ユーザーの声に耳を傾け、自社のサービスや商品にその声を反映させていくことは、企業の成長にとても重要です。
コールセンターに寄せられるVOC(ボイス・オブ・カスタマー)は、企業にとって貴重な情報の宝庫といえます。しかし「VOC」という言葉を耳にしたことはあっても、イマイチ理解しきれず活用できていない企業も少なくありません。
今回は「VOC」について、それがなぜ重要なのか、さらに収集すべき理由とその収集方法について解説していきます。コールセンターで集められる電話やメールといった手法のほか、さまざまな収集方法を見ていきましょう。
VOC(ボイス・オブ・カスタマー)とは?
VOCは「Voice of customer(ボイス・オブ・カスタマー)」の略称で「お客様の声」を意味し、企業がさまざまな方法で顧客から得た意見や要望、またはクレームなどを指します。
コールセンターでは、さまざまな声を直接得ることができ、その情報は顧客が求めている本質ともいえ、今後のビジネスに活かすことができる有益な情報です。
活用の重要性
顧客のニーズを知ることは、企業にとってサービス向上のための重要なポイントといえます。インターネットの普及に伴い情報収集が容易になったことで、顧客ニーズも常に変化しています。顧客が求めていることをいち早く反映させ提供していくことが、ビジネスにおいて競合他社との差別化を行なう重要なカギとなるのです。
また、意見やクレームを課題として早めに改善することで、提供するサービスの質を向上させ、それによって顧客満足度の向上や売上アップにもつながっていきます。
ネット社会の今だからこそ重要視すべき
ネット社会になった今、やみくもにコストをかけるのではなく、必要に応じテクニックを用いる時代になってきました。
企業の宣伝においても、テレビやラジオのCM(コマーシャル)や新聞広告といったものだけでなく、インターネットを活用したマーケティングは重要な手段です。
流行もスピードを増し、多くの情報が行き交うなか、ユーザーが求めるものをいち早く認知し反映させていくことが、企業の戦略にとって重要な要素になっているといえます。
VOCを収集する目的
VOCはビジネスの拡大に直結する重要な情報であり、ニーズの多様化によって重要視されています。
では、顧客の声であるVOCは、何を目的に収集する必要があるのでしょうか。企業にとって重要なVOCを収集する、その目的について確認していきましょう。
何が知りたいのかは企業次第
「お客様の声」は顧客が企業に求めるニーズをいち早く知ることができるカギとなります。そのため、企業戦略を立てるうえで、顧客ニーズを知り分析を行うことは有効な手段です。
また、企業戦略によって収集する目的もまた変化し、その目的が明確でないと収集する意味がないといえます。
目的やその戦略によって何が知りたいのかはさまざまで、漠然とした意見よりも、さらに踏み込んだ内容を集める必要があるでしょう。
顧客の不満やクレームは有益な情報である
クレームとは、サービスに対する改善の要望や主張、苦情といった怒りや不満を伴うものです。
顧客の怒りや不満は、本音でありリアルな声といえます。そういった声こそ顧客が本当に「求めていること」であり、ニーズを把握するための重要な一つの手段となるでしょう。求められるニーズや課題を知りそれらを改善する、または取り入れることでCS(顧客満足度)の向上、さらにはLTV(顧客生涯価値)向上にもつながります。
また、多数寄せられる意見はもちろん、少数意見に耳を傾け反映させることも企業にとっては競合他社との差別化を図る、戦略の一つとなるでしょう。
VOC収集の方法
VOCを収集するには、いくつかの方法があります。
顧客が意見や要望、問い合せなどで電話をする「お客様センター」や「カスタマーサポート」などのほか、アンケートはがきやメール、街頭インタビューなどさまざまです。
また、ITの進化によって収集方法も変化しています。集めたい情報によって組み合わせうまく活用していくことが大きなポイントです。
企業に届く「お客様の声」
企業には、電話やメールなどさまざまな方法でお客様からの声が届きます。現在では、お客様とリアルタイムにチャットでやり取りなどを行なう企業も増えてきました。
電話では、声のトーンやテンション、言葉のニュアンスなどを確認しながら会話を進められるため、よりリアルな情報を収集することができます。
チャットやメールでは、文字のやり取りであるため顧客が意見を伝えやすい、また、テキストになっていることで収集・分析しやすいなど双方に利点があるでしょう。さらに、文字でのやり取りは、アンケートへの誘導や定型的に意見を引き出せる、返答や応対の質を一定に保つことができるなど、企業側のメリットは多いといえます。
アンケートやインタビュー
アンケートの活用やインタビューの実施も、お客様の声を収集するのに有効な方法です。
アンケートでは、顧客が自身の意見や本音を言いやすいとされています。そのため、ネガティブな意見やマイナス面も、企業へ訴えやすいといえます。アンケートフォームを設置するなど、さまざまな方法と組み合わせて効率よく収集していきましょう。
また、インタビューは、顧客へ直接実施することも可能ですが、外部へ委託し顧客満足度調査やグループインタビューなどを実施することも有効的な方法です。
ソーシャルリスニングの活用
ソーシャルリスニングとは、TwitterやFacebook、口コミサイトといったソーシャルメディアを活用し、顧客ニーズを収集、分析するマーケティング手法です。
インターネットの普及によって限られた人だけでなく、誰でも簡単に情報を集めたり、さまざまな考えや思いを発信することができるようになりました。ソーシャルメディアによってユーザーの忖度ないリアルな声を収集し、それらをマーケティング戦略に反映することができます。
クレームは貴重な意見
前述のとおり、クレームはユーザーからいただくとても有益な情報です。コールセンターには、企業に対するさまざまな意見が寄せられます。なかでも、商品やサービス、企業に対する不満や改善要望などのクレームは顧客の声を収集するうえでとても重要です。電話は直接オペレータとやり取りを行いリアルタイムで会話することができるため、意見や要望も強い場合が多いでしょう。
企業にとっては厳しい意見や難しい要望などが含まれることもありますが、少数意見に思わぬヒントが隠れていることもあり、顧客からのクレームは貴重な情報といえます。
リモートによる収集方法
2020年、新型コロナの流行により、働き方は大きく変化しています。人との接触を避ける「非対面」が注目され、接客業などのお客様対応もロボットの導入によってリモート対応を実現する企業も現れました。
ギグワークスでは、サイネージに搭載したAIカメラやセンシング技術を用いて、消費者にあった対応を可能とするなど、最新技術との融合によりリモートかつ無駄のない有用な情報収集を可能としています。
【参考】「凸版印刷とギグワークス、「AIリモート接客」で顧客の反応を可視化 _ 凸版印刷」
無駄のない情報収集を!
VOC(ボイス・オブ・カスタマー)は、企業にとって重要な「お客様の声」です。
ユーザーが求める要望やさまざまな意見、クレームは、企業が進化していくために重要な情報といえます。顧客が求めるニーズや不満を理解し反映させていくことで、顧客維持やビジネス拡大につなげていくことも可能となるでしょう。
電話やチャット、メールなど窓口を整え、さらにはアンケートフォームやソーシャルネットワークサービスの活用など、顧客との接点を強固なものにし、無駄のない情報収集を行っていくことが重要です。