AI時代に求められるデジタル人材とは?
プロンプトエンジニアリングの重要性と学習法、そしてこれからの活躍の場
 

現在、AIサービスの活用は民間企業だけでなく、公共機関でも見られます。私たちの生活に深く浸透し、日々の存在となっているAIは、今後さらなる活躍の場を広げていくことでしょう。その裏で需要が増しているのが、AIの学習を効果的に推進する「プロンプトエンジニアリング」です。AIが生活のさまざまな場面で人間と同等の働きを果たすのは、指示や要求を的確に伝えるプロンプトエンジニアリングの技術によるものです。この記事では、プロンプトエンジニアリングの概要、活用例、そして学習方法について紹介します。

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プロンプトエンジニアリングとは

ChatGPTに代表される大規模言語モデルを利用したサービスの要となるのが、プロンプトエンジニアリングです。大規模データの中から的確な情報を導き出すために必要なプロンプトエンジニアリングについて説明します。 

プロンプトとは

「プロンプト」とは刺激や促進という意味を持つ英単語です。コンピューター科学の文脈では、コマンドラインインターフェースでユーザーがコマンドを入力する位置を示す記号を指すことがあります。最近では、言語モデルに対して与えられる指示の意味で用いられることも増えてきました。例えば、現在注目されているChatGPTは、ユーザーからの入力(つまりプロンプト)に対して人間が会話を行うかのようなレスポンスを生成します。

プロンプトエンジニアリングとは

言語モデルの利用が盛んになるにつれて重要性を増してきたのがプロンプトエンジニアリングです。プロンプトエンジニアリングとは、GPT-3やChatGPTなどの大規模言語モデルを活用して、ユーザーの要求に適したレスポンスを生成するための手法です。ChatGPTに対して抽象的な要求を入力すると、それに対するレスポンスを得ることができますが、そのレスポンスがユーザーが求めるものであるとは限りません。そのため、より具体的な指示や情報をプロンプトとして与えることで、求めるレスポンスをより効率的に得ることが可能となります。これがプロンプトエンジニアリングの役割です。 

プロンプトエンジニアリングの重要性

文章やプログラムコードの生成など多様な場面で利用されている言語モデルを最適に動作させるためには、プロンプトエンジニアリングが重要な要素となります。効果的なプロンプトエンジニアリングにより、ユーザーの要求に迅速かつ正確にレスポンスを提供することができます。これにより、様々なアプリケーションやサービスが実現可能となり、問題の解決がスピーディに行えるため、ユーザーエクスペリエンスの向上にも寄与します。 

産業界におけるプロンプトエンジニアリング

AIサービスが増える中、プロンプトエンジニアリングはどのように活用されているのでしょうか。活用例を見ていきましょう。 

AIサービスのカスタマイズとプロンプトエンジニアリング

AIサービスが日常生活に浸透する中で、プロンプトエンジニアリングの役割がますます重要になっています。例えば、ある特定の商品やサービスについての質問を行うためのチャットボットを考えてみましょう。プロンプトエンジニアリングを活用すれば、そのチャットボットに特定の業界知識を組み込むことが可能となります。これにより、従来は人間のオペレーターが必要だった専門的な質問に対してもチャットボットが対応できるようになります。これはユーザーエクスペリエンスの向上だけでなく、オペレーターの作業負担の軽減にも寄与します。

自然言語処理とプロンプトエンジニアリング

多くの人々がChatGPTなどのAIとの会話を通じて、その人間らしい応答に驚いた経験があるでしょう。しかし、時には期待した答えを得られないケースもあります。このような場合に自然言語処理におけるプロンプトエンジニアリングの重要性が明らかになります。質問の形式や提供する具体的な情報を工夫することで、より期待に沿った応答を得ることができます。例えば、物語を生成して欲しい場合、「物語を作成して」とだけ要求するよりも、「幼児向け」「寝る前に読む」「楽しい」「動物が出てくる」などといった具体的な条件を提示した方が、望む結果を得やすくなります。 

教育機関におけるプロンプトエンジニアリング

生成AIの普及に伴い、その活用手法であるプロンプトエンジニアリングの技術がますます重要となっています。そのため、新たにプロンプトエンジニアリングのコースを設ける教育機関も登場しています。ここでは、教育現場におけるプロンプトエンジニアリングの現状を見ていきます。 

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プロンプトエンジニアリングに求められるスキル

プロンプトエンジニアリングには、自然言語処理(NLP)に関する知識が不可欠です。自然言語とは、人間が日常的に使用する言語のことを指し、それを生成AIが理解できるようにする必要があります。また、生成AIがより良い回答を提供するためには、質問や指示が簡潔で明確であることが重要です。そのためには、文章の構造を理解し、それを元に自然な回答を導き出すためのプロンプトを作成する能力が必要です。また、ユーザーエクスペリエンスを向上させるアイデアを言語化し、創造する力も重要となります。さらに、システム開発にはプログラミング言語が使用されるため、プログラミングの知識も必要です。

プロンプトエンジニアリングを学べる教育機関

プロンプトエンジニアリングの需要が高まるにつれ、様々な教育機関でその教育プログラムが設けられています。

TechAcademyでは、2023年7月から「はじめてのプロンプトエンジニアリングコース」を開講しています。このコースでは、自然言語生成の仕組みやプロンプトエンジニアリングの技術を学び、業務効率改善の取り組みを考案し実装することができます。4週間のオンラインコースなので、プロンプトエンジニアリングに直接関わっていない人でも学ぶことが可能です。

また、パイソンメイカーが開催する「プロンプトエンジニアリング入門講座」は、法人向けにも対応しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の知識から始めて、ChatGPTのプロンプト入力のコツやPythonのプログラミングまで学べます。そのため、AIの導入自体は進めているがその活用方法に困っている企業でも利用できる講座です。ChatGPTを利用したPythonコード生成の方法も教えているため、非エンジニアでも無理なく学べます。

【参考】はじめてのプロンプトエンジニアリングコース 

【参考】プロンプトエンジニアリング入門講座ChatGPT+Pythonでプロンプトエンジニアに、おれはなるっ!!!! 

AIと上手に共生するために

プロンプトエンジニアリングは、AIと効果的に共同作業を進めるための重要なスキルとなっています。ChatGPTを始めとする生成AIの使用方法を理解することは、その効果を最大限に引き出すために必須となっています。生成AIは素晴らしい便利さを提供しますが、その使用方法を誤っていると、かえって時間と労力を浪費する可能性があります。

「エンジニアリング」という言葉に敷居の高さを感じる人もいるかもしれませんが、プロンプトエンジニアリングは基本的にはAIと効果的に対話するためのテクニックです。AIを効果的に活用できるようになると、ビジネスプロセスの効率化だけでなく、日常生活をより快適にすることも可能になります。

教育機関では既にこの需要に応えるためのコースが提供されており、多くの人々がプロンプトエンジニアリングの学習を始めています。非エンジニアにとっても学びやすい領域です。これまでAIとの対話に悩んでいた方は、ぜひプロンプトエンジニアリングに挑戦してみてください。

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太