EC市場の成長もあり、いつでもどこからでも受注できるECに興味を持つショップ経営者も多いことでしょう。当然ECにはECの、実店舗には実店舗の良さと弱点があります。しかし、ECと実店舗を効果的に連携させることで、リアルコミュニケーションが取りにくいECと在庫数や人員に限りがある実店舗の弱点を互いに補うことが可能です。
さらに近年は、オンラインによるリモート接客やバーチャル空間「メタバース」での仮想店舗が実用化されており、ECと実店舗の連携やオンライン上でのコミュニケーションがより容易になりつつあります。今回は、ECを実店舗に連携させるメリットとEC化を加速させるリモート接客について見ていきましょう。
ECサイトと実店舗の弱点
対面接客を行う実店舗とオンライン通販をするECにはそれぞれメリットとデメリットがあります。まずは双方のデメリット、弱点について見ていきましょう。
ECサイトの弱点① きめ細やかなサポートがしにくい
ECサイトは非対面式の接客であるため、実際に商品を手に取って確認してもらったり、対話や表情を通じてリアルタイムにお客様の意図をくみ取ることができません。近年は視覚情報を重視した画像や動画、リモート接客等で顧客サポートをできるようになってきましたが、導入している店舗はごく一部にとどまっています。
ECサイトの弱点② 集客に時間と専門知識が必要
ECサイトはリリースしてから集客にいたるまで時間がかかるうえ、適切なSEO対策やWEB広告、SNSの活用を行わなければサイト自体の認知が全く進まない恐れがあります。効果的にECサイトを運用・運営するためには、コンテンツの充実はもちろんですがマーケティングやSEOなどの様々な専門知識が必要です。
【関連記事】ECサイトの立ち上げは簡単!押さえるべきECサイト作りの必須5項目
実店舗の弱点① 在庫不足
店舗の大きさによっては置ける在庫に限りがあるため、十分な商品数が確保できない状況が起こり得ます。特にファッション関連商品は同じデザインのサイズ違いを用意しなくてはなりません。また、ECサイトなら在庫を一元管理できますが、多店舗運営をしている事業者はより煩雑な在庫管理が求められます。
実店舗の弱点② 接客品質が店員のスキルに左右される
ECなら細かな商品情報を文字で顧客へ伝えられますが、実店舗では接客品質が全て店員の知識や経験にかかっています。商品に詳しい店員がいるとは限らず、聞いてもわからない、確認に時間がかかるなど店員によって接客品質に差異が出る点が弱点です。
実店舗の弱点③ 顧客分析が簡単にできない
また、実店舗ではマーケティングに活かせる顧客データを収集しにくいことが挙げられます。ECはサイト分析することで、顧客属性や動向、検索キーワードやサイト滞在時間などの情報収集ができますが、実店舗では会員登録やアンケートなどで意識的に収集することが必要です。そうした手間をかけて得た情報も、サイト分析から得られる情報量には及びません。
ECサイトと実店舗の連携メリット
ECサイトと実店舗を連携し互いの弱みをカバーさせることで、接客品質の向上が可能です。実店舗連携を具体例を交えて確認していきましょう。
商品取り寄せ、実店舗で受け取り
ECサイトから商品を注文すれば、店舗に行かなくても在庫の有無が分かり、取り寄せになった場合でも確実に最寄り店舗で商品が受け取れます。また、配達荷物を受け取る手間がなく送料がかからない点も魅力です。加えて、店頭受取にすることで、顧客が店頭にある商品を手にとる機会を作りだすことができ、売り上げをさらに伸ばせる可能性が高まります。
店頭からECサイトへ
商品購入に至らなかった来店者をECサイトへ誘導します。そうすることで、顧客が後々購入を決めた際、スムーズに購入フローを進めることが可能です。具体的な方法の一つとして、商品についているQRコードをスマートフォンで読み込ませ商品ページに誘導する手法があります。その場でお気に入り登録をしたり、詳しい商品説明やレビューを確認できるため、顧客もメリットを得られます。
キャンペーン告知やクーポンの発行
ECサイトのメールマガジンやSNS、専用アプリを通じ、実店舗で行っているキャンペーンの告知や限定クーポンを発行することで、来店を促すことができます。逆に店頭では、メルマガやアプリの登録キャンペーンを行いECへの集客を促すと良いでしょう。
ポイントシステムの連動
ECサイトと実店舗を連携した場合、最大のメリットは顧客情報の共有が可能になることです。店舗がポイントシステムを導入している場合、ポイント履歴をサイトと実店舗で連携させることで顧客の動向も明確になります。そして顧客の購入履歴から購買傾向を分析し、顧客の嗜好に合わせた商品のレコメンドを表示することができます。
リモート接客の導入メリット
リモート接客とは、メールやチャット、ビデオ通話などを活用して行うオンライン接客のことです。ここではビデオ通話でリアルタイムに顧客とやり取りをする接客手法について説明します。
【関連記事】REALとDIGITALの融合が必須な現代の「リモート接客」とは?
リモートでの実演販売による商品PR
最近は「リモートによる実演販売」が増えてきました。実演販売には、販売スタッフが店舗内に設置した端末を通じて顧客に実演する方法とECサイト内のライブ映像で実演する方法があります。大手家電量販店であるビックカメラでは、以前は店頭で行っていた実演販売の場をオンラインに移し、商品に詳しい専任スタッフによるオンライン実演販売を実現しました。
【参考】ビックカメラがECサイトで“実演販売”を実現したオンライン接客の仕組みとは
専門知識があるスタッフに相談ができる
実店舗では店頭に必ずしも商品に詳しいスタッフがいるとは限りません。しかし、リモート接客で商品に詳しい専任スタッフを置くことで、全国どこからの問い合わせに対しても品質の高い接客を均一に行うことが可能です。顧客は自宅にいながら詳しい商品説明がきけるため、ECでも安心して買い物をすることができます。
オンラインでの対面接客を実現し販路を拡大
コロナ禍で実店舗への足が遠のき、多くの人がECで買い物を済ますライフスタイルに慣れてしまいました。しかし今なお、実店舗の魅力であった互いの声色や表情を見ながらリアルタイム応対ができる対面接客が望まれています。擬似的ではあるものの、リモート接客は画面を通じて対面接客を実現することが可能です。さらに、顧客がどこに住んでいても対応できるため、地域を限らず販路を広げることができます。
ギグワークスのメタバース・リモート接客関連サービス
オンライン上で実店舗のような雰囲気を味わえるギグワークスの Virtual Online Shop 体験型オンライン店舗サービスについて紹介します。
【関連記事】ECビジネスを成功させるためには?ECサイト運営の課題とギグワークスグループのEC事業
ギグワークスグループの体験型オンライン店舗
体験型オンライン店舗とは、実店舗と同じ購買体験をオンライン上で提供するものです。
ギグワークスでは、体験型オンライン店舗のガイドブックや体験版の提供、具体的な操作方法を紹介した動画をオンラインで公開し、導入サポートを行っています。今後メタバースが浸透するにつれ、体験型オンライン店舗はますます重要な役割を果たすでしょう。
【参考】Virtual Online Shop 体験型オンライン店舗サービス
リモート接客のプロを育てる
オンライン店舗の知識を持った人材確保・育成は非常に重要です。ギグワークスでは今まで培ったノウハウをもとに、基本的な機器の操作方法やトラブルの際の対応知識を含めたリモート接客マニュアルをまとめるサポートやスタッフの教育支援を提供しています。
AIリモート接客システム
リモート接客のために用意した端末カメラを利用し、店内の顧客動向を把握しマーケティングに役立てるとともに、不審者がいた場合の注意喚起が可能です。また、接客していない時にディスプレイに広告を流しておくこともできますし、顧客からの呼び出しに備えることもできます。
【関連記事】AIカメラ+リモート接客でマーケティングが変わる!
ECと実店舗の連携でマーケティングが変わる!
実際に商品を手に取ってみたい、直接相談したいという要望はなくなることはないため、実店舗の必要性は残ります。しかし、オンラインショッピングが浸透した今、ECを通じたアプローチも見過ごすことはできないため、実店舗とECの両方を持ち連携させることが理想の姿と言えるでしょう。さらに、近年はリモート接客やメタバースでの体験型オンライン店舗も増えており、ショップ経営者には新たな知識や見解が求められるようになりました。とはいえ、ECの立ち上げや実店舗との連携、リモート接客を実施するためには多くの知識やノウハウが必要ですので、外部リソースの利用を選択肢に入れることもおすすめです。
リモート接客という新しいアプローチ手段を手に入れ、メタバース時代の到来に備えましょう。