【2025年の崖が迫る】金融業界のDX推進の課題と役立つツールをご紹介

近年、金融業界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が急速に高まっています。AIやクラウド、ブロックチェーンなどの新技術が登場する中、従来のビジネスモデルや業務プロセスを刷新し、競争力を強化するためにはDXの推進が不可欠です。

しかし、業界全体にとっては、いくつかの大きな課題が立ちはだかっています。

その中でも特に「2025年の崖」と呼ばれる問題は、業界全体が抱える最も深刻なリスクの一つとされています。

この記事では、金融業界が直面するDXの取り組み状況とその課題について、具体的な事例やツールの紹介を交えながら詳しく解説していきます。

これからの時代を生き抜くために、金融機関がどのようにしてデジタル化を進めているのか、その成功事例や解決策についても触れていきます。

2025年の崖とは?

金融業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、今後数年間で大きな転換点を迎えると言われています。

その象徴的な年として「2025年の崖」が挙げられます。

この言葉は、特にレガシーシステムに依存している企業において、2025年までにDXが進まなければ、競争力が大幅に低下し、業務の維持すら困難になる可能性があることを指しています。

レガシーシステムの問題を解決しない限り、デジタル技術の恩恵を十分に享受することはできず、業務の効率化や新たなビジネスモデルの構築が阻害されるリスクが高まります。
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レガシーシステムの問題

金融業界は、長年にわたり構築されたレガシーシステムに依存してきました。

これらのシステムは、安定性と信頼性を提供する一方で、柔軟性や拡張性に欠けており、新しい技術との統合が難しいという課題があります。また、レガシーシステムの維持管理には高額なコストがかかり、技術者の高齢化や退職によるノウハウの喪失も深刻な問題です。DXを進めるには、これらの古いシステムをいかに新しい技術に移行させるかが鍵となります。

規制とコンプライアンス

金融業界では、セキュリティとコンプライアンスが非常に重要です。マネーロンダリング対策や個人情報保護法など、厳しい規制が存在します。

DXによりデータの可視化や効率化を図る一方で、これらの規制を遵守しつつ、セキュリティを強化することが求められます。特にクラウド化が進む中で、データの管理と保護に対するリスクが増加しているため、適切なセキュリティ対策が不可欠です。

保守的な組織文化の変革とリスキリング

金融業界は、伝統的に保守的な組織文化を持つことが多いです。
新しい技術の導入には抵抗があり、変革を推進するためのリーダーシップが求められます。

さらに、既存の社員に対するリスキリング(新しいスキルの習得)も重要です。デジタル技術を活用できる人材を育成することで、DXの成功を支える基盤を構築することが可能になります。

データ活用戦略

金融業界におけるDXの成功には、データの活用が不可欠です。膨大なデータをいかに効果的に活用するかが、競争優位性を確保する鍵となります。

データ分析により顧客の行動を予測し、個別化されたサービスを提供することが求められます。これには、データ分析ツールの導入と活用が重要な役割を果たします。

金融業界で役立つDXツールの紹介

ここでは金融業界で役立つツールを用途に合わせてご紹介します!

RPA(Robotic Process Automation)ツール

・UiPath
複数の開発・管理・実行ツールをラインナップし、スモールスタートからエンタープライズRPAまで幅広く対応できる柔軟性の高いRPAプラットフォームです。

業務自動化の計画・協働やRPAの効果測定など、複数のAI・自動化ツールを組み合わせて一連の業務を実行する「ハイパーオートメーション」を実現しています。

・Automation Anywhere
プログラミング経験がない方でも容易にボット開発が可能。銀行レベルの高いアプリケーションセキュリティで、業界で最も安全なデジタルワークフォースプラットフォームを実現しています。

・WinActor
WinActorはNTTアドバンステクノロジ株式会社が開発する日本製RPA(業務自動化ツール)です。Excel、ブラウザ、個別の業務システム等、Windows端末から操作可能なあらゆるアプリーケーション操作フローを記録し、PC操作を自動化するソフトウェア型のロボットです。

【参考】https://www.itreview.jp/categories/rpa

データ分析ツール

企業が持つさまざまなデータを分析・見える化して、経営や業務に役立てるツールをご紹介します。

・Tableau(タブロー)
Tableauは、豊富な機能やカスタマイズの自由度が高く人気です。マウス操作だけで簡単にレポート作成することができ、あらゆる角度から”素早くきれいなダッシュボード”を作ることができる「セルフサービス型のBIツール」です。

・Power BI
Microsoft製品とのシームレスな連携が可能なPower BIは、金融機関の業務データを効率的に分析し、リアルタイムでの意思決定をサポートします。

・Alteryx(アルテリックス)
直感的な操作でデータの準備、加工、分析、自動化をコード不要で行うことができ、専門的なIT知識やプログラミングスキルがなくても利用できます。

クラウドプラットフォーム

クラウドプラットフォームとは、アプリケーションやデータの保存、実行に必要なハードウェアやソフトウェア(OS含む)を提供するクラウドサービスです。

インターネットの接続環境があれば、場所や時間を選ばずにシステムにアクセスできます。

・AWS(Amazon Web Services)
AWS(Amazon Web Services)とは、アマゾンが提供するクラウドコンピューティングプラットフォームです。AWSは、高い信頼性とスケーラビリティ(拡張性)を備えています。

・Microsoft Azure
Microsoft社が提供するクラウドサービスです。直感的に操作できる利便性、どの端末からでもアクセスできる点などが特徴です。

・Google Cloud Platform
Google Cloud Platform とは、Google がクラウド上で提供するサービス群の総称です。

Google 社内で使われているものと同じテクノロジーやインフラを使用して、お客様のインフラ環境をクラウド化できます。

【参考】https://www.kddimatomete.com/magazine/221005170916/

セキュリティツール

続いてはセキュリティーツールをご紹介します!

・Splunk(スプランク)
サーバーやネットワーク機器、業務システム、センサーなどから出力されるマシンデータを収集・分析・可視化できる企業向けのソフトウェアです。金融機関におけるサイバーセキュリティ対策として有効です。

・Palo Alto Networks: Palo Alto Networks
Palo Alto Networks社の次世代ファイアウォールです。高度なネットワークセキュリティ機能を提供し、金融機関のデータとシステムを強力に保護します。

・McAfee(マカフィー)
個人や法人を問わず世界中で利用されているウイルス対策ソフトや総合セキュリティサービスです。

成功事例の紹介

みずほ銀行
AIをはじめとした先端テクノロジーのR&D強化、ビジネスへの活用、DX人材育成プログラムを行い、DXを推進させました。

三菱UFJ銀行
NTTドコモと業務提携し、金融サービスを組み合わせることで新たなデジタル口座サービスを提供しました。

SBIホールディングス
全社的なデータの一元管理、新システム導入含む社内業務プロセスのリビルドに係る提案、計画、推進を専任するDX推進部を設置し、DX推進指標のベンチマークを活用して変革を推進しました。

DX推進のために

金融業界でDXを成功させるためには、まず現状の分析と課題の特定が重要です。

これに基づいてDX戦略を策定し、具体的なロードマップを作成します。その後、パイロットプロジェクトを実施し、その成果を評価した上で全社展開を行います。継続的な改善を行うことで、変化する環境に適応し、DXの成功を持続させることができます。

このように、金融業界におけるDXは多岐にわたる課題と可能性を秘めています。

2025年に向けて、レガシーシステムの刷新、規制の遵守、組織文化の変革など、多くの取り組みが必要とされますが、その先には新しい価値創出のチャンスが広がっています。

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太