1対1で行うクレーム対応など、ストレスが多いコンタクトセンターのオペレーター。優秀な人材が、離職せずに長く働いてくれる職場づくりは、センターミッションを達成する上での重要な要素です。
業務上のストレスが離職に影響を与えていることも現実です。本記事では、オペレーターのストレスを理解し、今すぐとるべきストレス緩和策をご紹介します。
オペレーターが抱えるストレスとは
オペレーターの「役割ストレス」とは
オペレーターのストレス要因として最初に挙げられるのは、やはりクレーム対応だといえるでしょう。しかし、単純にクレームをはじめとする顧客対応のストレスだけではありません。対応時間が長くなってでも、細やかな顧客対応をすべきか、センターの生産性目標達成のためには対応時間を短くすべきかなどの葛藤が、オペレーターが抱えがちなストレス要因の特徴といわれています。
このように、顧客と企業の期待とが相反するなど、複数の期待の間に矛盾がある役割を担うことによって生じるストレスを「役割ストレス」と言います。
顧客視点に立つことができる人材ほど、この役割ストレスを抱えることが多く、最悪の場合には離職につながることもあるのです。
求められる役割は高度化
このようにストレス要因が多い職場である上に、近年コンタクトセンターの役割は急速に高度化しています。
通信手段の多様化に対応するためのオムニチャネル化、人工知能などの最新テクノロジーの導入、顧客体験価値の向上など枚挙にいとまがなく、その変化スピードも加速しているのです。
ストレスが多く、その上求められることはどんどん高度になっていく。
今、多くのコンタクトセンターという職場で現在起こっていることなのです。
入社1年以内の離職率の高さ
高すぎるコンタクトセンターの離職率
「コールセンタージャパン」による2018年コールセンター実態調査によれば、多くの企業で30%以上の入社1年以内のオペレーターが離職しており、なんと22%の企業では70%以上が1年以内に退職していると回答しています。
(引用元:早期離職を防ぐ「最初の90日」の乗り越え方 https://callcenter-japan.com/magazine/3838.html)
コロナ禍で、コンタクトセンターの採用については上向きであるようですが、せっかく採用した人材が定着しなくては、ますます現場は疲弊していくでしょう。
離職により止まらぬ「負の連鎖」
離職率が高くなると、常に採用と新人研修が必要となります。SVは、現場を離れて新人教育やフォローに回らねばならず、わずかに残った新人オペレーターへのフォローも手薄となり、最終的に、採用した全員が辞めてしまったという話は少なくありません。このような負の連鎖に陥ると、要員不足からシフトは埋まらず、応答率は下がる一方になってきます。今いるオペレーターもどんどん疲弊していき、顧客満足度どころではなくなっていくのです。
離職抑止のためのストレス管理は、コンタクトセンター戦略の中でも大変重要といえるものなのです。
コンタクトセンターのストレスとは
ここまで、ストレスによる離職率悪化がコンタクトセンター運営に与える悪影響について確認しました。ここからは、コンタクトセンターで発生するストレスにはどのようなものがあるのか解説します。
ストレスの原因となるものを知ることが第一歩
ストレスには過労や不安などの悪いストレスだけでなく、自身の成長のために必要な良いストレスも存在することを理解しておくことが大切です。その上で、悪いストレスはできるだけ緩和し、過剰なストレスを防ぐことが大切です。
コンタクトセンターで発生しがちなストレスには、主に以下のようなものがあるといわれています。
●長時間労働
長時間労働はストレス要因となります。労働関連法令を遵守するのは当然ですが、オペレーターが定期的に休憩をとれるようストレス要因を見逃さずに管理することが求められます。
●納得感のない目標設定
決められた時間内に処理できない業務はストレス発生の原因となります。目標設定には十分注意する必要があります。
●支援の不足
特に新人オペレーターにはプレッシャーが多く、SVやトレーナーなどからの支援がストレス緩和に大きな効果があります。支援が欲しいであろうタイミングを逃さずに声をかけるなど、孤独にさせないことが重要です。特にクレーム対応については、新人オペレーターが個人で対応するのではなく、チームや組織で対応するものだということをしっかりと伝えながら、フォローしましょう。
管理者やSVは、日頃からオペレーターを観察し、必要なタイミングで手を差し伸べられる体制を確保しておきましょう。
●知識やトレーニングの不足
知識が不足したまま顧客対応を行うことは、大きな不安材料となります。顧客からの質問に自信をもって答えられるよう、知識を与えることでストレスを軽減させることが可能です。
また、コンタクトセンター業務は、知識があるだけでは顧客対応はできません。知識を活用しながら、各種のシステムを使いこなして対応できるよう、ロールプレイやOJTなどのトレーニングを行い、不安を取り除いてあげましょう。
新人オペレーターには、知識の習得やトレーニングは、自分自身のストレスの軽減にもつながるということを伝えましょう。ストレス対策だけでなく研修効果を上げるためにも有効です。
●適切でない評価制度とフィードバック
できる限り納得度の高い評価が必要です。完全に公平な評価を行うことは難しいのですが、客観性があり、今後のキャリアが描ける人事制度が望ましいでしょう。
評価も重要ですが、定期面談などでのフィードバックも重要です。実施する前には十分な事前準備を行い、定量評価と事実を根拠とするフィードバックを心がけましょう。
●休養不足や私生活の問題
休日にしっかりと休養できない要因を抱えているなど、何かしらの私生活の問題が仕事に影響を与えていることは少なくありません。SVが安易に介入することは適切ではないケースもあるものです。
オペレーターやSVがストレスを抱えているとき、雇用形態にかかわらず、職場を通して産業医などに相談ができるしくみを構築しておくとよいでしょう。
ストレス管理の方法とは
ストレス管理は個人単位で行うことが必要
ストレスの緩和を行うことが重要ですが、ストレスには個人差があり、一律にストレス緩和策を講じることはできません。ストレス対策は個人単位で行う必要があるのです。
そのためにはオペレーターによる自己管理も欠かせませんが、SVや管理者はストレス管理の方法を知り、オペレーター1人ひとりの状態に常に目を配り、休憩をとってもらうなどストレス緩和のための支援を行う必要があるのです。
ストレス緩和の方法
職場におけるストレス緩和の方法には主に次のようなものがあります。
●自分のストレスの兆候を知っておく
難しい顧客対応や苦手な人間関係などでストレスを感じると、心拍数の増加を感じるなどの反応があるものです。ストレスの兆候を感じたら、休憩をとるなどして緩和することが重要です。
●休養や運動
ストレス軽減のためには、適度な休養や運動が効果的です。困難な顧客対応の後などには休憩を取って気持ちを切り替えましょう。また、席に座ったままできる軽いストレッチなどを取り入れてみることも効果的です。
●自分のための時間を作る
趣味や運動など、自分の時間を持つことが重要です。自分なりのストレス軽減策を見つけておきましょう。
●誰かに話す
顧客対応などでストレスを感じたら、休憩時間などを使ってSVや同僚などに話を聞いてもらうことで、ストレス軽減につながります。不安や不満を聞いてもらうこと、聞いてくれる仲間がいる職場であることが大切なのです。
●ワークライフ・バランスをとる
仕事とプライベートを意識して区別し、1日の中でも自分の時間を持つなど時間配分のバランスを整えることが大切です。
財務への影響が大きいオペレーターの離職
一般的なコンタクトセンターにおいて人件費が占める割合は、全経費のうち70%から80%を占めると言われています。
人材育成計画はコンタクトセンター戦略の要であり、オペレーターの離職抑止は財務の観点からも優先して取り組むべき事であることは明白です。
負の連鎖に陥る前に、今すぐオペレーターのストレス対策に取り組んでおきましょう。
まとめ
いかがでしたか。今回はコールセンターのストレスの特徴と、オペレーターが個人で行うストレス管理の方法について解説してきました。
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