり、新しいコードのアイデアを提供したりする能力がさらに進化することが期待されます。

今後のプログラマーの在り方

AIの進化によって、プログラミングにおける自動化の精度はますます向上することが予想されます。単に既存のコードを流用して要件を満たすだけの仕事は、AIに取って代わられる可能性があります。

プログラマーとしての存在感を保つためには、AIがまだ対応できない新しい技術やサービスに関する知識を積極的に身につけて対応することが重要です。また、AIでは難しいクライアントとのコミュニケーションや開発プロセスの管理といったスキルも必要とされます。これらの能力は、システムエンジニアとして開発の上流工程を担う上で必要不可欠です。さらに、望ましい結果をAIとの対話から引き出すための知識やテクニックも、今後ますます求められるでしょう。

プログラマーとして今後も活躍していくために

開発期間の短縮やコスト削減など、多くのメリットがあるため、コーディングやテストの自動化はますます普及していくでしょう。現代のプログラマーは、AIによる自動化やノーコード・ローコードツールを積極的に活用して業務に取り組む必要があります。AIに単純な作業を担当させることで、より重要な開発業務や自己啓発に時間とエネルギーを注ぐことができるようになります。AIには難しいコミュニケーションやマネジメント能力を身につけ、今後も第一線で働き続けられるプログラマーを目指して邁進していきましょう。 

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太