ビデオスイッチャーでリモート接客・オンライン接客を効果的に演出しよう

2020年に新型コロナウイルスが流行し始め、私たちの生活は変化を余儀なくされました。それは接客においても例外ではありません。感染症対策の一つとして、非接触やソーシャルディスタンスの保持が励行され、今までのような対面での接客ができず、客足も遠のいています。失われた接客機会を取り戻すために、見いだされた方法がオンライン接客です。

このオンライン接客で役立つ、スムーズな映像の切り替えを行うツールがビデオスイッチャーです。それでは、現在の接客事情やビデオスイッチャーについて見ていきましょう。

コロナ禍で変わった?接客事情

パンデミックの影響で、私たちの生活は一変しました。時には外出自粛が求められ、顧客の来店機会が減りました。店舗側も感染対策が求められているため、気軽に対面接客ができません。

コロナ前の接客

コロナウイルスが流行する前は、対面での接客が当たり前で店員も顧客もマスクをつけていなかったため、顧客の表情や声、様子を伺いながら、適切なタイミングの声かけや接客ができました。店頭でのイベントやキャンペーンなども活発で、多くの人出も期待できていたことでしょう。

コロナ禍の接客

コロナ禍の接客は、お互いにマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保つことが必要です。非接触での接客が求められ「試飲・試食」や「サンプリング」など、対面での販促活動が難しくなっているうえ、客足も遠のいています。そのような事情もあり、非接触の接客を実現できるリモート接客やオンライン接客が注目されるようになったのです。

XITのAIリモート接客

コロナ禍における接客課題を受け、2020年9月1日よりXITと凸版印刷株式会社は協業し、AIを活用した「リモート接客」システムの共同開発を始めました。このシステムは、店頭に設置したAIカメラ内蔵のサイネージと呼ばれる電子看板を通してアバターで接客を行います。また、顧客の反応を即時に可視化しトークスクリプトを生成したり、顧客データを蓄積していくことも可能です。

【参考】凸版印刷とギグワークス、「AIリモート接客」で顧客の反応を可視化

ライブ配信に有効!ビデオスイッチャーとは?

パンデミック以降、オンラインでの会議やセミナーが当たり前となりました。対面を避けるためのライブ配信が盛り上がりをみせており、そこで活躍するのがビデオスイッチャーです。その機能やタイプについて見ていきましょう。

ビデオスイッチャーとは

ビデオスイッチャーとは名前に「スイッチャー」とあるとおり、異なる音源または映像の切り替えができるハードウェアデバイスのことです。複数台のカメラやパソコン、スマートフォンなどの音声や映像をスムーズに切り替えることができ、単調になりがちな映像に視覚的躍動感を与えることができます。

ハードウェアスイッチャー

ハードウェアスイッチャーは、機械に接続して切り替えをする外付けのスイッチャーです。外付けのため持ち運びは不便ですが、使用方法がわかりやすいことがメリットと言えます。

以前は高価だったため放送局での使用が主流でしたが、昨今のライブ配信ブームによって、より安価なハードウェアスイッチャーを手に入れることが可能になりました。

ソフトウェアスイッチャー

ハードウェアスイッチャーが外付けであるのに対して、ソフトウェアスイッチャーは配信用のパソコンにインストールして使用するスイッチャーです。無料のソフトウェアである「OBS」は日本語にも対応しているため、多くのユーザーによって利用されています。ビデオスイッチャーを試してみたい人は「OBS」から始めてみるといいでしょう。一方、有料のソフトウェアは無料版に比べて画質や機能性が高いため、本格的なライブ配信をしたい場合は、有料版を検討するのもおすすめです。

ビデオスイッチャーで実現できる演出とは?

専門性が高いビデオスイッチャーですが、実際にできる演出にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは演出方法について見ていきましょう。

テロップ

テロップとは、テレビ画面に映し出される文字やイラストのことを指し、情報を的確に伝える時に役立ちます。外国語の映画や字幕対応の番組に出てくる字幕は、ほぼそのままの内容を文字として伝える役目がありますが、テロップは伝えたい部分を強調して画面に表示することが可能です。

PinP

PinPとは「ピクチャー・イン・ピクチャー」の略で、1つの画面に小さい画面が重ねて映し出される、テレビ番組でもよく使われる手法です。PinPの位置やサイズ、枚数などの設定条件はビデオスイッチャーごとに異なるため、用途に応じて選ぶ必要があります。

クロマキー合成

クロマキー合成とは、特定の色を透過させ背景を合成する技術のことです。CGを用いた独自のバーチャル背景を配置することも可能なので、ブランドの雰囲気に合わせた背景で動画を配信することができます。ゲーム配信で、ゲーム画面に配信者が映っている演出もこの技術によるものです。

トランジション

映像を作成する際、一般的に複数のカットをつなげて編集しますが、カットのつなぎに入れる効果のことをトランジションと言います。この機能でカットのつなぎ目が不自然にならず、スムーズに移行できるのです。トランジションの種類は多種多様で、フェードアウトやフェードインという言葉でなじみのある「フェード」や、カメラのフォーカスを外しぼやけさせる「デフォーカス」はその代表例と言えるでしょう。

これらのエフェクトを用いると、オンライン会議やセミナーなどのライブ配信の際、途中で資料映像に切り替えるのもスムーズに行えます。

アバターの活用でリアルなオンライン接客を

ビデオスイッチャーの機能とアバターを活用すると、オンライン接客がより臨場感のあるものになります。

ビデオスイッチャーを利用したオンライン接客

オンライン接客では画面を通した接客が基本です。ビデオスイッチャーの活用で、店舗内カメラや商品、資料などの映像を、接客の状況に合わせリアルタイムに切り替えられます。会話に合わせて映像に変化を持たせられるため、オンタイムのより臨場感のある接客を行うことが可能です。さらに、ビデオスイッチャーとアバターを組み合わせ、接客に利用する取り組みも行われています。

JRの実証実験で見えるアバター接客の可能性

2021年3月より、JR大宮駅では遠隔接客ツールの実証実験が行われています。モニターに映し出された駅員のアバターによる周辺施設や乗換案内を行う実験です。このアバターは人によって遠隔操作されており、操作者の表情を反映させることができます。さらに、必要に応じて「うなずき」や「手を振る」などのアクションもとれるため、より多彩な表情による接客が可能です。2022年3月にはJR西日本グループの会社が、駅で野菜の無人販売にアバター接客を利用しています。

【参考】JR東日本が実証中。豊かに感情表現できる「アバター接客ツール」コロナで飛躍

【参考】アバターが接客、無人野菜販売を開始 JR西グループがロボット学者・石黒氏の新会社と連携

ビデオスイッチャーxアバターで臨場感あふれるオンライン接客を!

コロナ禍の新しい接客方法として、非接触で対応できるオンライン接客が注目されています。しかし、画面を通した接客は情報量が少なく単調になるため、ビデオスイッチャーの映像切り替え機能やテロップ、PinPなどを活用した臨場感のあるオンライン接客が求められます。さらに、ビデオスイッチャーのクロマキー合成でアバターを組み合わせ、多彩な表情とアクションを表現することで、円滑なコミュニケーションを行うことも可能です。無料で始められるソフトウェアスイッチャーもあり、導入の敷居も低くなりました。ぜひビデオスイッチャーやアバターを活用して、魅力的なオンライン接客を実現しましょう。

この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太